「非認知能力」と呼ばれる言葉が注目を集めています。
しかし、この能力をどのように伸ばしていけば良いのか言及している書籍は多くありません。
今回紹介する「私たちは子どもに何ができるのか-非認知能力を育み格差に挑む-」はそこに切り込む内容になっています。
非認知能力とは
「非認知能力」(非認知スキルともいう)は、「粘り強さ」「誠実さ」「自制心」「楽観主義」「やり抜く力」「創造性」「好奇心」といった数値は測ることの難しい能力のことです。
非認知能力の解説はこちらをどうぞ⇒
【解説】メタ認知と非認知能力とコンピテンシー(2) - りょうさかさんと
近年、非認知能力が学歴や年収に大きく影響することがわかってきました。
「私たちは子どもに何ができるのか」の内容
では、本書「私たちは子どもに何ができるのか」において「非認知能力」をどのように捉えているのでしょうか。
本書冒頭で以下のように述べています。
私の至った結論はこうだ。「非認知能力は教えることのできるスキルである」と考えるよりも、「非認知能力は子供をとりまく環境の産物である」と考えた方がより正確であり、有益でもある。これが子供の乳幼児期に当てはまることには、有力な科学的根拠(エビデンス)がある。
(引用)「私たちは子どもに何ができるのか」 p.27より
「非認知能力は子供をとりまく環境の産物である」という文章がありますが、「環境」とは「子どもたちが経験する人間関係」のことだと指摘します。
乳幼児期に「ストレス」「DV」「ネグレクト」をしない、子どもとやり取りをすることが大切だということです。
非認知能力を伸ばす方法・効果のない方法
どちらも詳しく本書を読んでいただくとして端的に紹介しますね。
非認知伸ばす有効な方法として本書で挙げられているのは、
- 乳幼児期のやり取り
- 動機づけ(自律性・有能感・関係性)
- 先生からのフィードバック
- ディーパー・ラーニング(生徒中心の学習法)
一方、効果のない方法は、
- 金銭を与える(読んだ本の数に応じてお小遣いをあげる等)
- 講義形式の授業とワークシートで演習
特に効果的な方法として挙げられている「ディーパー・ラーニング」について例に挙げられているのが「日本の算数の授業」です。
日本の算数の授業では、先生は生徒に未知の問題を提示します。
次に個々で解き方を考えさせた後、グループ活動で共有し、クラス全体で話し合いをします。
こういった授業はアメリカではごく少数らしく、日本の指導法を評価しています。
詳しくはこちらの書籍で書かれています。
「私たちは子どもに何ができるのか」の感想
子どもにとって「環境」(人間関係)が大きいのか感じさせられました。
子どもが最初に経験する環境は、親子関係です。
その次が幼稚園保育園、小学校~高校という学校環境です。
最初の環境である「親子関係」は、親がしっかり時間を取り、関わることで育むことができます。
以前、「非認知スキルを伸ばして不利な環境から逆転しよう」という記事を書いた際にわたしは「新聞を読む」「絵本の読み聞かせ」も大事だけれど根本は「親の働きかけ」が大事だと書きました。
まず行政などに頼る前に目の前の子どもと真剣に関わることの大切さを再確認した思いです。
次に学校環境ですが、これは「選択」という意味では親の力を発揮できる部分です。
例えば、日本でも「ディープ・ラーニング」をしている学校を選ぶといった方法です。
「ディーパー・ラーニング」とは、以下のような教育だと書かれています。
- 探求型の指導-教室で、教師がただ講義をするだけではなく、生徒に議論させること。
- プロジェクト型の学習-生徒たちが、たいていはグループで、仕上がるまでに何週間、何カ月もかかるような複雑な課題に取り組むこと。
- 実績重視の評価-生徒たちを期末試験の得点で判断するのではなく、彼らが一年かけて築いた実績、プレゼンテーション、文章、芸術作品などで評価すること。
(引用)「私たちは子どもに何ができるのか」 p.142より
探究型・プロジェクト型の学習は、高校なら「探究活動」をしている学校を探してみると良いでしょう。
実績重視の評価は、ポートフォリオに取り組み始めている学校を探してみると良いかもしれません。
わたしたち親が子どもに出来ることを一歩ずつ関わり合いながらしてきたいですね。
まさに「私たちは子どもに何ができるのか」。
一緒に考えていきましょう!
それでは、また。
詳しく知りたくなった方はぜひ本書を読んでみて下さいね!