どうも、教育関係会社員のりょうさかさんです。
親の年収や学歴などが子供の学力にどのような影響を及ぼすのかについて文部科学省が2018年6月27日、調査結果を公表しました。
産経新聞は「新聞読む子が勉強できるよ」という内容の見出しをつけて、あたかも新聞を読むと学力があがるような見出しにしています。
さて、実際の資料で見るべきポイントはどこなんでしょうか。
(参考)新聞読む子、勉強もできる!? 全国学力テストで相関関係 文科省調査(1/2ページ) - 産経ニュース
実際の資料
文部科学省の資料ではこちらのページからご参照ください。
全国的な学力調査に関する専門家会議(平成29年6月12日~)(第6回) 配付資料:文部科学省
この中で特筆すべき点はこのタイトルの資料です。
資料3 「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」(お茶の水女子大学提出資料)
この資料では保護者に対する調査と学力などの関係の分析をしています。
早速こちらの表を見て下さい。
【注】家庭の社会経済的背景(SES(Socio-Economic Status)) :
「保護者に対する調査」結果から,家庭所得,父親学歴,母親学歴の三変数による合成指標。
これを四等分し,Highest,Upper middle,Lower middle,Lowestに分割して分析。
つまり、とてもシンプルに言えば家庭の収入、両親の学歴が高いほど学力が高いということです。
実はこれは教育関係者には当たり前のことです。
ただ多くは海外の研究事例なので日本でも研究・調査をすることは大事です。
子どもの学力には、親の収入、学歴、遺伝が大きな影響を及ぼします。
東大生の両親も東大卒。みたいな話を聞いたことがあると思います。
ただ東大に行くような家庭だけでなく、全ての家庭でしかも小6の頃からこれだけ差がついてしまことに改めてわたしは衝撃を受けました。
これはこれでとっても大切なんですが、
じゃあ、今から何をすれば良いのって部分もありますよね。
これから子どもを欲しいと考えている保護者、すでに子育て中の保護者の方は今から何ができるんでしょうか。
非認知スキルを高めよう
非認知スキル、非認知能力と呼ばれる能力があります。
詳細は以前書いたのでこちらをご覧ください。
簡単に言うと「やり抜く力」「忍耐力」「創造性」などのIQテストで計測されない能力のことです。
今回の研究の分析ではこのような文章があります。
- 「非認知スキル」は、子供の学力にゆるやかな相関があり、小6の方が中3よりも学力との相関がやや強い。
- 一方、「非認知スキル」とSESの間には、あまり相関が見られない。
- こうしたことから、SESの高低にかかわらず(SESが相対的に低い場合でも)、「非認知スキル」を高めることができれば、学力を一定程度押し上げる可能性がある。(ただし、今回の分析では両者の間にゆるやかな相関があることが確認できたにすぎないため、この可能性がどの程度確かなのかはさらなる検討を必要とすることに留意。)
これをまとめるとこういことです。
- 非認知スキルは「両親の収入、学歴」などの間にあまり相関が見られない。
- 確証はまだないけれど「両親の収入、学歴」を問わず非認知スキルを高めれば、学力があがる可能性がある。
また後段では「両親の収入、学歴」などの要素が低いにも関わらず、高い学力水準の子どもの特徴の分析を挙げています。
やはりこちらでも不利な環境を克服している児童生徒に「非認知スキル」が高い傾向があることが述べられています。
非認知スキルを高める方法
この方法については諸説あります。
なぜ諸説かというのも何かをやって能力を伸びたかどうか測るためには数値化する必要があります。
しかし、数値化できない能力を「非認知スキル」と呼んでいるわけですから、明確にこれだと断定することは非常に難しいことです。
ただそれでも効果があるとよく言われるのは幼児期の「しつけ」「絵本の読み聞かせ」などです。
じゃあ、すでに小学校入学済の保護者さんは何もしようがないのでしょうか。
いえいえ、方法はあります。
今回の文科省の資料で例示されているのは、以下のようなものです。
- 「ほめて自信をもたせる」
- 「努力の大切さを伝える」
- 「最後までやりぬくことを伝える」
- 「毎日、朝食を食べさせる」
- 「地域のボランティア活動などに参加を促す」
つまり親からどう働きかけがあったかが大事だということでしょう。
冒頭の新聞を読む児童生徒ほど学力が高いというのも、ここに通じると思います。
新聞を読むから学力が高くなるのではなく、親が新聞を読んでいる姿を子どもに見せて、両親が新聞の内容について会話している姿を見せて、子どもにも読むように促し、子どもが新聞を読んで感じたことをしっかり聞く。
そういうことが自然と出来ている家庭の子どもの非認知スキルが伸びるのだと思います。
子どもに関わり、子どもに促し、子どもを受け入れる。
わたしもそういうことを意識して改めて子育てをしていきたいと思います。
ちなみにこの非認知スキル、成人後まで伸びる部分もあるそうなので中学生、高校生をお持ちの親御さんも間に合いますからご安心を。
それでは、また。
非認知能力についてはこちらの書籍がオススメ!