PISA2018の結果がでました。
日本の生徒の読解力が下がった!
そんなセンセーショナルな報道もされていますが、実際の資料を見てみましょう。
読解力よりも問題なのは以前も述べたPCの所持率です。
わたしは点数が下がったことよりも、PCを扱う時間の少なさ、所持率の少なさが問題だと考えています。
(参考)日本の15歳「読解力」15位に後退 デジタル活用進まず :日本経済新聞
日本の生徒の読解力は下がっていない
そもそも学習到達度調査(PISA)とは、OECD(経済協力開発機構)の調査のことです。
義務教育修了段階の15歳児を対象に3年ごとに行われています。
読解力の順位が15位という部分だけクローズアップされていますが、そもそもランキングの中には北京、マカオ、香港といった都市も含まれています。
実際のランキングがこちら⇒
(引用)OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイントー文部科学省・国立教育政策研究所(令和元年12月3日)
もちろん報道の通り、日本の平均得点自体は前回2015年調査よりも下がっています。(2015年516点⇒2018年504点)
しかし、それが長期トレンドとして下落傾向かというとそうではありません。
先ほどと同じ文部科学省・国立教育政策研究所の資料から引用すると日本は、フランス、カナダ、アメリカ、イタリア、イギリスと同じように「平坦」タイプに該当しています。
順位や平均点の動きはあれど日本は、上位グループのまま平坦に推移しているのを前向きに受け止めて良いと考えます。
親御さんも先生方も悲観的にならなくて良いですよ!
しかもOECDのレポートによると「日本は教育において公平である」と指摘されています。
オーストラリア、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、日本、韓国、ノルウェー、英国では、生徒の成績はOECD平均を上回ったが、読解力と社会経済的状況との関係は非常に弱かった。つまり、これらの国々の教育制度が、生徒がその出自に関係なく活躍できる最も公平なものだということである。
(引用)若者はデジタル化する世界で苦戦している―PISA2018調査結果 - OECD
日本学校教育には課題も問題もあります。文科省にも思うところは沢山あります。
しかし、それでも海外と比較すれば公平な教育を提供できているということは知っておいて良いのではないでしょうか。
と、このように見てみると
- 読解力は横ばい
- 教育の公平性もある
と報道のニュアンスとやや違うことに気付くことができます。
では、何が課題か?
それがタイトルにも書いたPC離れです。
日本の若者のPC離れ
報道にもあるように今回のPISA2018は、CBT(コンピューター上での受験)でした。
つまり慣れないPCでの解答のために点数が下がった要素があります。
わたしは点数が下がったことよりも、PCを扱う時間の少なさ、所持率の少なさが浮き彫りになったと考えています。
例えば「学校外でのデジタル機器の利用状況」についての調査結果はこのような数字です。
「授業の後にインターネットを閲覧する」という設問について「まったくか、ほとんどない」という解答をしたのは日本は66.3%、OECD平均は19.8%。
「コンピュータを使って宿題をする」という設問について「まったくか、ほとんどない」という解答をしたのは日本は78.8%、OECD平均は22.1%。
(グラフはどちらも引用)OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)~ 2018 年調査補足資料~生徒の学校・学校外における ICT 利用-文部科学省・国立教育政策研究所(2019年12月)
このあと色々な設問と結果が上のリンクから見ることができるので、興味を持った方は見てみて下さい。
なんとなく見て取れる日本の高校生像は…
- メールはしない(最下位)
- ネット上のチャットをする(1位)
- ニュースサイトは見る(10位)
- 実用的な情報は調べない(29位)
- 自分で作ったコンテンツをアップロードしない(最下位)
スマホで遊んだりニュースは見て消費するだけ。
多くの大人と同じ使い方ですw
ただ大人と違うのはPCを持っていないということです。
舞田俊彦先生がPISAをもとに作成されたグラフを見ていただくと一目瞭然!
途上国以下じゃん。 pic.twitter.com/vJwtvGoXdq
— 舞田敏彦 (@tmaita77) December 10, 2019
ちなみに13~29歳対象にデジタル機器端末の所持率を調査した資料が内閣府から出されています。
下資料の一番左端の枠の太文字が「日本」の平成30年度の所持率。
日本の右から「韓国」「アメリカ」「イギリス」「ドイツ」「フランス」「スウェーデン」です。
(引用)我が国と諸外国の若者の意識に関する調査 (平成30年度) - 内閣府
日本はスマホは92.7%、ノートパソコンは55.5%。
他国を見れば、スマホの所持率は日本と同様に90%前後。
しかし、ノートパソコンの所持率は大きく違い、韓国は65.5%、アメリカは69.3%、それ以外の国は73%以上所持しています。
とにかく子ども・若者がPCを使っていない・持っていないのが日本なんです。
もちろん「PCがなくてもスマホがあればいいじゃん」という意見もあると思います。
確かに使いこなせる方は、スマホでもPC並みのことをすることができます。
ただ情報収集をしたり、比較したり、コンテンツを作るためには圧倒的にPCの方が有利です。
資料を比較するの一つ取って見てもPCでディスプレイを2つにした方がはるかにやりやすいし、人間が頭の中で整理するスピードだって速いですよね。
これらを踏まえてもらうと安倍総理が「学校にPC1人1台」といったことも、なぜスマホやタブレットではなくPC1台なのかおわかりいただけるのではないでしょうか?
(参考)学校PC1人1台、安倍首相「当然」 経済対策に盛り込まれる公算 - ロイター
お子さんがいる家庭は政府の方針を待つのではなく、自分から動き出してみてはいかがでしょうか?
りょうさか家も小学校高学年くらいからは子どもにマイ・パソコンを与えてみようと考え中です。
もしくは最初の1台はこれかな?
それでは、また!