2019大学入試センター試験が終わりました。現高校3年生は私立入試、二次試験に向けて最終調整という段階でしょう。
さて、この2019年のセンター試験の問題はWEBでも、新聞でも公開されています。ぜひ、これを活用してもらいたいのです。その活用方法は大きく分けて2点あります。
・自分の課題を知ること
・問題の傾向を知ること
今回は「問題の傾向を知ること」についてご紹介です。
センター試験を受験するのは現高2年生が最後
本題に入る前に…センター試験は、2019年度(2020年1月)で終わります。2020年度(2021年1月)からは大学入学共通テストへと変わります。
つまり現高2年生は受験しますが、現高1年生はセンター試験自体を受験するわけではありません。
現高1年生が受験する大学入学共通テストは、センター試験から形式がかわり、記述式になります。
それでも今回のセンター試験の活用方法はあります。それは先に述べた「自分の課題を知ること」と「問題の傾向を知ること」という2点があるからです。
「問題の傾向を知る」ために過去数年分の問題を解いても良いのですが、効率的ではありませんし現高2年生以下はその段階ではないはずです。(高校3年生の夏以降であれば、そういう勉強法もあると思いますが…)
そこで便利なのは識者の分析です。それを商売にしている各予備校などのセンター試験の分析を見てみることが一番楽にエッセンスを理解できます。
実際、教育のプロである高校の先生方もセンター試験以降、各社の資料を集めたり、センター試験分析のセミナーに参加して次年度以降の指導の参考にされていますよ。
各予備校のセンター試験の分析
生徒、保護者の方は教えるわけではないので下記の3つについて気になる教科の概要をまずさらっと目を通すだけでも良いと思います。
河合塾、Z会、駿台といえば誰もが一度以上名前の聞いたことのある会社ですよね。
・河合塾のセンター分析
2019年度センター試験特集|Kei-Net / 河合塾の大学入試情報サイト
・Z会のセンター分析
2019年度センター試験分析速報 | Z会 | 日々の学習から受験・資格まで、本物の学力を養成する教育サービスを提供。
・駿台/Benesseのセンター分析
センター試験 | 2019年度大学入試センター試験自己採点集計データネット
例えば、大学入学共通テストでも話題となっているリスニングについて各会社の分析を見てましょう。
各会社のリスニングの分析
以下に各社の分析を引用します。後でまとめるので斜め読みで大丈夫ですよ。
<河合塾のリスニング分析>
難易度 やや易化
音声も全体的に聴き取りやすく、第2問での応答のポイントが昨年と比較して絞りやすくなった。出題分量
マーク数、配点は昨年と同じ。読み上げられた英文の総語数は1,165語(昨年は1,144語)。質問・選択肢の総語数は645語(昨年は575語)。出題傾向分析
音声を正確に聴き取り、聴き取った情報を他の表現に言い換える力に加え、選択肢を素早く読み取り、情報を整理するスキルが必要である。
(引用)2019年度 大学入試センター速報 | 大学入試解答速報 | 大学受験の予備校・塾 河合塾
<Z会のリスニング分析>
■分量と難度の変化(時間/配点:30分/50点)
・マーク数,配点は例年通り。放送文の総語数も昨年並みであったが,印字された設問文・選択肢の総語数は70語ほど増えた。
・問題形式も前年とほぼ変わらないが,放送文・設問の難易度自体は前年よりやや易化した。
・設問の場面設定において,より日常に即した内容が増え,かつ場面設定が多様化したため,解答に高校生の経験のみでは補いきれない想像力を要する問題も多くあった。
■今年度入試の特記事項
・第3問のBについて,昨年出題された案内図の地図のようなビジュアル情報と文字での情報を混在させた形式ではなくなり,代わりに一昨年までと同様のポスター形式のイラストが提示され,情報を確認しやすくなった。■いま解いておきたい問題
第3問A 問15短い対話文であるが,実際に対話している2名の他に,その場にいない2名についても言及され, 合計4名の登場人物がいることが場面の状況を複雑にしている。場面設定も,一般的な受験生にとってはなじみの薄いものであり,また,対話文の短さが,高い想像力を要する要因となっている。
放送文や,設問中にやや難易度の高い単語が出てくるため, 単語の意味をふまえたうえで,状況を想像しながら解答できるかがポイントである。
本問のように想像力で補いながら状況設定を理解し,情報を整理して話の流れを押さえる問題は,センター試験特有の出題形式なので早いうちに慣れておこう。
(引用)「英語リスニング」2019年度センター試験分析 | Z会 | 日々の学習から受験・資格まで、本物の学力を養成する教育サービスを提供。
<駿台/Benesseのリスニング分析>
【2019年度センター試験の特徴】
出題形式に大きな変更はなく、音声+視覚情報で答える問題が出題。昨年より易化音声情報とイラストや図表を含む視覚情報とを組み合わせて答える問題や、3人の話者による話し合いの場面での出題がなされた。聞き取った内容を、設問に応じて処理する力が、昨年に引き続き求められた。また、細かい情報の聞き取り、直接述べられていない情報の類推なども求められた。ただし全体的には取り組みやすく、難しかった昨年より易化。
(引用)問題講評(英語・リスニング) | 2019年度大学入試センター試験自己採点集計データネット
今回のセンター試験・英語(リスニング)の第 3 問 B 問 19 は、ここ数年で出題が続いている視覚的文字情報を見ながら放送を聞いて情報処理する問題である。昨年の地図型の情報ではなく、一昨年までのようなメニュー型の並列情報となったが、設問を解くうえでの情報処理がやや複雑なので注意を要する。問 19 では 20 dollars for the permanent exhibitionsに加えて two special exhibitions のうちの一方に支払う料金も加算しなければならない。
このように3社を見比べるとどうでしょうか。
3社が共通しているのは「昨年より易しくなった」「聞き取った内容を設問に応じて処理する力が必要」という点です。
特にZ会と駿台が共通して紹介した「情報の類推」「想像力を有する問題」を上げています。そして、駿台の分析の中には「ここ数年で出題が続いている視覚的文字情報を見ながら放送を聞いて情報処理する問題」という文章があります。
つまり、何年間分も問題を解かなくても「イラストやポスターなどの情報と音声を元に問われる出題が数年続いていること」がわかります。
こうやってまず傾向を掴むようにしましょう。記事では、英語のリスニングを取り上げましたが、ぜひ、ご自分・お子さんに関係する教科の分析を見てみてください。
傾向をどう活用するか
傾向を知ったとしても、来年も同じ傾向が出るとはもちろん限りません。また現高一年生からは大学入学共通テストになるので、どこまで有効かは想像の域を越えません。
それでもわたしは傾向を把握しておくことが大切だと考えています。
例えば、勉強を野球の練習に例えてみましょう。
普段の勉強は、野球の練習で言えばバッティングセンターです。どういうことかというと、普段の勉強は何を学習するか理解しながら取り組んでいますよね。
具体的に言えば数学なら「三角関数の試験をするよ」と先生に言われて三角関数の問題ばかりを練習して試験に挑みます。
これってバッティングセンターで130kmのストレートが来るよ、とわかっていて、それに向かってバットを振っているのと一緒なんですよね。
そうやって日々の授業は、ストレートが打てるようになったら、カーブ、シンカーと攻略できる球種を増やしていくように進んでいきます。
しかし、色々な球種を打てるようになっても練習試合だと打てなかったりします。
だって実際の練習試合では、事前に投げられる球種はバッターに伝えらえていませんし、ピッチャーによって特徴があるからです。
そこでバッターがすることはピッチャーの分析ですよね。「あのピッチャーはスライダーが独特だぞ」とか「ストレートはヤバイけれどカーブは弱いぞ」みたいなことです。
そして、そこからストレートはヒットに出来ればいいけどファールでも良しとしよう、その代りカーブは絶対打つぞ、みたいな作戦が出来て、練習内容が変わるはずです。
これらを勉強に戻すと「ピッチャーの分析」は「試験の分析」、「練習内容」は「日々の勉強」ですよね。
今の内に成功体験をしてほしい
ここまで書かなくても、おそらく感覚的に多くの方が理解している内容だったと思います。
わたしがこの記事を書いたのは今の段階で、「分析」をして「練習内容を変えて」、「実際に模試を解く」という手順を実際に体験してほしいからです。
既に学校などで一度センター試験を解いている高校2年生も多いはず。それを踏まえて勉強し、可能なら今回のセンター試験を4月にもう一度解いてください。
ちゃんと練習内容を変えていれば、点数は間違いなく上がるはずです。
この成功体験をしておいて欲しいんですよね。だってこのプロセスは最終目標である二次試験対策に必要になりますし、社会に出てからも必要になる能力だからです。
もちろん「分析」については自分でしなくても良いです。今回紹介したような資料を読んでも良いし、高校の先生に相談してもOKです。
傾向を踏まえて、勉強を変えて、点数アップを経験する。ぜひ、取り組んでみてください。では、また。