RYOSAKASANTO

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

大学共通テストのヒントは2022年実施の高校新指導要領にあり


f:id:ryosaka:20181118063832j:plain

先日も記事にしましたが、大学共通テストのプレテストが行われました。 

www.ryosaka.com

このブログでは「課題研究、探求課題は大事だよ」「レポート、論文を書く練習をしておこうね」ということを1年以上前から言い続けてきました。

文科省は公の資料で何度も伝え、プレテストでもわざわざ「探求レポート」みたいな言葉で主張をしてくれています。

では、どうしてこんなに何度も何度もブログで書いているのかというと理由があります。それは、高校生やそのご家族のためです。

数学I・Aのデータの分析の例

実は少し前にこんなことがありました。数学Ⅰ・Aの「データの分析」についてです。

平成24年(2012年)入学の生徒から数学Ⅰ・Aに「データの分析」という内容が新たに加わりました。

「データの分析」の当時(2012年)の教員からの評価は「統計教育が重要なのはわかるが、高校指導要領の範囲だと浅い部分しかできない」というやや否定的なものが多かった記憶があります。

また新たに加わった内容である為に「過去問」がなく、指導しにくいという状況もありました。

つまり「大切なのは理解できるが、そんなに重きを置く場所ではない」という認識を持っていた先生方が多かったように思います。

誤解がないように書きますが、もちろん先生方は教科書にも掲載されている内容なので授業ではしっかり扱っています。

ただ高校3年生の演習の時間で取り上げるかどうかというと別問題です。高3の夏期講習で「データの分析」を演習する暇があったら、もっと別の分野をプリントで演習させる、というの方が多かったと思います。

踏み込んで言うと、二次試験ではまず出ないだろうし、センターも出ないだろう、と決めつけている雰囲気がありました。

実際はどうなったか。わかりやすくまとめらていた記事があったので引用します。

2015年のセンター試験の「数学I」は、「データの分析」を扱った第4問が、全11ページ中5ページを占めた。「数学I・数学A」は、「データの分析」を扱った第3問が必答問題8ページ中4ページを占めた。

(引用)高校学習指導要領の改訂案がおもしろい - 奥村晴彦|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト

引用文の通り、2015年のセンター試験においてデータの分析は出題されました。それも必答問題の半分近くのページを使うほどに。

文科省は重視したことを徹底的に入試に反映させる

先生方の予想を裏切ってデータの分析が出題されました。それでも一部の先生は、初年度だけで来年は出ないんじゃないか、そんなに大事なことか? というスタンスを取る方がいました。

1年後、2016年のセンター試験でも「データの分析」は出題されました。

2年連続、センター試験で出題されてようやく先生方の目の色がかわりました。これは必ずセンター対策でやらなければ。そう気付いた感じでした。

そして、2015年以降、毎年必答問題でデータの分析は出題されています。時間があれば大学入試センターのWEBサイトで実際に見て、確認してください。4年連続です。

(参考)過去3年間分の試験問題|大学入試センター

わたしがここで言いたいのは、対策をしなかった先生が悪いとかそういうことでありません。文科省は重視したことを徹底して行うということです。

大学入試改革の肝は英語と授業改革

文科省だって企業と同じで各省庁と競って予算をぶんどり、お金と時間を使って、色々なことに取り組んでいるわけです。

その1つである大学入試改革は必ず実行されると考えて良いでしょう。

多くの方がご指摘の通り、大学入試改革は英語授業改革です。英語は多くの方が書かれていますし、これまでも書いてきました。こちらのブログでもご指摘のある通り、リスニングの配点が増やされています。

edumama.hatenablog.com

*英語についはまた別途書きたいと思います。

これまでの座学中心の授業を改革をするために色々なツール(e-Portfolio)の導入や指導要領の改訂など様々な取り組みがあります。

例えば、科目編成に新設されるタイトルだけを見ても、文科省の狙いと課題研究・探求課題の重要性がわかりますよ。

新設される科目名はこちら⇒

国語:論理国語、古典探求

数学・理科:数学C、理数探求基礎、理数探求

地理歴史・公民:日本史探求、世界史探求、地理探求

英語:論理・表現

総合:総合的な探求の時間

(参考)高等学校の教科・科目構成について

「総合的な探求の時間」以外にも「探求」「論理」って言葉が、科目のタイトルにあるわけです。

これらは2022年から本格実施です。まだ先のことだし、関係ないと思いますか?

でもね、入試改革って10年スパンで取り組むようなものなんです。今のプレテストを見ても2022年から本格実施される「探求」を見越した問題設定になっていますよね。

そして、大学共通テストは2020年からスタートです。

次の指導要領のことだから「まだ大丈夫」と油断していると痛い目に合う可能性が高いとわたしは予想しています。

あの「データの分析」の時のように。

情報収集が大事な時代

文科省の方針がわかりきっていても高校の先生が、対応しきれないことがあります。

データの分析が出題された初年度のセンター試験を受けた受験生の中には、可哀想な目にあった子どもたちが何人もいると思います。

たまたまそんな時期に受験生だっただけで、振り回されてよいのでしょうか? 

もちろんその年の受験生は、みんな状況としては平等です。でも、格差は生じます。もっと言えば予備校などに通える資金力の差が出てしまいますよね。 

資金力がなければ、みずから情報を集めるしかありません。

そんな情報源の一つ、参考の一つとしてなりたいと思ってこのブログを書いているわけです。

さいごに

課題研究・探求課題に取り組んでいる高校はそれほど多くありません。

そんなものに取り組んでいる時間があれば「教科書を1ページでも多くやってよ」、そう思う学生さん、保護者さんもいると思います。

とっても熱心で素晴らしいことです。

課題研究・探求課題は、本来、大学入学以後にとても役立つ経験を高校時代にさせてくれるものだと思います。でも、これまで書いてきたように「入試」にも役立つ可能性が高いと言えます。

もし取り組んでいない高校だったとしたら、論文やレポートを書いてみたら良いと思いますよ。

大切なのは論文やレポートといった成果物の質ではなく、取り組むプロセスから情報を読み取る力を身に付けることです。大学入学以降も役立つ能力ですよ。では、また。

課題研究に取り組んだ高校生と話をした時の記事はこちら⇒ 

www.ryosaka.com