りょうさかさんと

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【教科担任制】算数・理科・英語の優先導入案から読み解くSTEAM教育の重要性


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どうも、りょうさかさんです。

2020年6月18日の中教審において、2022年度に本格導入が予定されている小学校高学年からの教科担任制について外国語(英語)・理科・算数が優先対象となる案が示されました。

わたしの予想は「英語」「理科」だったので惜しかったですねw 

その時の記事がこちら⇒

今回のニュースからどういうことが考えられるのでしょうか。

算数・理科・英語を優先導入案

前回の記事では、既に専科教員が多く配置されている「理科」と「英語」が教科担任制の対象だと予想しましたが、そこに「算数」も加わりました。

どうして「算数」が加わったのでしょうか?

まず、文部科学省の資料を見てみましょう。

例えば以下の教科を専科指導の対象に加えることが考えられるのではないか。
外国語:新たに小学校において導入された教科であり、指導体制の早急な充実が求められるとともに、中学校への学びの連続性を持たせながら、外国語によるコミュニケーション能力の基礎を培う系統的な指導を行う専門性が必要とされている。
理科:観察、実験などを中心とした問題解決の過程を通じて、児童自らが問題を科学的に解決したり、新たな問題を発見したりする活動を充実するとともに、ICT の活用やプログラミング的思考など新しい知見も活用しながら、理科の面白さや有用性を認識できるような指導、中学校での科学的リテラシーの育成を見据えた系統的な指導を行うことのできる専門性が必要とされている。
算数:統計教育の充実など社会や日常生活の事象に結び付ける活動の充実や、プログラミング的思考の重視など筋道を立てて考える力の育成の重要性、学年が上がるにつれて内容が抽象的になり躓きが生じやすい状況を踏まえ、数学的活動を充実させ数学の良さに気付かせるような指導、児童一人一人に応じた指導、中学校の内容も視野に入れ児童に算数・数学に興味を持たせながら系統的な指導を行うことのできる専門性が必要とされている。

(引用)義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方に係る論点メモ(案)-文部科学省(令和2年6月 18 日第 10 回特別部 会資 料 1 )

色々書いてありますが、おそらく本音は以下の3点だと思います。

  • 英語は、教科化したけど指導体制がまだ不十分だから
  • 理科は、中学校理科を意識した指導とプログラミング教育をしてほしいから
  • 算数は、指導の得手不得手が出やすい、統計を重視しているから

児童生徒の立場でも、英語と理数系は得意不得意がハッキリわかれやすいイメージがありますよね。

教える側の先生にとっても同様に「指導の得意不得意がハッキリわかれている」と読み取りました。

実現すれば、児童にとっても、得意な先生、不得意な先生にとっても全員が幸せになるような気がしますね。

STEAM教育を重視している

わたしは、上記で指摘した点以外に文部科学省の資料と「算数」が加わったことから文部科学省は、けっこうSTEAM教育を重視しているんだと思いました。

STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字をとったものです。

つまり科学・技術・工学・芸術・数学を様々な教育分野を横断的に学ぶ教育手法のことです。

詳しくはこちらの記事をどうぞ⇒ 

文部科学省の資料では「専科指導の基本的な考え方」として以下の文章があります。

社会のグローバル化の進展とともに、Society 5.0 時代における STEAM 教育の充実・強化に向けた社会的要請の高まり踏まえ、専科指導の充実を図る必要があるのではないか。

(引用)義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方に係る論点メモ(案)-文部科学省(令和2年6月 18 日第 10 回特別部 会資 料 1 )

文章としては、たったこれだけなんですが、以前の記事にあるように算数の教科担任は約7%程度。

国語の3%に次いで2番目に少ない教科が算数なんです。

言い換えれば、国語と算数の2教科は担任の先生が教えるものという前提が多くの学校で占めているわけです。

その算数を教科担任制の該当教科にするというのは、相当算数に力を入れる意思がないと案に入れないんです。 

前述のよう算数の教科担任制の狙いとして、統計、プログラミング教育、小・中学校の系統性が挙げられています。

しかし、それだけが算数の教科担任制の理由なのか疑問なんですね。

わたしはそこで以下の2点が算数教科担任制の隠れた理由なんじゃないかと考えたんです。

  1. 小・中・高校まで見通した算数・数学能力の育成が大きな狙いとしてある
  2. 算数・数学能力の使い道は、教科統合的な分野(STEAM教育や探究活動)

2022年からの高等学校の新指導要領では、探究的な学びが重視されます。

その流れとも合致するんですよね。

家庭教育では「美術」に観点を当ててみる

算数・理科・英語の教科担任制の背景を考えた上で、ご家庭の教育では何をすべきでしょうか。

基本的に小学校段階では、学校教育で学ぶことをキッチリ身につけていくことが重要です。

と、これだけだとごく当たり前のことですよね。

わたしが家庭教育で重要だと考えるのは、STEAM教育のArt(芸術)です。

芸術というとあまり実生活に関係のない気がしてしまいますが、デザインと言い換えるとどうでしょうか?

わたしたちの身の回りにあるスマホ、ペットボトルの容器を一つとっても利便性だけで設計されたデザインではありませんよね。

またアートは、人によって見方も評価も表現方法も違うことを体験できる格好の材料です。

そして、こういう感覚的なことが大事だということを富裕層の保護者ほど理解しています。

ベネッセなどの学力調査でも学力の高い子どもは、親と美術館や博物館へお出かけしている経験が多いことがわかっています。

もし美術館や博物館にあまり行っていないなーと感じた方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

それでは、また。

美術作品の見方については、今読んでいる本書がめっちゃわかりやすい!