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【書評】中高一貫の課題研究にオススメ「学びの技」

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どうも陵坂です。今回は課題研究にオススメの書籍について。

玉川大学出版部さんから出版された「学びの技 14歳からの探求・論文・プレゼンテーション」(後藤芳文・伊藤史織・登本洋子です。

とっても良い本なのにタイトルで損をしている本書。だって「学びの技」って書かれたら、すっごい固く難しいイメージしませんか?

しかも課題研究の内容なのに、サブタイトルに「探求」の2文字があるだけ。ネットの検索でもまずひっかからない。すっごい損!

実は、家の近くの図書館で偶然見つけたんですよ。読んでみると課題研究のことを14歳向けに書いてあるとってもわかりやすい内容でした。

(Photo by Louis Reed on Unsplash)

本書の構成

町田市にある玉川学園中等部・高等部での実践を元に作られました。14歳からという設定なので中身の説明は具体的でとても丁寧な構成になっています。

課題研究は、中高一貫校の中3で取り組むことも多いのでまさにピッタリですよね。

目次を見てもらうとこの本の丁寧さがわかるので目次をご紹介。

0.目標設定の技

1.論題設定の技

2.情報収集の技

3.情報整理の技

4.論理的に考える技

5.発表の技

6.論文の技

このように0~6までの7部構成となっています。中学生向けなので1つ1つの項目に具体例を入れてありました。

「自分の場合だったらこうかな?」と生徒さんがすぐに自分に置き換えて考えたり、見通しのイメージが持てるようになっています。

しかも全体でたった145ページ! 

何度も気になった部分だけ簡単に読み返せる分量になっています。

「目標設定」で興味を引き付ける構成

こちらの章では、まず「Did you know? 2.0」というアメリカコロラド州の教師によってつくられた動画の中から一部を日本語訳にして紹介しています。

ちょっと引用してみましょう

あなたは、知っていましたか?

英単語は54万語を越えました。これは、シェークスピアの時代の5倍の単語数です。今日では、3000冊以上もの本が毎日出版されています。

(引用 本書p.5)

こういった文章がほかにも4つ紹介されています。当たり前のように思ってしまう日常に疑問を投げ掛けることで「調べてみたい」という動機づけを助ける構成になっています。 

探求学習のステップの明示

この「学びの技」では探求学習のステップが書かれています。(参照 本書p.9)

「周辺知識を得る」⇒「論題(問い)を決める」⇒「情報を収集する」⇒「情報を取捨選択する」⇒「論理的にまとめる」⇒「発表する」⇒「評価する」

本書の特筆すべき点はその各ステップごとの対応ページを掲載し、加えて、生徒の感情の変化もステップごとに書かれている点です。

しかも1ページにまとまっています。

これって生徒さんにも先生にも心強いですよね!

自分が今、どの段階なのか。次に何をすべきなのか。

そういうことが一目でわかります。

みんなはどうなのかな? こんなに迷っているの自分だけかな? とか不安に思ってしまう場面でも「不安になってくるのが当たり前」「あの段階ならイライラしても仕方ない」って自己認識できたり、他人を思いやったりすることができます。

また初めて課題研究に取り組む先生にとっても見通しが持てたり、生徒がどこで躓きそうなのか想定することにも使えますよね。 

論題の作り方の具体例

問いの設定の思考ツールである「マインドマップ」の書き方の紹介など役立つ内容も記載されています。わたしが良いな、と思ったのは「問いの作り方」の部分です。

「学びの技」では論文初心者でも書きやすい「YESかNO」で答えられる「問い」を推奨しています。(参照 本書p.24)

「科学はどう進歩してきたか」ではなく、「深海に挑んだ人間は科学を進歩させたか」というような具体例が合計7例。

問いを作成するための「5W1H」、キーワードにぶつける質問(Yes/No)のどちらも地球温暖化を元に問の例が掲載されています。 

細かい配慮

情報収集の手段について「図書館で調べよう」「インターネットで調べよう」で終わりがち。

本書では「カーリル」「WebcatPlus」「新書マップ」「Google Scholar」、統計資料なら「e-Stat」「帝国データバンク」「社会実情データ図録」といった具体的なWEBサイト、本の奥付の見方などを紹介しています。

しかもどこを見たら良いのかなど、WEBサイトのキャプチャを元に説明しています。これも丁寧でありがたい。

論文を書く時に反論を考えるように促す

根拠を持って論理的に論文を書く際の注意点としてしっかり「反論」についても触れられています。当然、この部分も具体例を用いて説明しています。

また反論の視点で議論が深まるメリットだけでなく、「反論への反論」も考えておこうと促す構成になっています。(参照 本書p.91)

独りよがりの主張にならない為にもとっても大切ですよね。

まとめ

基本的に「先生が持たせておきたい」「生徒は読んでおきたい」と思う内容が書かれています。

今回紹介しなかった部分では、フィールドワークの仕方、アンケートの作り方、論文の書き方、引用・著作権の注意点、パワーポイントの作成方法、発表時の話し方・聞き方など。

本当に丁寧に書かれているでしょ!

しかも14歳を想定しているので、文章は簡潔だし、ゆるキャラが吹き出しで教えてくれたりとかなり読みやすいように配慮されています。

これだけあってお値段たったの1600円+税!

欠点を言うと14歳を想定しているので高校生以上だと、少し易しく見えてしまうかもしれません。

高校生向けだと啓林館さんから出版されている「課題研究メソッド」がとても良く出来ているそうなので、そちらも確認してみると良いかもしれませんね。じゃあ、また。

 

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