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ついに個人用スマホの授業活用について指定校が報道されました。まだ現時点(2018年6月6日)では東京都教育委員会のWEBページでは公開されていませんが、反論がないことから事実だと考えて良いと思います。
さて、このことについて再度確認していきましょう。
まずは報道の確認
現時点では以下のように報じられています。
東京都は都立高校におけるBYOD(Bring your own device、個人の端末を持ち込んで授業や仕事で利用すること)実現に向けた予算案として、2018年度予算案に2億円を計上している。都立学校にWi-Fi環境を整備し、授業などでのICT利用環境を整えるとともに、ICTによる学習支援などのデータを収集・分析し、「学びの質」の向上につなげる取組みなどを研究開発するねらい。
シンプルに言うと個人スマホもってきて授業で使うよーということです。
導入の方式は2パターンあります。それはWi-Fi設置型とモバイルルーター設置型です。
Wi-Fiアクセスポイント設置型は、普通教室にWi-Fiアクセスポイントを設置し、授業内でのスマートフォン活用を進める。指定校は、南多摩中等教育学校、大泉高等学校・附属中学校、三田高等学校、西高等学校、白鴎高等学校・附属中学校、向丘高等学校、美原高等学校の7校。
モバイルルーター配備型は、指定校1校につき16台のポケットルーターを配備し、授業などでのスマートフォン活用を進める。指定校は、永山高等学校、若葉総合高等学校、東久留米総合高等学校の3校。
(引用)都立校での授業スマホ活用、西・三田などBYOD研究指定校10校 | リセマム
Wi-Fiアクセスポイント設置型の方に進学校、モバイルルーター配備型は総合高校など少し位置付けが違うので、単純な比較はできなさそうですね。
2018年9月からスタートなので夏休みの間に各学校で工事が行われるんでしょう。
この方針は都立学校スマートスクール構想に基づいています。
都立学校スマートスクール構想とは
この方針は「平成30年度教育庁主要施策」でも簡単に触れられています。
実施の文章を抜き出すとこんな感じです。
(引用)http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/press_release/2018/files/release20180222_01/besshi_03.pdf
「AI・ビッグデータ等のICT技術により学校教育の課題解決を図ることを目指した」という文言がありますが、正直言ってチンプンカンプンです。
スタディサプリなどのアプリや教材は有用ですし、eポートフォリオなどの活用も理解できますが、まさかそれとごちゃ混ぜになっていないよね? と尋ねたくなる文章です。
個人スマホの実証研究がスタディサプリ導入で終わらないことを祈るばかり(笑)
持っていない生徒も大丈夫
都立高校の個人スマホ活用については、以前の記事でも紹介しています。
前回の記事であげたのはスマホを持っていない生徒への対応です。
まず全国のスマホを持っている割合については総務省の通信利用動向調査で56.8%となっています。平成28年の13歳~19歳は79.5%となっています。
規模は違いますが東京都もスマホ所有率について調査をしています。これによると高校生の約92%がスマホを所有しています。
(引用)都立高校で個人スマホの活用について - 陵坂と考察と
このようにスマホを持っていないのは10人中3人。現実的には1人いるかどうかという状況ですから、校内に40台もタブレットがあれば持っていない生徒への対応は十分と言えるでしょう。
個人スマホ利用の一番の課題
一番の課題は、端末がバラバラということです。
授業で使用したいアプリがあっても全員の端末で使えるのかどうかが一番の壁になりそうです。古い機種やマイナーな機種の生徒たちもカバーできるだけの予備のタブレットが学校にあれば問題ないでしょうが、そうでないと大変です。
調べるという活用
個人スマホの活用として考えられるのは「調べる」という作業です。
そして、これは次のことを意味します。
つまり先生が知っていることを伝える授業は終わります。
だって、調べたらわかることをわざわざ教えてもらう必要ないよね。もちろん最低限の指導はあるでしょうが、「調べる」ことが前提の授業になれば、そこから「自分で考える」ことにシフトするはずです。
そして、この考えは次期指導要領から取り入れられる「探求課題」とも通じる考え方です。
どう調べて、何を考えるのか。
その模範であり、サポート役という立場が先生には求められるわけです。
もちろんこれは私が考えたほんの一例。
どう活用するかは教員の方の腕の見せ所。スタディサプリの動画授業なんかより、スマホを活用した俺の授業の方が面白いんじゃい! と是非見せつけて欲しいものです。
じゃあ、また。