どうも、りょうさかさんです。
今回も「大分断-教育がもたらす新たな階級化社会」(エマニュエル・トッド/大野舞 役/PHP新書)です。
わたしが気になったのは「絶対値による会話分析法」という手法についてです。
わたしもたまにすることがある手法なので、ご紹介したいと思います。
「絶対値による会話分析法」とは
トッド氏は「絶対値による会話分析法」という思考方法を本書の中で紹介しています。
彼の表現を引用すれば「『人々が口にすることと全く反対の内容が、しばしば真実である』という考え方です」(p.176より引用)という思考方法です。
例えば、ある人物が「女性が嫌いだ」と言った場合、「嫌い」といったマイナス記号を省いて「女性」について「捉われている」と分析するといった具合です。
なぜマイナスの記号を省くのかというと「なぜなら大抵の場合、人は気がかりになっていることについて、真実とは逆の記号を付随させて表現するものだからです」(p.179より引用)。
以前、作家の村上龍さんのエッセイの中でも同様の指摘を読んだ記憶があります。
その時の例えはこんな内容だったと思います。
「不良ほど『自由』という言葉をポジティブに使うが、本当に自由だったら自由とは言わない。彼らは不良になっても自由を感じられないから、自由を連呼する」
どちらも共通するのは、「よく使われる言葉(=キーワード)を読み取る」ということです。
言葉の背景を読み取る
この「キーワードの読み取り」は、わたしもたまに使います。
わたしの同僚にすぐ「(Aは)仕事ができる」「(Bは)仕事ができない」と口にする人物がいます。
この同僚のキーワードってなんだと思いますか?
「(Aは)仕事ができる」
「(Bは)仕事ができない」
この台詞に共通する単語は「仕事」です。
確かに「仕事」にもこだわっているのでしょうが、わたしの考えるキーワードは「仕事」ではありません。
この同僚のキーワードは、「評価」です。
わたしの同僚は「他人からの評価」に捉われており、だから他人に対しても「仕事ができる」「仕事ができない」と「評価」をしているんだと思います。
もちろんほとんどの「人」は、「組織内部」からも「組織外部」からも「評価」される生き物です。
例えば、子どもは親、教師、ペーパーテストの結果(入試)で評価されますし、教師は、校長、児童生徒、教員同士から評価されます。
会社員も同様に社内、社外から評価されます。
そういう状況は誰でもほとんど同じはずなんですが、「評価」について口にする人もいれば、そうでない人もいるわけです。
頻繁に「評価」を口にするタイプの同僚は、自己評価と他者評価の乖離に捉われているとわたしは分析しています。
だからわたしは同僚が「(Aは)仕事ができる」「(Bは)仕事ができない」と言い出したらA、Bのことは軽く流して「同僚本人の仕事の頑張り」に触れるようにしていますよ。
英訳してみる
わたしが例にだした「仕事ができる」「仕事ができない」は、直接キーワードが探しづらい言葉でした。
こういう時に簡単な方法は、英作文をしてみることです。
先ほどの例でいえば、「彼は仕事ができる」を"He can work."と英訳するとニュアンスが違うことがわかりますよね。
「彼は仕事ができる」を「彼は有能である」"He is competent."と言い換えると「能力」「評価」について言及していることが簡単にわかります。
もし身の回りの人が良く使う言い回しに気付いた時は、こんな感じで英作してから分析してみると良いかもしれません。
それでは、また。
「大分断-教育がもたらす新たな階級化社会」(エマニュエル・トッド/大野舞 役/PHP新書)を元に考えたこと等を書いた記事はこちら⇒