どうも、りょうさかさんです。
少し前ですが「職場の人間は全て敵だと思うと気が楽になる」という趣旨のツイートが話題になりました。
そういう認識を選択されるのは自由で否定しませんが、個人的には不幸だと思ってツイートしたことがあります。
俺はコレ、不幸だと思う。世の中は敵か味方の2つだけじゃない。敵と思うと相手にも伝わって、本当はそうでなくても敵を作ってしまう。
— りょうさかさん (@ryosakahigh) September 3, 2020
私は敵でも味方でもない「どうでも良い人」の枠が1番多くて、お互いにそう思いあってゆるやかに繋が https://t.co/5tISjUJFfS
今回は、この「個人的な考え」についてまとめておきたいと思います。
なお、以下の文章では「敵」と「味方」と書いていますが、「嫌いな人」「好きな人」と読み替えてもらっても大きくは違いません。
敵と味方の2種類にしたいのは脳が楽だから
言うまでもなく、世の中には敵と味方の2種類だけではありませんよね。
「是々非々で判断する人」「その場の気分や雰囲気で判断する人」のように敵とも味方ともつかない人、さらには「どうでもよい人」なんてものも存在します。
こんなことは誰だって本当はわかっているはずなのに「世の中には敵と味方しかいない」と判断したり「敵だらけだと思った方が楽」だと考えるのはなぜでしょうか?
結論から言えば、脳が楽だからです。
少し説明しますね。
ノーベル経済学賞(2002)を受賞したダニエル・カーネルマンは、人は意思決定の際に「速い思考」と「遅い思考」を使い分けていると考えました。
すごく簡単に言えば、「速い思考」とは「直感」のことです。
「直感」を言いかえれば、物事を感覚や感情や経験で判断するのが「速い思考」なわけです。
「遅い思考」とは「じっくり考える」ことです。
「速い思考」と「遅い思考」に優劣はなく、人はそれらを使い分けて生活しています。
一方で、脳には「できるだけ楽をしたい」という特徴があります。
そのため人は、できるだけ「遅い思考」が必要な問題は後回しにする、じっくり考えるべきことも「速い思考」で判断するということになります。
あなたも思い当ることってありませんか?
申請は簡単だと知っているのに、色々な情報に振り回されて結局マイナンバーカードの申請をしなかったり。
本当はじっくり比較検討すべきなのに、Amazonレビューの☆の数だけ見て購入したり。
全部わたしのことですが…。
このように脳は、「速い思考」で判断しようとします。
本当は敵と味方以外もいるのに敵と味方のたった2種類だと考えてしまいやすいのは、おそらくこの「速い思考」のせいだと考えられます。
(「速い思考」「遅い思考」に興味のある方は、以下の書籍をどうぞ⇒)
自分の考えを補強するために結論にあった情報を集めだす
わたしたちが「速い思考」をしがちなのは脳の特徴の一つです。
これによって「敵」か「味方」かわからない宙ぶらりんの状態にしておくこと(=「遅い思考」)を脳が避けるため直感(=「速い思考」)で「敵」や「味方」にカテゴライズしてしまいます。
そうやってカテゴライズしてしばらくすると「やっぱりアイツ敵だったんだな」という情報が集まってきます。
このような傾向を認知心理学では「確証バイアス」と呼びます。
とても簡単にいうと「確証バイアス」とは自分の考えにあてはまる情報だけを集め、それに反する情報は無視することです。
例えば、会社内の「敵」の情報として同僚から「アイツは過去に3件のミスをしている」と聞いたとしましょう。
すると「わたしの敵は、やっぱりミスをする仕事の出来ない奴なんだ」と認識してしまいます。
事実は「3つのミス以外に97の成功」だとしても「3つのミス」の方だけを採用して「97の成功」を無視してしまうんです。
もしくは自分の都合のよい解釈(成功したのは「たまたま運が良かっただけ」と考える)をします。
敵だと思うと相手に伝わって嫌われる
「速い思考」でなんとなく「敵」「味方」に切り分けると、「確証バイアス」によって自論を補強する情報を集めて、「敵」「味方」をより強く捉えてしまいます。
そして、行動や言動からいつしか「あなた」が「敵」と考えていることが「相手」にも伝わります。
すると「相手」もまた「あなた」を「敵」と捉えてしまいます。
これを心理学では「悪意の返報性」といいます。
わたしが「世の中敵だらけ」という認識が人生を不幸にすると考える理由はここにあります。
もし元々「相手」が「あなた」を嫌っていない場合、あなた自身があなたの敵を増やしていることになるからです。
「世の中敵だらけ」という認識は人生をより不幸にする
『 「世の中敵だらけ」という認識は人生をより不幸にする』理由をここまで共有してきた情報を元にみていきましょう。
- 「速い思考」で「敵」を実際より多く認識してしまう
- 「確証バイアス」で敵だという判断が間違っていない情報が集まる
- 本当は「敵」ではなかった人まで「悪意の返報性」で本当に「敵」になる
- やっぱり「敵」だという自分の判断は間違っていなかったと確信する
- 1に戻る
こうやって自分で自分の敵を増やしていく考え方が「世の中敵だらけ」という認識です。
真っ当に生きていても嫌われたり、悪意や敵意を向けられることがあります。
また人間ですから完璧ではありません。
自分では些細だと思っているミスや失言が知らずうちに他人の中の悪意や敵意を育てている可能性だってあります。
誰だって嫌われるし、敵のいない人はいないんです。
わたしはそれでも"あえて"自分から自分に向けられる悪意や敵意を増やしたくないと考えています。
「敵」「嫌い」というカテゴリーにいれそうになったらとりあえず「どうでも良い人」というグレーゾーンに入れています。
これは悪意の返報性を軽減する以外にもう一つ別のの理由があります。
わたしは性格上気になると考えてしまう癖があるので、他人を嫌いになると「嫌いな人」のことをつい考えてしまうんですよね。
貴重な人生において『「嫌いな人」のことを考える時間』ほど無駄なものってないんです。
だから「嫌いな人」ではなく「どうでも良い人」だと思うようにしているわけです。
最後にもう一度書きますが、「世の中敵だらけ」という選択を否定するわけではありません。
もしそういう認識の方が読まれた場合は「こんな考えの奴もいるよ」と参考程度に思ってもらえれば幸いです。
それでは、また。