りょうさかさんと

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

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小・中・高校のプログラミング教育について


どうも、教育関係会社員のりょうさかさんです。

2020年度から実施の指導要領では、小学校でプログラミング教育が始まりました。

そのことについてはこちらをどうぞ⇒

今回は小・中・高校のプログラミング教育について簡単にまとめておきたいと思います。

小学校のプログラミング教育

小学校のプログラミング教育については以前、まとめたように「体験」をしながら「プログラミング的思考」を育成することが規定されています。

文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引き」では以下のよう書かれています。

その上で、情報活用能力の育成を図るための学習活動の充実を図ることとして、特に小学校においては、「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」を行うことと規定しました。(太字引用者による)

(引用)小学校プログラミング教育の手引(第三版)令和2年2月 文部科学省

この「コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力」が「プログラミング的思考」のことです。

プログラミング体験は行うが、プログラミング能力を身につけるのが目標なのではなく、論理的思考力を身につけることが目標なんですね。

プログラミングコードを書けるようにならなきゃいけない! みたいなことではないんです。

そして、指導要領ではプログラミング教育をA~Fの6つに分類しています。

  • A 学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの
  • B 学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの 
  • C 教育課程内で各教科等とは別に実施するもの
  • D クラブ活動など、特定の児童を対象として、教育課程内で実施するもの
  • E 学校を会場とするが、教育課程外のもの
  • F 学校外でのプログラミングの学習機会

シンプルにいえば『どの教科、どの場面でもプログラミング体験やプログラミング的思考の育成して良いよ』と言いつつ、『「A 学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの」に示す場面では必ずプログラミング体験をしろよ』と言っているわけです。

このAに例示されているものは、3つあります。

  • 算数 小学校5年生「正多角形の作図」
  • 理科 小学校6年生「電気の性質や働き」
  • 総合的な学習の時間 「情報に関する探究的な学習」

特に上段の2つは算数・理科という教科の中できっちりと位置付けられています。

どんな授業例があるのか気になる方は、文部科学省・総務省・経済産業省による「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」を見てみてくださいね。

中学校のプログラミング教育

小学校は各教科・単元などの中でプログラミング教育をしましたが、中学校は「技術・家庭科技術分野」において行います。

2021年からの指導要領では「計測・制御のプログラミング」に加え、「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミング」を学ぶことになります。

(参考)教育の情報化の手引き-追補版-(令和2年6月)第3章 文部科学省

「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミング」と言われても何をするのかわかるような、わからないような感じだと思います。

文部科学省の資料だと以下のように説明されています。

なお,ここでいうコンテンツとは,デジタル化された文字,音声,静止画,動画などを,人間にとって意味のある情報として表現した内容を意味している。また,ネットワークを利用した双方向性とは,使用者の働きかけ(入力)によって,応答(出力)する機能であり,その一部の処理の過程にコンピュータ間の情報通信が含まれることを意味している。(太字引用者による)

(引用)中学校技術・家庭科(技術分野)内容「D 情報の技術」におけるプログラミング教育実践事例集(文部科学省)

文部科学省の実践事例集で紹介される取り組みでは、以下のような例が示されます。

  • AIによる画像認識技術を使ったプログラミング
  • チャットシステムを使ったプログラミング
  • 音楽配信システムを使ったプログラミング
  • 地図コンテンツを使ったプログラミング

プログラミングと言っても基本的には「Scratch」などのグラフィックスプログラミングのようですが、小学校時と比べるとかなりしっかりした内容です。

アクティビティ図という「システム実行の流れと条件分岐」もプリントに書くなどの取り組みも行います。

高校のプログラミング教育

次に高校の指導要領では、プログラミング教育の扱いはどう変わるのでしょうか。

大きな変化があるのでまず箇条書きでまとめておきますね。

  • 2022年から「情報Ⅰ」が新設され、必ず履修する。
  • 「情報Ⅰ」では、「プログラミング」「ネットワーク(情報セキュリティ)」「データベース」の基礎などを学ぶ。
  • 「情報Ⅱ」では、「情報とデータサイエンス」を学習する。
  • 2025年の大学入学共通テストにも「情報」(情報Ⅰを出題範囲)が新設される。

(参考)教育の情報化の手引き-追補版-(令和2年6月)第3章(文部科学省)

なお、高校の情報ではプログラミング言語も扱うので小・中学校とはガラっと変わりますね。

先生向けにセミナーをしているアシアル情報教育研究所が行ったアンケートによると「情報Ⅰ」で扱う予定のプログラミング言語ではPythonとJavaScriptの2つが多いようです。

1位はPythonで次いでJavaScriptが選ばれています。この2言語からかなり離れてVBAとScratchが続きます。弊社のセミナーにはMonaca Educationで既にプログラミングの授業を行っている先生が多く参加しているためJavaScriptの回答が増えるバイアスがかかっている可能性はあります。

(グラフ・文引用)「情報Ⅰ」の教科書とプログラミング言語に関するアンケート結果 – Monaca Education

令和7年度(2025年)に向けた「共通テストのサンプル問題」でも「比例代表選挙の当選者を決める仕組むについて、プログラミングを用いて検討する」というものが出題されています。

実際に「共通テストのサンプル問題」から一部抜粋して紹介しますね。

(引用)令和7年度以降の試験に向けた検討について|大学入試センター

共通テストなので「特定の言語」が必要なわけではありませんし、選択肢から選ぶ形ですが、プログラミングの形式・考え方が身についている必要がありますね。

小・中・高校のプログラミング教育のまとめ

最後に簡単にこれまでの内容をまとめておこうと思います。

  • 小学校のプログラミング教育は、「体験」をしながら「プログラミング的思考」を育成
  • 特に算数小5「正多角形の作図」、理科小6「電気の性質や働き」、「総合的な学習の時間」で体験する
  • 中学校のプログラミング教育は、「計測・制御のプログラミング」に加え、「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミング」を学ぶ
  • 高校では、2022年から「情報Ⅰ」が新設され、必ず履修する。
  • 「情報Ⅰ」では、「プログラミング」「ネットワーク(情報セキュリティ)」「データベース」の基礎などを学ぶ。
  • 2025年の大学入学共通テストにも「情報」(情報Ⅰを出題範囲)が新設される。

時代の変化を感じますが、今の子どもたちがプログラミング教育でどういったものを学ぶのか知っておきましょう。

それでは、また。