共通テストに再び問題発生です。
入学共通テスト、問題作成委員らが例題集を出版 「疑念持たれる」と指摘受け複数辞任 - 産経ニュース
受験生、その親御さんは怒り心頭ですよね。
同じ教育業界にいるものとして、わたしも残念極まりないです。
そして、改めて受験における公平性とは何か考えさせられました。
記事の内容
産経新聞のスクープ記事を引用すると以下のようになっています。
来年1月実施の大学入学共通テストに絡み、国語の問題を作成する分科会の複数の委員が昨年8月、導入予定だった記述式に関する例題集を民間の出版社から発行し、その後、利益相反などの疑念を指摘されて委員を辞任していた(中略)
問題となったのは、東京の大手教科書会社から昨年8月発行された共通テスト・国語記述式対策の市販本(定価2200円)で、教師や受験生向けに10の問題例と解答、解説、正答条件を掲載。
(引用)入学共通テスト、問題作成委員らが例題集を出版 「疑念持たれる」と指摘受け複数辞任 - 産経ニュース
一行で書くと「出版された国語の記述式対策本に、複数の委員が関わっていた」ということです。
なお、なぜか新聞では報じられなかった具体的な書籍と関わった方はこちら。
当該出版社は教育出版(東京都)で、発行した書籍は『新時代の大学入試国語記述式問題への対応―10の問題例とその解説』(幸田国広編著)であることがわかった。編著者の幸田国広氏は早稲田大学教育総合科学学術院准教授で、専攻は「国語教育の理論と実践」という。
(引用)大学入学共通テストの問題作成担当者が著作・編集した書籍の出版元は「知らなかった」:大学共通試験、作成委員が予想問題集 | ビジネスジャーナル
リンク先のビジネスジャーナルでも指摘されていますが、産経新聞が該当出版社や委員の実名報道をしない理由が謎です。
というのも新聞報道をヒントにAmazonで「国語 記述式」で検索したら5分もあれば見つかるからです。
しかも普段あれほど実名報道についてこだわっているのに…。
ちなみにビジネスジャーナルの記事では、出版社の方も「関わっているとは知らなかった」とのことです。
大学入試センターの見解
大学入試センターから即日否定の見解が発表されています。
問題作成委員の特定につながりかねないことから、取材に対してはお答えしておりません。また、「分科会長が辞任した」という報道については、そのような事実はありません。(中略)
出版物の内容について国語の問題作成を担当している分科会長に照会しましたが、作成途中であった第1回大学入学共通テストの記述式問題の内容を類推できるような情報は記載されていないことを確認しています。
(引用)令和2年2月 17 日付け産経新聞の報道について-独立行政法人大学入試センター
大学入試センターの見解は「辞任していない」「記述式の内容を類推できない」というものです。
私学は予備校へ外注
入試問題って作ったら漏れないように金庫に保管したり…っていうイメージがありますよね。
でも、そもそも私学は予備校に外注しているそうです。
大学の現状を全然わかっていない社説。
— 新井紀子/ Noriko Arai (@noricoco) February 17, 2020
首都圏等の巨大私大の記述式に補助金出したら、予備校への外注が進むだけ。(すでに私学の予備校への入試問題外注は公然の秘密だし。)
朝日ってまさに「それを」利益相反として問題視していたんじゃないの?
https://t.co/T0bHESjsUF
「AI vs 教科書を読めない子どもたち」の著者でもある新井紀子先生が「私学の予備校への入試問題外注は公然の秘密」とツイートされています。
これが事実なのかどうか、わたしにはわかりません。
ただコレが、事実であれば私学狙いなら予備校に通った方が有利ですよね。
だって外注を受けた予備校は、講義を通して生徒にエッセンスを伝えるでしょ。
予備校同士で情報交換している可能性もあるわけで、そうなると予備校に通える家庭環境とそうではない家庭で大きな差がつきますよ。
共通テストは、委員が関わった問題集が市販される。
私学の入試問題は、予備校に外注されている。
入試の公平性とはなんなのでしょうか?
公平生とは何なのか?
問題集と予備校の件が共通するのは、事実、事情を知っている人が得をする点です。
共通テストの英語民間試験利用では、公平性が一つの問題点でした。
公平性を否定する方はいないと思いますが、どの程度許容するかの範囲は変わると思います。
現実問題として子ども達や私たちが置かれている環境は同じではありません。
- 家庭環境
- 親の教育観
- 世帯年収
- 居住地周辺の大学数
様々な環境・状況が違う中でもペーパーテストで行う受験に正当性があったのは、範囲も限られ、本人の努力と学力が反映されやすかったからなはず。
一方で、今回の「予備校が製作者が関わっているから試験の傾向を掴める」「共通テストに関わって人の問題集で得をする」というのは「受験ハック」に過ぎないのではないでしょうか?
できるだけ公平性を保つなら
共通テストの記述式は一旦なくなりましたし、繰り返しになりますが私学の予備校への入試問題外注が事実かどうなのかわたしには、わかりません。
ただわたしは考えてしまうのです。
英語民間試験を複数受けることができるのは不公平で、予備校に通ったり、問題作成委員の作った問題集を購入するのは公平なのでしょうか。
どこからが公平で、不公平なのか。
おそらく予備校を不公平だと訴える方は、一番少ないと思います。
一方で、金額だけを争点にすれば
問題作成委員の書籍が一番安く(2,200円)、英語民間試験(1万円前後)、予備校(10万円以上)と大きな差が出てきます。
予備校に通える財力の方がよほど不公平になりますよね。
もっと話を拡大すれば公立より有名私立進学校に通える家庭が有利ですよね。
金銭面を出来るだけ公平にするのであれば、高校の授業料、大学授業料を無償化することが一つの手法だと思います。
あなたはどう考えますか?
それでは、また。