りょうさかさんと

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【書評】「逆引き版ICT活用授業ハンドブック」豊富な「準備」と「アイディア」


どうも、教育関係会社員のりょうさかさんです。

今回紹介するのは「逆引き版ICT活用授業ハンドブック」(渡辺光輝・井上嘉名芽・辻史郎・林孝茂・前多昌顕/東洋館出版)です。

「ICT活用をこれから取り組むぞ!」という先生には、簡単な機能~具体的な活用まで掲載されているので役立ちますよ!

また「学校現場はどんなICT活用をしているのかな?」と気になる教育関係の方にもオススメです。

「逆引き版ICT活用授業ハンドブック」とは

「逆引き版ICT活用授業ハンドブック」とは、ICT・クラウドの特性を活かした授業をするための「準備」と「アイディア」が丁寧に掲載されている書籍です。

本書で紹介されるアプリは、Google Workspace for Educationを中心に基本的に無料で使えるものが中心となっています。

本書の構成は、次のような流れです。

  • アプリ活用の基本
  • 導入~課題把握~
  • 展開~情報収集~
  • 展開~整理・分析~
  • 展開~意見交流・共有~
  • まとめ~表現~

つまり授業の流れに沿ってアプリの使い方やアイディアが掲載されているわけです。

これから児童生徒の1人1台端末を使った授業をしようという先生は、「まず導入で使ってみるか」みたいな感じで、自分が取り入れやすそうなところから読んでみてください。

そういった使い方から始めて、子ども側から「この場面でも1人1台端末を使いたい」と意見が出てくるような授業になると素晴らしいですね。

わたしが特に参考になった5点

次にわたしが参考になった箇所をご紹介したいと思います。

  1. 紙データを写真撮影して文字起こしする(p.52)
  2. 地図上から地球環境や地域の移り変わりを捉える(p.56)
  3. 教材文にコメントを付け合う(p.77)
  4. ブラウザでQRコードを表示してファイルを共有する(p.84)
  5. ひっかき絵(スクラッチアート)を描く(p.93)

この辺りの方法をパッと「はいはい、たぶんあのアプリを使ってやるんでしょ」とイメージができる方は本書を卒業しているレベルなので、読まなくても大丈夫。

逆にわたしと同様、「へえー、こんなのできるんだ!」と思った方は一度読んで試してみると良いと思いますよ。

ICT系にありがちですが、実際にやるまでは難しそうなものも、一度やってみると意外に簡単だったりして、二回目以降のハードルがグッと下がるんですよね。

まずは本書を読みながら触ってみる。

そして、児童生徒と一緒にやってみる。

全ての場面でやろうとするのではなく、「使えそう」と思える場面からチャレンジしてみると良さそうですね。

学校間のICT格差

以前も記事にしましたが、学校によってICTの利用には差があります。

昨年の文部科学省の調査では、小学校だと以下のような数字になっています。

  • よく活用している 約11%
  • どちらかといえば活用している 約34%
  • あまり使っていない 約41%
  • 全く活用していない 約14%

詳しくは内容や中学校の数字が知りたい方は、こちらをどうぞ。

もちろんICTを使っていれば、それだけで良い、みたいな考え方は気を付けなければいけませんが、ICTを使う先生・児童生徒とそうでない先生・児童生徒では、年々差が開いてしまいます。

実際、2022年4月19日に実施された全国学力・学習状況状調査では、プログラミングやタブレット端末、タッチパネルの性能についての問題が出題されました。

例えば、小学校の算数の4問目が「正方形のプログラムを元に正三角形を書くプログラムを作る」というものでした。

執筆時点で得点などの分析は出ていませんが、授業でしっかり端末を使ったプログラミング教育を体験したかどうかで差が生まれやすそうですよね。

実際の問題文の一部がこちら。

(引用)令和4年度全国学力・学習状況調査の調査問題・正答例・解説資料について:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research

これ、知らない方が見たら「おいおい、やりすぎじゃない?」と思われるかもしれません。

実は、指導要領でも「小学校5年生の正多角形の作図」をプログラミングですることが明示されています。

そして、文部科学省が「小学校プログラミング教育に関する研修教材」という先生向けの資料も用意し、取り組みやすい準備もしてくれているんですよね。

つまり「指導要領通りに授業をやっていたらできるよ」っていう問題を全国学力調査で出題してきたんですよ。

ちなみに小学校の理科は、場面設定がタブレット端末

中学校理科ではタブレット端末のタッチパネルについて探究的な学びをテーマにしています。

これも普段の活用具合によって差がでるのかどうか…。

言うまでもありませんが、全国学力状況調査のために勉強しているわけでありませんし、タブレット端末のために勉強しているわけでもありません。

しかし、点数にタブレット端末の使用頻度が影響してもおかしくない状況なんですよね。

ICTについては色々な意見がありますが、このような面があることを知っておいてくださいね。

もし明日からもっとICTを使ってみようと思った方。

まずはこの「逆引き版ICT活用授業ハンドブック」を読んでみると良いじゃないでしょうか。

それでは、また。