どうも、りょうさかさんです。
今回は「読者ハ読ムナ(笑)」(藤田和日郎・飯田一史/小学館)についてです。
漫画家志望者必読書!!といわれる本書は、社会人にとっても必読書といえる内容でした。
そんなことを抜きにしてもメチャクチャ面白いぞ!!!
「読者ハ読ムナ(笑)」の内容
「読者ハ読ムナ(笑)」は、「うしおととら」「双亡亭壊すべし」の作者藤田和日郎先生と編集者武者正昭さんが新人漫画家に向けて漫画家論を語るという内容になっています。
アシスタントにきた1人の新人に語りかけながら、アドバイスしていく形式なのでとても読みやすい構成になっています。
漫画家志望者以外にも新社会人から中堅社員まで役立つ
本書「読者ハ読ムナ(笑)」は、漫画家志望者やクリエーター志望者だけでなく、新社会人から中堅社員まで役立つ内容になっています。
本書の冒頭に象徴的なエピソードがあります。
藤田先生の職場には「ムクチキンシ」の張り紙があるということです。
なぜ「無口禁止」なのか?
藤田先生は「ひととコミュニケーションがとれれば漫画家になれると、思っている。」と述べます。(本書kindle No.265より)
どうしてコミュニケーションが必要だと考えるのかというと…
- 自分の世界にとじこもらない
- 他人がやっていることに興味をもつこと
- 自分と作品を切り離す
- 自分の視点以外の視点を知る
- 自分一人の力だけでは目的を達成できない
などが本文中に散りばめられています。
わたしが最近の若手社員によく感じるのが「コミュニケーションは上手い」「しかし、他人にあまり興味がない」「仕事のダメ出しと人格否定を混同しやすい」というものです。
最近の若手社員って会話の受け答え自体は上手なんですよね。
でも、「先輩は今何をしているんですか?」の一言が聞けない。
そして、「商品・サービス」への厳しい評価を「自分のこと」のように感情的に受け取るんです。
「商品・サービスへの評価」と「営業担当者としての評価」は全く別です。
また「営業担当者としての評価」と「一人の人間としての評価」は、くっついている部分は確かにあるけれど基本的に別だという意識を持っていた方が良いと思います。
つまり「個人とそれ以外の評価の距離感」を自覚するということです。
でも、この辺りをごちゃ混ぜにして一喜一憂していたら、自分を客観視できずにどんどん内向きに視点が狭まっていくと思います。
もちろん成功し続けることが確定しているのなら視点が狭まっても問題ないかもしれませんが、人生なんて浮き沈みがあって当たり前。
そういう時に視点を外向きに保って、出来るだけ客観的に自分を見るのって、体勢を戻すのにとっても有効だと思うんですよね。
コミュニケーションは若手だけの問題ではない
「なんか最近の若手は!」はみたいな文章になってしまいましたが、基本的に最近の若手は、わたしが新入社員だった時よりもみんな優秀です。
これはわたしだけの意見ではなく、同期入社組で集まったりするとみんな口を揃えて同じことを言います。(おそらく他の会社でも同じなのではないでしょうか?)
本人の努力はもちろん、ご家庭の教育は大前提として、小学校・中学校・高校の先生たちの努力がこうやって社会に良い人材を送り出してくれているんだと感じます。
さて、上段で書いた「コミュニケーションの問題」は若手だけのものではありません。
なぜなら、コミュニケーションは相手があってのものだからです。
本書には、こんな言葉があります。
誰かといっしょに仕事をしていくには、まず心を耕さないといけない。
関係性をつくらないと、言われた言葉は入ってこないんだわ
(引用)「読者ハ読ムナ(笑)」(藤田和日郎・飯田一史/小学館)(1行目KindleNo.442より、2行目No.720より)
つまり「指導する側のコミュニケーションはどうなのよ?」ということです。
若手から「先輩は今何をしているんですか?」と聞かれやすい存在なのか、「仕事のダメ出し」を言ってもちゃんと聞いてもらえる関係なのか。
中堅社員、上司の側に「心を耕す努力」がなければ若手には届かない。
一昔前は「飲みニケーション」で「心を耕す努力」をしていたのかもしれませんが、現在は「飲みニケーション」自体が不評ですよね。
若手に不評なことを押し付けるのがコミュニケーションなのか。
それが心を耕す方法として適切なのか。
言うまでもないことだと思います。
「読者ハ読ムナ(笑)」を読んで、わたしは中堅社員としてどうすれば、より「聞かれやすい」存在になれるのか考えるキッカケをもらいました。
「読者ハ読ムナ(笑)」のまとめ
冒頭に書いたように本書「読者ハ読ムナ(笑)」は、漫画家志望者、クリエイター向けの書籍です。
しかし、今回書いたようにサラリーマンも参考になり、考えさせられます。
なにより、メチャクチャ面白い!
架空の新人漫画家のアドバイスという形をとりながら藤田先生の漫画の考え方、同業者の方のエピソードを楽しむことができます。
また架空の新人漫画家の歩みというバックストーリーが、読者の興味を支えるので読み進めやすいんですよね。
本書の最後、架空の新人漫画家は、週刊連載を手にするんですが「本当にこんな漫画があったら読みたい!」とそんな気にさせられるんですよね。
読み物としても面白いので、全ての漫画好きにオススメです。
それでは、また!