りょうさかさんと

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【書評】「嫌われる勇気」から学ぶ5つの心構え


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どうも、りょうさかさんです。

今回はアドラー心理学本のベストセラー「嫌われる勇気」についての書評です。

200万部を超える大ベストセラーなので、逆に読むのを躊躇っていましたw

同じように躊躇っている方の参考になれば幸いです。

「嫌われる勇気」とは

「嫌われる勇気」(岸見一郎・古賀史健/ダイヤモンド社)とは、アドラー心理学を青年と哲人の会話によって紐解いていく構成になっています。

本書の内容をザクッと4行にまとめると…

  1. 自分の不幸は、自分が作っている
  2. それは自分が、他人にどう思われるか気にしているからだ
  3. 他人の気持ちは、他人の問題であって自分の問題ではない
  4. 自分の問題に取り組む時の指針は、他者貢献である

かなり大雑把なまとめですが、こんな感じです。

劇薬も交えた会話形式が面白い

本書の見どころは、やはり会話形式で展開していくところです。

「今のあなたの状況は、あなたが望んだ状況だ」という哲人の非常に厳しい指摘があります。

恋人が出来ないのは、あなたが望んだから。

人前で喋ることができないのは、あなたが望んだから。

そういう類の言葉が読者に投げ掛けられるんです。

本書の表現で言えば「劇薬!」なんですが、マジで痛いですよねー。

しかも哲人は畳みかけてくるんですよ。

「きっと色々な理由が、あなたなりにあるんだろうけれど、それ、もっと痛い目から逃げるために自分で作った理由でしょ」と。

「告白して断られるのが怖いから、黙っているんでしょ。

バカだと思われたりするのが不安で、人前で喋られないんでしょ。

でも、あなたのその姿をどう思うかは、相手次第だよね?

そんなこと気にするより自分が「こうありたい」と思うものにトライしてみな。

誰からも嫌われていない人なんていないよ」

こんな感じでザクザク指摘してくるんです。

これに青年も負けずとやりかえすわけです。

「アンタさっきから聞いてたら綺麗ごとばっか並べやがって! 人はそれぞれ生まれた環境も違えば、トラウマだってあるんだよ!」

青年の発言にまた哲人がかぶせてくるんですよ。

この会話形式の構成が面白いんですよ。

しかも青年が良い感じに疑問点をツッコンでくれるのでとっても読みやすくなっています。

ボケとツッコミならぬ、悟りとツッコミで構成されているんです。

ちなみに「嫌われる勇気」に掲載されている実際の哲人と青年のやりとりは、もっと抑制のついたものですので、ご安心くださいw

「嫌われる勇気」から学ぶ5つの心構え

以下は、わたしが「嫌われる勇気」から学んだ心構えです。

  1. 怒りとは出し入れ可能な「道具」なのです。(p.35)
  2. 自慢する人がいるとすれば、それは劣等感を感じているからにすぎない。(p.87)
  3. 不幸自慢も不幸を武器に相手を支配しようとするもの。(p.88-89より意訳)
  4. 「他者からどう見られているか」ばかり気にかける生き方こそ、「わたし」にしか関心を持たない自己中心的なライフスタイルなのです。(p.183-184)
  5. 「わたしがどうするか」だけを考えればいい。(p.233)

文脈によって捉え方の変わる部分もあるので、詳しく知りたい方は本書を読んでくださいね。

怒りをぶつけるのは「甘え」

詳しくは本書を読んでいただくとして「怒りとは出し入れ可能な「道具」」について取り上げたいと思います。

この指摘は鋭いですよね。

自分の胸に手を当てて考えてみてください。

イライラしている時に後輩、子ども、親、パートナーに思わず強く当たってしまった経験って誰しもあると思います。

そんな時、ついイライラしていたからと自己弁護してしまいがちです。

でも、イライラしている時に社長や上司や反社会的な人に声をかけられて、怒りをぶつける人っていませんよね。

結局、人は感情のぶつけても良い相手かどうかを考えてぶつけているんですよね。

言い換えれば感情をぶつけるという方法で、相手に「甘えて」いるわけです。

自分の都合で他人に甘えることが、対人関係として適切かどうかは言うまでもないと思います。

(「甘え」について興味のある方は「「甘え」の構造」(土居健郎)を読んでみてください。

「嫌われる勇気」から学ぶ5つの心構えのまとめ

本書「嫌われる勇気」の内容を最後にもう一度まとめておきたいと思います。 

  • 自分の不幸は、自分が作っている
  • それは自分が、他人にどう思われるか気にしているからだ
  • 他人の気持ちは、他人の問題であって自分の問題ではない
  • 自分の問題に取り組む時の指針は、他者貢献である

自分の問題と他人に問題を分けて考える。

これが一番難しいと思います。

「勉強しなくて困るのは子供の責任」と言うのは簡単ですし、「本人に気付かせるしかない」と言うのも簡単ですが、「行う」のはとてつもなく難しい。

一方で「子どもは子どもの人格がある」という当たり前の部分を再確認して、尊重することの大切さを思い起こさせてくれます。

「子どもの心のコーチング」(菅原裕子)にも同様のことが書いてありました。 

 アドラー心理学を実践していくには「それまで生きてきた年数の半分が必要になる」(p.243-244)そうです。

焦らず、忘れずに取り組んでいきたいと思います。

興味のある方はぜひ読んでみて下さい。

それでは、また。