りょうさかさんと

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りょうさかさんと

R3学力テストからわかるICT使用状況 ICTで格差が広がる?


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どうも、りょうさかさんです。

今回は、令和3年度全国学力・学習状況調査からICTの活用について見ていきましょう。

資料はこちらから引用させていただきました。

全国学力・学習状況調査:教育課程研究センター:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research

毎日授業でICTを活用50%以上

小中学校ともに50%以上の学校でICTを使った授業が毎日行われていることがわかりました。

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質問を読んでもらうとわかるのですが「教員側のICTの活用」について「前年度」、つまり令和2年度(2020年度)の状況を聞いている設問になります。

GIGAスクール構想による1人1台端末の配備がスタートした時期は、自治体によって違います。

早いところは令和2年10月頃からスタートしています。

ほぼ完了(96.5%)したのは、令和3年(2021年)3 月なので来年度の数字はさらに上昇していることが予想できますね。

授業でよく活用しているのは10%

こちらは今年度の質問ですが、授業で子どもがICTをよく活用しているのは10%程度です。

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「どちらかといえば活用している」を含めれば約45%の学校になります。

ただ逆に言えば半数以上の学校では、あまり子どもに使わせていない実態が浮き彫りになりました。

端末を配っていない学校11%

さて、以前MM総研さんのレポートを取り上げた記事を書きました。

MM総研さんのアンケートでは、

  • 配られたが、利用していない 2%
  • 配られていない 36%

という衝撃のデータがありました。

文部科学省が実施した「令和3年度全国学力・学習状況調査」でも、よく見るとコソっと配備状況が窺える数字が掲載されています。

それがこちら。

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「ICTをどの程度家庭利用しているか」という質問の回答欄に「まだ配備されていない」があります。

小中学校ともに「まだ配備されていない」は、11.3%!!!

MM総研さんの「配られていない36%」と大きなかい離があります。

MM総研さんの調査手法が「WEBアンケート」「子ども・保護者自身が回答している」のと違い、文科省の調査は「学校側が返答している」ことを考慮すべきでしょう。

前述したように端末完了見込について文科省の資料ではこのように書かれています。

1人1台端末は、文部科学省調査「GIGAスクール構想の実現に向けたICT環境整備の進捗状況について(確定値)」(令和3年3月末時点)において、「全自治体のうち1,748自治体等(96.5%)が令和2年度内に端末の納品を完了する見込み」であるとされている。

「令和3年3月末時点で96.5%の自治体で納品完了予定」、言い換えれば「3.5%」の自治体では納品が間に合っていないということです。

「令和3年度全国学力・学習状況調査」が行われた時期は、令和3年5月28日~6月30日です。

この時間差でどの程度、端末納品が進んだのかはわかりません。

「まだ配備されていない(11.3%)」の内訳が全て「端末の未確保」なのか?

学校が意図的に児童生徒に配っていないケースが含まれていそうだと考えてしまうのはわたしだけでしょうか?

ICTで地域差が広がる?

では、これまでの情報を一旦整理しておきましょう。

  • 約50%の学校は毎日ICTを使った授業をしている
  • 児童生徒自身が「よく」「どちらかと言えば」ICTを活用しているのは約45%
  • 約10%の学校では児童生徒の1人1台端末が配備されていない

文科省の資料では「早く導入した学校の方が、ICTの活用がさらに進む」と紹介しています。

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つまり「ICTが配備されていない学校」「ICTを配備したがさほど使っていない学校」「ICTを積極的に使っている学校」では、長い目でみるとさらに大きな差が出るということです。

児童生徒自身が「よく使っている」と答えた約10%の学校と「配備されていない」と答えた約10%の学校では、1年後さらに酷いことになりそうです。

ICTの利用頻度や質は、それでなくとも学校間・教員間の差がつきやすい分野だと指摘されています。

配備されていない理由が本当に「端末確保だけ」なら悲しいことですが、学校や教員の判断で使っていないところがあったとすれば「人災」ですよね。

保護者の方は、ぜひ、一度子どもさんに1人1台端末の利用状況を確認してみてはいかがでしょうか。

それでは、また。