どうも、りょうさかさんです。
9月入学について議論が出てきましたね。
今回は、そんな9月入学のメリット・デメリットについて考えてみました。
9月入学制度とは
「9月入学」については2020年4月末に小池都知事と吉村大阪府知事が西村経済担当大臣の会談が報道されて話題になりました。
(参考)小池都知事と吉村府知事、「9月入学制度」など求める|TBS NEWS
発端は都立高校生のツイッターだったようです。
事の発端は4月1日に都立高校の3年生がツイッターに投稿した「新学期の開始を、この機会に諸外国と同じ9月に」というメッセージだった。その後このツイートは大きな反響と共感を呼び、大阪の高校3年生が「秋学期制度の導入を!!」という署名活動を始めた。彼らの提案の理由は次の4つだった。
・全国一律で8月末まで休校にすることで9月から平等な教育を受けられる可能性が高い
・入試等もそれに準ずることで混乱を抑えることができる
・海外の学校と足並みを揃えることによる留学の推進
・かけがえのない青春を取り返すことができる
(引用)【緊急検証】「9月入学」はコロナ禍にある子どもを救うのか 子どもと学校と日本社会への影響をシミュレーションする 教育現場の大混乱に拍車をかける事を懸念する
過去も9月入学についての議論はあり、東大が検討をしたこともありましたが実現しませんでした。
一方で、海外は116か国(80%)が9月入学という状況です。
ちなみに日本が4月入学に決まったのは1921年とする記事や明治19年とする記事を読みました。
4月入学の主な理由は、予算編成の時期に対応するためだということです。
(参考)『スッキリ』日本が4月入学になった理由に驚き 「そういうことか…」 – ニュースサイトしらべぇ
9月入学の場合の行事はどうなる?
仮に9月入学が実現したとするとスケジュールはどうなるのでしょうか?
単純に4月入学からずらしていくとこんな感じです(3学期制の場合)
- 9月 入学式 1学期開始
- 10~11月 運動会(文化祭)
- 12月3週目 1学期修了
- 年末年始 冬休み
- 1月1週目 2学期開始
- 2月 受験出願
- 3月 文化祭(運動会)
- 4月末 春休み
- 5月1週目 3学期開始
- 5月~7月1週目 入試・結果発表
- 7月2~3週目 修了式・卒業式
- 7月末~8月 夏休み
なお、出願・入試時期は、校種によって変化します。(現状、大学入試センター試験は1月2週目、中学校・高校入試は2月中旬、大学後期入試は3月)
運動会、文化祭については学校によって入れ替わると思います。
4月入学の現在でも、運動会を春と秋にする学校に分かれていますからね。
また現在の2学期制、3学期制がどう変化するのかも検討が必要です。
このスケジュールだと春休みは不要な感じもしますし。
これはあくまでわたしが考えたスケジュールイメージです。
なんとなくイメージが出来たとこで次に9月入学のメリット、デメリットはどんなものが考えられるでしょうか?
9月入学のメリット
9月入学のメリットを考えてみましょう。
但し新型コロナによる影響は、一旦横に置いておこうと思います。
これはデメリットについても同様のスタンスです。
子どもにとってのメリット
- 海外と入学・卒業時期が合わさり、留学がしやすくなる(グローバル化)
- 受験時期が5・6月になり、体調管理・雪などの心配が軽減される
- 夏季の授業がなくなるので、子どものリスクが減る(クーラーが設置されていない自治体もまだあります)
先生にとってのメリット
- 次年度に向けての準備期間が2週間(春休み)が5週間(夏休み)に増える
- 受験時期の体調管理に関する保護者からのクレームが減る
保護者にとってのメリット
- 春休みがなくなり、自宅で世話をする時間が減る(春休みがなくなった場合)
- 受験時期の体調管理のストレスがなくなる
全体的に言えるのは、卒業入学時期の変更による健康面のメリットですね。
特に子ども、保護者にとっては受験時期に大雪、インフルエンザや風邪の心配が少なくなるのは嬉しいですね。
また夏季に学校に行かなくなるので、熱射病のリスクが下がります。
先生にとっても次年度の準備、研修をまとまった期間に出来るようになるのはメリットだと思います。
メリットへの疑問
一般的に言われるメリットを書きましたが、ツッコミも書いておきましょう。
まず卒業時期をずらしたことで、グローバル化に対応できるのかはわかりません。
高校生、大学生が海外留学をためらう理由は、卒業時期だけではないと思います。
もしグローバル化を狙いとするのなら並行して、資金面の援助など他の施策も必要となるでしょう。
9月入学のデメリット
デメリットは、学校関係と社会全体に分けて考えてみましょう。
学校関係のデメリット
- 桜の季節に卒業・入学という文化・伝統がなくなる
- 国の予算年度とずれる
- 四季に応じた授業計画が崩れる
- 日本の台風シーズン(8月~9月)に入学式がぶつかる
社会全体のデメリット
- 就職時期・国家試験の日程がずれる
- 留学や海外への就職がしやすくなり、日本の人材流出に繋がる?
- 大学・就職の国際競争が高くなる?
デメリットへの疑問とツッコミ
ただし、これらはデメリットというか現状からの変更点といえるものも混ざっています。
「桜の時期に入学卒業」って完璧に情緒的なものですし、「予算年度とのズレ」「就職活動・国家試験の日程」」なんかは社会が対応すれば良いだけのような気もします。
特に「就職活動」については企業側のスケジュールを変えれば良いだけです。
採用スケジュールについては2016年の経団連の資料が参考になります。(経団連のアンケートに答えた会社だけの傾向ですが、おおよそ全体と大きな違いはないでしょう)
これを見ると春季一括採用は「春季一括採用のみ」「春季一括採用を基軸」を合わせると86.8%です。
(引用)経団連:2016年度新卒採用に関するアンケート調査結果 (2016-11-15)
一方で、既に「多様な選考機会」に取り組んでいる会社が、46.9%あるわけです。
この「多様な選考機会」が9月入社に対応できる素地になっており、対応できる企業が半数以上あるわけです。
しかも新卒入社時期くらい柔軟に変えられない会社は「変化の激しいと言われる時代を生き残れるのか怪しいと思われるリスク」があります。
就職時期を変更しない場合、6~7ヶ月スケジュールが遅れる点については新卒以外の枠の求人が増えると考えれば社会的に良い側面もあります。
次に「授業計画のズレ」は、子どもの教育にとって大きな不安要素だと言えます。
授業計画は、行事や教科間で連携して組まれています。
学校の先生方は、国語の題材と他教科を関連づけるといった工夫を国語・算数・理科・社会・英語・生活・総合・保体といったあらゆる教科で実践されています。
さらに上記に加えて四季を絡めた指導をしています。
わかりやすい例がこちら⇒
(例:生活科や総合的な学習の時間では、春に植えた花や野菜を育てて秋に収穫し冬に加工する学習を展開するなど、日本の四季を前提とした教育内容が蓄積されてきた)
(引用)9月入学制度に関する論点整理 および 喫緊の対応を求める要望書(2020年4月30日慶応義塾大学教授 佐久間亜紀
こういった工夫が9月で一度途切れて、担任も変わってしまう可能性あるわけです。
9月入学に変更することによって、どれだけこういった影響があるのか、慎重に見極める必要があるでしょう。
また9月入学になり、グローバル化が実現するということは大学・企業がより世界と比較されやすくなるということです。
優秀な人材が頭脳流出する懸念も同時に持っておくべきでしょう。
日本の大学・企業が魅力的でなければ、優秀な人材は海外に行ったまま帰ってこないことがより起きやすくなります。
9月入学のメリット・デメリットのまとめ
最後に9月入学のメリット・デメリットをまとめておきましょう。
メリットの主要な点は…
- 海外と入学・卒業時期が合わさり、留学がしやすくなる(グローバル化)
- 受験時期が5・6月になり、体調管理・雪などの心配が軽減される
- 先生は次年度に向けての準備期間が2週間(春休み)が5週間(夏休み)に増える
デメリットの主要な点は…
- 国の予算年度とずれる
- 四季に応じた授業計画が崩れる
- 留学や海外への就職がしやすくなり、日本の人材流出に繋がる?
個人的には、子ども中心に考えることが日本全体のために繋がると考えるので、9月入学の方がメリットが大きいように思います。
特に日本のように変更や改革に足踏みしやすい特性を考えるとこの新型コロナくらいの状況がなければ変わらないと思います。
ただ2020年9月から早急に実施することが「子どもにメリットがあるのか?」と考えると迷いはあります。
少しでも9月入学について考えるヒントになれば幸いです。
それでは、また。