りょうさかさんと

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「SDGs」とはなんぞや? ジョジョ5部に例えて解説!


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どうも、りょうさかさんです。

今回は「SDGs」についてです。(下画像は国連広報センターより引用)

f:id:ryosaka:20200421170201j:plainこのブログは「教育」がテーマなので「SDGs全体のお話」「SDGsと教育」の二本柱で解説しますね。

「SDGs」という言葉自体は聞いたことがある方もいると思います。

「でも、なんだかわからない」

「結局、ESDと何が違うのよ?」

などなど色々な疑問があると思います。

解説しているサイトも多いのですが、なんだかわかるようで、わからないというのが正直な感想なのではないでしょうか。

そこで少しでもわかるようにわたしが大好きな「ジョジョの奇妙な冒険」を交えながら解説してみようと思います。

ちょっとでも読むストレス、理解するストレスが軽減されたら幸いです。

「SDGs」をジョジョで例えると…

「SDGs」の詳しい解説に入る前にジョジョに例えて先に結論だけ述べましょう。

「SDGs」とは…

「キング・クリムゾン」が支配する世界を「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」の価値観へ転換することです。

ぜひ、ジョジョ5部の内容を思い出してください。

ジョルノ、ブチャラティたちの「黄金の精神」がSDGsを理解するヒントになります。

それでは、解説をはじめましょう。 

「SDGs」とは?

「SDGs」とは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals) 」の略称です。

外務省によると以下のように書かれています。

持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。

(引用)SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

引用文の中に「持続可能な開発のための2030アジェンダ」ってありますが、そもそも「持続可能な開発」「アジェンダ」がわかりにくいですよね。

「持続可能な開発」は以下のような意味です。

「将来の世代の欲求を満たしつつ,現在の世代の欲求も満足させるような開発」

(引用)持続可能な開発(Sustainable Development)|外務省

つまり「現在と未来のどちらの世代の欲求を満たす開発」というわけです。

「アジェンダ」とは、「課題項目」「検討課題」「目次」「行動計画」みたいなニュアンスがありますが、この場面では「行動計画」という意味で理解したら良いと思います。

つまり「2030アジェンダ」とは「2030年までの行動計画」という意味です。

そして、この具体的な目標が「持続可能な開発目標(SDGs)」という関係になります。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」と「SDGs」をジョジョに例えれば…

ジョルノが「ジョルノ・ジョバーナには正しいと信じる夢がある!」と宣言し、こう続けます。

「未来の子どもたちに不幸は押し付けない! しかし、だからといって今の僕たちが必要以上に我慢する気もさらさらありません!」

この宣言が「2030アジェンダ」です。

すると当然、ブチャラティが「そんなことを言って実際どうするつもりだ?」と尋ねますよね。

それに対してジョルノが「2030年までの具体的な目標を決めます」と語りだした内容が「SDGs」という位置付けです。

この「SDGs」の目標は「17のゴール・169のターゲット」という17の分野にわけられています。

そして、このSDGsは先進国・発展途上国問わず、人類全体で取り組んでいくということも同時に述べられています。

では、次に「17のゴール」について見ていきましょう。 

「17のゴール・169のターゲット」とは?

「SDGs」のゴール(目標)は、17に分類されます。

具体的には、以下の17つです。

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  • 目標 1 あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
  • 目標 2 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
  • 目標 3 あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
  • 目標 4 全ての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
  • 目標 5 ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女児の能力強化を行う
  • 目標 6 全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

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  • 目標 7 全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
  • 目標 8 包摂的かつ持続可能な経済成長及び全ての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
  • 目標 9 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
  • 目標 10 各国内及び各国間の不平等を是正する
  • 目標 11 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
  • 目標 12 持続可能な生産消費形態を確保する

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  • 目標 13 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
  • 目標 14 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
  • 目標 15 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
  • 目標 16 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、全ての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
  • 目標 17 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

(参考)総務省|政策統括官(統計基準担当)|持続可能な開発目標(SDGs)

この17の目標の中にさらに細かいターゲットがあります。

例えば「目標 4 質の高い教育をみんなに」のについてどんなターゲットなのか見てみましょう。

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4.1 2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。
4.2 2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達・ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。
4.3 2030年までに、全ての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。

4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。

4.5 2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子供など、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。

4.6 2030年までに、全ての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。

4.7 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。

4.a 子供、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、全ての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。

4.b 2020年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、並びにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国及びその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。

4.c 2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員研修のための国際協力などを通じて、質の高い教員の数を大幅に増加させる。

(引用)SDGs(持続可能な開発目標)17の目標&169ターゲット個別解説 | 一般社団法人イマココラボ

(参考)Tier Classification forGlobal SDG Indicators 11 May 2018

この17のターゲットの中の細かいターゲットを合計すると169にものぼります。

スゴイ量ですよね…。

日本政府の8つの優先課題

「ジョルノてめえ、目標が17。さらに細かいのが169だとォ! こんなにあったらどれから手を付けて良いか わからねーだろうが 」というミスタの声が聞こえてきそうです。

日本政府は、このターゲットを整理し2016年に8つの優先課題を実施方針としています。

SDGsにおけるすべてのゴールとターゲットが不可分であり統合された形で取り組むことが求められているのと同様、これらの8つの優先課題も密接に関わる不可分の課題であり、どれ一つが欠けてもビジョンは達成されないという認識の下、その全てに統合的な形で取り組む。(略)
(People 人間)
1 あらゆる人々の活躍の推進
2 健康・長寿の達成
(Prosperity 繁栄)
3 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
4 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
(Planet 地球)
5 省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会
6 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
(Peace 平和)
7 平和と安全・安心社会の実現
(Partnership パートナーシップ)
8 SDGs実施推進の体制と手段

(引用)持続可能な開発目標(SDGs)実施指針(持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合-平成28年12月22日

「結局8個も目標が、あるじゃねーか。しかも、SDGsと違う表現しやがって! 結局、何もわからねえままじゃあねーかよォ! ジョルノ、どう説明するつもりだ?」

「上の引用文に『SDGsにおけるすべてのゴールとターゲットが不可分であり統合された形で取り組むことが求められている』って文章がありますよね。

これは、目標一つ一つが独立しているのではなく、SDGsの目標がお互いに関係しあっていることを示しているんです!」

さらに細分化した具体的な施策

日本政府は、大枠の優先課題として上記の8目標を掲げました。

そして、上記の8つの目標からさらに細分化した具体的な施策を設定しています。

この具体的な施策は、「持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための具体的施策(付表)」という資料から見ることができます。

例えば、上の8つの目標の「1あらゆる人々の活躍の推進」「女性活躍、男女共同参
画の推進」という項目は、SDGsのターゲット「5」に対応しています。

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これはわかりやすいですね。

「2 健康・長寿の達成」「一億総活躍社会の実現:安心につながる社会保障」は、SDGsのターゲット「3、8、10」と対応すると書かれています。

3、8、10は、こちら。

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つまり「一億総活躍社会の実現:安心につながる社会保障」は、「3 すべての人に健康と福祉」「8 働きがいも経済成長も」「10 人や国の不平等をなくそう」の3つのターゲットに関わる施策だということです。

こんな風に一つの具体的な施策の中にSDGsの複数の要素が含まれることもあることを押さえておいてください。

吉良吉影のスタンド「キラークイーン」が「第一の爆弾」「シアーハートアタック」「バイツァ・ダスト」と3つの能力を持っているように、一つの施策の中に複数のSDGsの要素が入ることもあるわけです。

日本施策のポイントは3点

そして、この優先課題は2019年に改訂され「SDGsアクションプラン2020」という形で発表されました。

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このポイントは3点です。

  1. Society5.0
  2. 地方創生・防災・環境配慮
  3. 次世代・女性

「Society5.0」については以前、記事でも取り上げました。

「地方創生」に関しては「環境未来都市」構想を進めています。

詳細はこちらをどうぞ⇒地方創生SDGs・「環境未来都市」構想 - 地方創生推進事務局

このブログでは「教育」を中心に扱っているので「SDGsアクションプラン2020」の教育に関する部分を見ていきましょう。

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(引用) 資料2 SDGsアクションプラン2020(PDF/2,229KB)首相官邸(令和元年12月20日)

  1. 幼児教育の振興
  2. 初等中等教育の充実
  3. 高等教育の修学支援新制度
  4. 特別なニーズに対応した教育(インクルーシブ教育)の推進

以上の4点が掲げられています。

この他にも「新指導要領の実施」の文言もあります。 

つまり2020年から学校教育においても「SDGs」を取り組んでいくことになります。

ちなみにこの資料(「SDGsアクションプラン2020」)を詳しく読んでいくと「こじつけ」に感じる部分もあると思います。(わたしは正直、そういう風に思う部分がありました…)

これは、わたしの個人的な考えですが…

「すでにある「方針・施策」をSDGsの観点から再定義したり、軌道修正している」

このように捉えるとシックリくるかなと思っています。

どうして企業がSDGsに取り組むが多いの?

さて、以上のように日本政府がSDGsに取り組み、それに企業が追随しています。

SDGsバッジを付けているサラリーマンや企業のWEBサイトでSDGsの案内を載せているケースを見たことがあるかもしれません。

そもそもどうして企業はSDGs追随していくのでしょうか?

「理念に共感している」というのは間違いないでしょうが、どこか綺麗ごとのような気もすると思います。

「どんな綺麗ごとを並べたところで「利益」がなければ企業は潰れてしまいますよ」というフーゴの声が聞こえてきそうです。

「第2回持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合」において以下の3点について安倍総理は言及しています。

  • 国際保健機関に対し、総額約4億ドルの支援
  • 難民及び難民受入れ国の支援に対して、5億ドル規模の支援
  • 女性の権利の尊重、能力発揮のための基盤の整備、リーダーシップの向上を重点分野として、2018年までに総額約30億ドル以上の取組を行う。

30億ドルとは、約3,300~3,200億円という規模です。

ジョジョで例えれば「ポルポの隠し財産」の100億リラが6億円という設定ですから550倍の規模ですね。

金額の大きさは、本気度の裏返しです。

この本気度を感じ取って、企業は会社を存続させるために舵を切るわけです。

例えば、今回の新型コロナへの対応として、オンライン授業や教育系のアプリ・サービスを様々な企業が無償提供しました。

これはコロナが流行ってから急に企業が開発したのではありません。

技術の発展や「Society5.0」「GIGAスクール構想」などの流れにのって、「利益が見込める」と企業が判断して既に取り組んでいたんですね。

SDGsに企業が取り組むのも同様です。

ある意味、SDGsとは、2030年までの未来への方向性を示したものなんです。

ちなみに「経団連」もSDGsに取り組んでおり、「4.教育」に関する取り組みをしている企業の活動を見ることが出来ますよ⇒経団連SDGsWEBサイト

「SDGs」と学校

学校教育でも「SDGs」の取り組みや教育が始まっています。 

ただ取り組むと言っても、この17の教育目標を丸暗記させているわけではありません。

そんなことに、なんの意味もありませんよね。

抽象的な表現をすれば、

「世界の現状や自分の住む町の現状を知り、どんな課題があるのか考え、どんな具体的な行動が出来るのか自分たちで決めて活動していく」

そんな授業が学校でも始まっています。

つまり詰め込み型の授業ではなく、教師がファシリテーターとなった授業です。

どんな内容なのか先生向けの資料などを見るとイメージがしやすいですよ。

「日本ユニセフ協会」では、副教材のPDFや先生向けのワークシートや指導用参考資料が紹介されています(登録不要・無料でPDFダウンロード化)

SDGs副教材「私たちがつくる持続可能な世界~SDGsをナビにして~」ポータルサイト|子どもと先生の広場|日本ユニセフ協会

「セーブ・ザ・チルドレン」では、先生・ファシリテーターのための資料を製作しています。(登録不要・無料でPDFダウンロード化)

先生・ファシリ―テーターのための 持続可能な開発目標 ‐SDGs‐ アクティビティ集|セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

「JICA」では、SDGsのヒントになる教材(サイコロ・カードなど)を公開しています。

持続可能な開発目標(SDGs)を学べる教材 | 先生・生徒のお役立ちサイト - JICA地球ひろば

世界の現状を知るのには、以下の書籍もオススメです⇒

このように「SDGs」を取り入れた教育が、学校単位・教育委員会単位で取り組まれています。

ちなみに第3回SDGsアワードで「SDGsパートナシップ賞」を受賞した学校・教育委員会はこちら。

徳島県上板町立高志小学校:全学年で地域の生産者,企業等と連携し,教科横断的カリキュラムを編成し,エシカル消費(人や社会,環境に配慮した消費活動)を推進。

大牟田市教育委員会(福岡県大牟田市):市内全ての公立小・中・特別支援学校においてESD(持続可能な開発のための教育;持続可能な社会づくりの担い手を育む教育)を積極的に推進。

(引用)第3回SDGsアワード受賞団体-首相官邸(令和元年12月20日)

ここで気になるのが「ESD(持続可能な開発のための教育)」との違いです。

「SDGs」と「ESD」は何が違うのかよくわからないという方やそもそも「ESD」を知らないという方もいると思います。

そこで「SDGs」と「ESD」はどういう位置づけなのかを解説したいと思います。

「ESD」との違いは?

「ESD」の説明をする前に「SDGs」と「ESD」をジョジョに例えてみましょう。

「ESD」は、ジョルノのスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」。

「SDGs」は、矢によって進化した「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」です。

つまり「レクイエム」の中に「ゴールド・エクスペリエンス」が含まれるように「SDGs」の中に「ESD」が含まれているんです。

こういうイメージを頭の片隅に入れつつ「ESD」について見ていきましょう。

「ESD」とは「持続可能な社会づくりの担い手を育む教育」とのことです。

もっと言えば、「持続可能な社会」を作るために自分たちで課題を発見し、自分たちで解決できる人を育てる教育のことです。

2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)」で当時の小泉総理大臣が持続可能な開発における人材育成の重要性を強調し、「持続可能な開発のための教育の10年」を提唱しました。これを受け、同年、国連第57回総会決議により、2005年から2014年までの10年を「国連ESDの10年(DESD)」とし、ユネスコが主導機関に指名されました。

(引用)ESD 持続可能な開発のための教育(文部科学省)

「ESD」は、小泉首相が提唱し、国連決議によりユネスコ主導で動き出しました。

「ESD」に取り組んだ学校で、ユネスコに認定された「ユネスコスクール」があります。(日本国内で1,116校(2018年10月現在)(参考)ユネスコスクール 公式ウェブサイト

東京都では、大田区立赤松小学校、葛飾区立青戸小学校、江東区東雲小学校、江東区立八名川小学校、新宿区立西戸山小学校など約40校。

自分たちで課題を発見し解決する教育がどのように行わているかというと…

学び方・教え方としては、児童・生徒の主体的な学びも重要です。一斉授業だけではなく、グループ活動などの協働的な活動や、体験的な活動などを取り入れることを通して、児童生徒の主体的な学びを引き出す工夫が求められます。このことが ESD に学びを変革する力があると言われる所以です。

(引用)ESD(持続可能な開発のための教育)推進の手引(文部科学省国際統括官付 日本ユネスコ国内委員会-平成30年5月改訂)

上で紹介した「SDGs」と似たような観点ですよね。

どうして「SDGs」と「ESD」が似ているかというと時系列や2つの位置関係がわかるとしっくりきます。

2002年からスタートした「ESD」が、 2015年に示された「SDGs」の中の「4 教育」の中に取り入れられているんです。

こちらにもハッキリと書かれれています。

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引用)持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための具体的施策(付表) 

上でも紹介した「持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための具体的施策(付表)」です。

つまり「SDGs」の中に「ESD」が位置付けられているわけです。

2020年からスタートする新指導要領にも以下のような文章があります。

 これからの学校には,こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ,一人一人の児童が,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓ひらき,持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。

(引用)小学校学習指導要領(平成29年告示)-文部科学省

この「持続可能な社会の創り手となる」教育が「ESD」であり、その「ESD」が「SDGs」の「4 教育」に位置付けられているというわけです。

ここで「ジョジョ」に戻りましょう。

「ESD」は「ゴールド・エクスペリエンス」、「SDGs」は「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」だと例えました。

「ゴールド・エクスペリエンス」は、生命力を与えるスタンド能力です。

これは「持続可能な社会の作り手を生む教育」である「ESD」に近いと言えるのではないでしょうか。

では、「ESD」を含む「ゴールドエクスペリエンス・レクイエム 」は何を象徴しているのか。

そして、記事冒頭で書いたラスボス「キング・クリムゾン」が何を象徴しているのか。

これまでの内容をまとめた上でご説明しましょう。

「SDGs」とはなんぞや? のまとめ

最後に「SDGs」のまとめをしておきましょう。

  • SDGsは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals) 」のこと。
  • SDGsは、先進国も途上国も取り組む2030年までの目標。
  • 日本政府の方針は、「SDGsアクションプラン2020」
  • 学校教育でも「SDGs」に取り組んでいく

冒頭「SDGs」のことをジョジョに例えて…

「キング・クリムゾン」が支配する世の中から「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」の価値観への転換です。

と説明しました。

わたしが「SDGs」をこういう例え方をしたのは、SDGsの目標である「持続可能な社会」というものを「自分の世代は、次の世代にパスをする繋ぎ役」という風に理解したからです。

そして、次の世代は、また次の世代にパスをする。それを繰り返していく。

つなぎ役、つまり「過程」なんですね。

さて、ジョジョ5部は「結果と過程」がテーマだと言われています。

ラスボス「ディアボロ」の「キング・クリムゾン」は、抽象的な表現をすれば「過程を飛ばして、結果だけを残す能力」です。

一方で、主人公「ジョルノ」の「ゴールドエクスペリエンス・レクイエム」を同様の表現をすれば「過程を繰り返し、永遠に結果に辿りつかない能力」です。

わたしたちの日々の生活は、過程と結果を繰り返しています。

その中でわたしたちは、物事の結果を重視しがちです。

そして、大人になってからは、特に過程よりも結果を重視されますよね。

一方で日々の生活を100年、200年、1000年といった歴史レベルの時間軸で俯瞰して見るとわたしたちが生きている瞬間は、長い歴史の中の「ほんの一瞬」。

「過程の一部分に過ぎない」んですよね。

「結果の重視」から「過程を重視する」という価値観に軸を移すことは、歴史的な目線で日々を見つめ直すことです。

つまり「SDGs」は、歴史的時間軸の視点への転換を促しているんです。

そんなことを言っても「どうせ綺麗ごとでしょ」「自分は別に関係ない」という悲観的な意見が聞こえてきそうです。

ジョジョ5部の「今にも落ちてきそうな空の下で」このような台詞があります。 

「大切なのは真実に向かおうとする意志だと思っている

向かおうとする意志さえあればたとえ今回は犯人が逃げたとしてもいつかは辿り着くだろう?

向かってるわけだからな…………違うかい?」

(引用)ジョジョの奇妙な冒険第5部59巻 荒木飛呂彦/集英社

「向かおうとする意志」さえあればいつか辿りつく。

「SDGs(持続可能な開発目標)」も同じように感じるのはわたしだけでしょうか。

さて、今回の記事では「興味の持ちやすさ」「わかりやすさ」に重きを置きました。

出来るだけ正確性を重視して引用も多様しましたが、それでも誤解を招く点やわかりやすくするためにあえて言及していない点もあるのでご容赦ください。

また「興味を持ちやすくする」「わかりやすさ」のフックとして大好きなジョジョ5部を用いました。

5部の連載は、1995年からスタートです。

25年経ってなお、発見のある作品を作り続けている荒木先生には感服するばかりです。

「ジョジョ」をこのように使ったことをお許しいただけると幸いです。

それでは、また。