どうも、りょうさかさんです。
「多様性」についての記事が話題なので触れてみたいと思います。
公立学校に「多様性」はあるのか
上記事では「多様性を主張する女性が、自分の子どもを多様性のない私立中学校(女子校)に通わせること」へ言及しています。
自分の子供には本物の多様性や性別の異なる人の交わる公立の共学中学に通わせず
均質性の高い一つの性別しかない学費の高い私立学校に通わせるというのはあまりに偽善的だと感じる。
偽善的かどうかは、一旦おいておいて確かに公立中学校に多様性があると感じている人は多いと思います。
あなたも、こんな「あり」「なし」というイメージをお持ちなんじゃないでしょうか。
でも、実はそうじゃないんですよね。
実際には、こんな感じです。
公立中 > 私立中
1か0ではなく、程度の問題なんですよね。
「教育格差」(松岡亮二/筑摩書房)によるとこのように書かれています。
子供を公立学校に通わせる理由に「多様な(背景の)児童がいる」という声がある。しかし、それは同質性が極めて高い2%にも満たない国私立と比べれば多様であるということに過ぎない。約98%の児童が通う公立小学校には学校間で大きなSES格差があるのだ。
(引用)「教育格差」(松岡亮二/筑摩書房)p.135
SES格差とは「家庭の社会経済的背景」(SES(Socio-Economic Status))のことです。
端的にいえば家庭の所得、父親学歴、母親学歴に基づく指標のことです。
上記引用文は小学校への言及ですが、この格差は中学校、高校と経ても影響をしていくことが本書ではデータベースで語られます。
学校間のSES格差があるとはどういうことかというと、両親ともに高学歴・高収入の児童・生徒が多く集まる学校があれば、そうでない学校もあるということです
これがどういう影響を与えるのか?
子どもというのは周りの影響によって進路などを決めていきます。
当然、両親ともに高学歴・高収入という生徒は、同じ友人が多い環境であれば大学進学が当たり前だという空気で成長していきます。
逆に、両親や周りの環境によって「そもそも大学進学という進路」が選択肢に思い浮かびもしない人がいます。
極端な例を出せば、同じ公立であっても離島と東京都港区の中学校では全然環境が違うわけです。
つまり何を言いたいかといえば、公立学校に「本物の多様性がある」というのは幻想だということです。
それでもなんとなくわたし達親世代は小・中学校に多様性があったように感じると思います。
しかし、それは、ほんの限られた範囲の中での多様性に過ぎないということです。
結局、程度の問題なんですよね。
小学校だけの経験では不足なのか
多様性云々について詳しく知りたい方はぜひ「教育格差」を読んでみてください。
最後に、誤解してほしくないのですが、わたしは私立が最高だとも、公立が悪いと言いたいわけではありません。
わたし自身、執筆時点では子どもに中学校入試をさせるつもりはありませんが、それは「多様性の有無」が理由ではありません。
どんな進路を選ぶにせよ、子どもと親御さんが納得しているのであれば、それで良いのではないでしょうか。
それでは、また。