りょうさかさんと

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紙絵本とデジタル絵本の知育効果の違い。その2つの理由


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紙の絵本と、アプリや電子書籍などのデジタル絵本。

あなたは、子どもの「読み聞かせ」にどちらを使っていますか?

デジタル絵本は、旅行やちょっとしたお出掛けの際に荷物を取らず、読むことができるのでとても便利ですよね。

一方で、幼児期のデジタル機器の使用による影響は気になるところだと思います。親としては効果を理解した上で冷静に使用していきたいですよね。

では、紙の絵本とデジタル絵本では知育効果に違いはあるのでしょうか?

知育効果はどちらもアリ

結論から言うと、下記の3点において違いがあります。

・紙の絵本では「物語把握に優れる」

・デジタル絵本では「指差し行為と画面への集中力の増加」

・デジタル絵本の方が「ひらがなを覚えやすい」

論文を読んだりしましたが、一応、この3点は確からしいというのが正直なところです。幼児期という特性もあったりするのか、ほとんどの場合、研究の母数(児童数)が少ないです。

つまりまだ研究真っ最中だと言えます。また調べていく中で、度々遭遇するのは以下の点です。

・但し、デジタル機器の使用に関しては配慮しておいた方が良い。

では、上に挙げた3つの要素について解説していきましょう。 

紙の絵本が優れている部分

紙の絵本がどうして物語把握に優れるのか? についてです。

シンプルに言うと、デジタル絵本には色々な仕掛けがある場合が多く、楽しめる反面、子どもの集中がアチコチにいってしまうからだと考えられています。

つまり紙の絵本の方が物語に集中しやすいということです。

論文ではこのように書かれています。

ビデオ絵本においては,動作やアニメーションという視覚的な情報が豊かになるため,場面ごとの理解や,記憶は高まるが,物語全体の流れを理解するという点は,絵本の方がすぐれているのである。

(引用)「絵本の読み聞かせとビデオ絵本の視聴による物語理解度の違い」

この論文は、2011年とやや古いですが、幼稚園児180名という規模での研究です。(2011年の研究なので「ビデオ絵本」となっていますね)

そういう意味では、ストーリー性に優れる絵本や文字の多めの絵本ほど、紙の絵本で読ませたり、読み聞かせをするのに向いていると考えられます。

紙の絵本とデジタル絵本では、親の関わり方が変わるため効果が変わるのではないか、という論文もあります。

(参考)Does story time with an e-book change how parents and toddlers interact?

こちらは37組の親と幼児の読み聞かせについて研究したものです。

これによると「紙の絵本だと親子がよく話し合い、それが物語を理解するガイドの役目を担っている」という風に書かれています。

一方で、デジタル絵本の場合は画面に視覚効果があるので、会話が減ってしまい、物語理解において紙よりも劣る結果が出てしまったようです。

次にデジタル絵本が優れている点を見てみましょう。

デジタル絵本が優れている部分

まず、デジタル絵本の方が「指差し行為と画面への集中力の増加」が見られることについて。

これはアメリカのサウスダコタ大学とカナダのトロント大学の研究チームの研究によるものです。

(参考)Screen time or story time? E-books better for toddler learning

この研究では、102名の親による読み聞かせについてビデオ撮影し、その様子と子どもの反応を分析しました。

その結果、紙絵本とデジタル絵本の違いは、紙よりも画面に集中しやすく指差し反応が大きくみられたという点です。

次に、デジタル絵本の方が「ひらがなを覚えやすい」という結果についてです。

こちらの研究は4歳児を15人ずつ2グループに分けました。

片方のグループは、ひらがなを一文字ずつデジタル絵本で読み上げます。もう片方のグループは、母親が読み聞かせをしました。

これを1日2回、6日間続けたところ、デジタル絵本だと平均3文字多く読めるようになったのに対して、母親の方はほとんど変わらなかったというものです。

(参考)読み聞かせ、デジタル絵本で教育効果 京大チーム :日本経済新聞

紙絵本とデジタル絵本の効果が違う2つのワケ

紙の絵本の論文とも通じて言えることは、デジタル絵本の方が画面の一部分への集中力は上回るという点と親の関わり方が紙とデジタルで変わってしまうという点です。

つまり「画面への集中」と「親の関わり方」が紙かデジタルで変化してしまうことが、子どもの知育にも影響を与えていると考えられます。

単語や表現を学ぶことを楽しむのはデジタル絵本、物語を楽しむのには紙の絵本と使い分けると良いかもしれませんね。

ただし使用時間の配慮は必要

最後に「但し、デジタル機器の使用に関しては配慮しておいた方が良い」ということも併せて書いておきます。

きっとあたなは「「配慮」って簡単に言うけど、時間としてはどれくらいなんだよ?」と思われるでしょう。

テレビの場合は「2歳以下は2時間以内」というような文言を見たこともあると思いますが、タブレット端末などにおいてはよくわかりませんというのが正直なところです。

これは紙の絵本とデジタル絵本のどちらが全体的に優れているのか、マイナスな影響はないのか、という点についても同様です。 

基本的には親の管理のもと、それぞれの家庭で方針を作ってくださいね。

安全に行くのならこれまでも長く愛されてきた紙絵本をメインにすえ、電車や車での短時間の移動の際にデジタル絵本を活用するのが良さそうです。

紙の絵本もデジタル絵本も上手に活用していきましょう。それでは、また。