夏休みを楽しんで過ごしていますか?
あなたやあなたの子どもがプールやゲームで遊んでいる間に、同じ小学生の2人に1人が英語、2割がプログラミングを勉強するそうです。
凄いですよね。
でも、コレって本当にそうなんでしょうか?
そう疑問に思ったあなた! それを自由研究やレポートのテーマにしてみませんか?
そこで「今回は、統計を見る練習しながら、結果的に自由研究やレポートの調べ学習ってこうするんだよ」というお話しです。
データを見てみよう
では、冒頭にリンクを貼った記事の元データを見てみましょう。小学生が夏休みの英語・プログラミングをどの程度勉強するのか、このような円グラフで表現されています。
おー! 確かに英語は50%以上、プログラミングは19%が赤い枠で囲まれています。
英語は半分が勉強するし、プログラミングも約2割の人がするなら我が家も余裕があればしてみようかな? と思ったかもしれません。
それらを勉強しようと思ったことは否定しません。しかし、この結果が全国的に正しいのかどうかは疑問が残ります。
資料は疑え
例えば英語に絞ってもう一度円グラフを見てみましょう。
赤枠だけを見てしまうと「うん、何度計算しても50%を超えているよね」と感じてしまうでしょう。
でも、この円グラフの要素をよく見て下さい。
4要素しかありませんよね。つまり選択肢は以下の4つです。
- 勉強する
- どちらかというと勉強する
- 勉強しない
- わからない
実は、ココにトリックがあります。
選択肢がひとつ足りない
選択肢の「わからない」を一旦置いておくと、選択肢は「勉強する」「どちらかというと勉強する」「勉強しない」の3つです。
「どちらかというと勉強しない」という選択肢がないんです。
この選択肢が「ない」ために、勉強するかどうか迷っている人は「どちらかというと勉強する」の方にアンケートを答えてしまう確率が高くなります。
また単純に「勉強する」の選択肢が2つ、「勉強しない」の選択肢が1つなので「勉強する」が集計上有利ですよね。
つまりアンケートをする前から「勉強する」という人を少しでも多く導きたい意図が隠れている選択肢になっているわけです。
そして、最終的に「勉強する」と「どちらかというと勉強する」を合計して「こんなに勉強する人がいるよー」とアピールするわけです。
もし明確に「勉強する」とだけアンケートに答えた人の数字だけを見ると…
- 英語を勉強するに回答した人は、26.5%。
- プログラミングを勉強するに回答した人は、5.2%。
言い換えれば、英語は4人に1人、プログラミングは100人中5人が勉強するわけです。
最初のアンケート結果とだいぶ印象が変わったでしょ?
誰がどこで何人にアンケートしたの?
実は、考慮しなければならないポイントがまだあります。
それは、誰がどこで何人にアンケートしたのか? という点です。
アンケートの詳細を見てみると、このアンケートは「明光義塾」が「インターネット上」で「全国の保護者800人」(小中合計)に行ったものです。
小学校のアンケート結果だけに焦点を合わせると「小学校4年生~6年生の子どもを持つ全国の保護者400名」ということがわかります。
インターネット上でのアンケートなので、自らアクセスしています。
また明光義塾のアンケートに答える保護者層ですから、そもそも教育への意識関心が高い層です。
また400名という数字も統計上有意な母数とは言えないでしょう。
どうしてこういう結論になったのか考える
では、明光義塾さんのような有名なところが「英語」や「プログラミング」を夏休みに勉強する小学生が多いと水増しするようなアンケートをしたのでしょうか?
もしかすると「夏休み中に英語やプログラミング教育が盛んなように見えれば、塾業界が盛り上がるかも」という狙いがあったのかもしれませんね。
もちろんたまたま選択肢から抜け落ちてしまった可能性も否定できませんが。
世の中には「不十分な統計」や「正しい統計を誤って使用している」というケースがあります。
新聞やネットにこういう例は山ほど転がっていますからネタに困ることはないはずです。
もし自由研究やレポートのネタに困ったら、新聞やネットで自分が興味を持てる記事を読んで、内容を疑って検証してみることをオススメします。
それでは、また。
ちなみに統計についてはこの本がオススメです。