りょうさかさんと

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

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僕が尊敬するヤクルトレディ。その凄さを解説


決まった曜日にヤクルトレディが会社に来ます。彼女は決して器用なタイプではありません。それでも、わたしは同じ営業マンとしてある種の尊敬の念を持っています。

ヤクルトレディの何が凄いのか。その凄さを解説していきます。

見た目も中身も普通のおばちゃん

そのヤクルトレディは普通のおばちゃんです。見た目はこんな感じ。

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(引用)消滅都市0. より
この画像は「給食のおばちゃん」だけど、このおばちゃんにヤクルトレディの制服を着せたイメージだと思ってください。

ちなみにヤクルトレディの制服はこんな感じ。

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(引用)ヤクルトレディになろう! | 全国のお問い合わせはこちら

ご自分の脳内で渡辺麻友さんの顔を脳内で「給食のおばちゃん」に置き換えてくださいね。 イメージできましたか? どこにでもいそうな感じでしょ。

男女問わず、綺麗な人から営業されてモノを購入するのは普通です。東京ドームのビールの売り子としてトップセールスだった「おのののか」さんをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。

しかも、おのののかさんはカワイイだけじゃなく、常に観客のカップの残量をチェックするなど自分なりに考えて工夫して仕事をしていました。

でも、このヤクルトレディはそういうところが凄いんじゃありません。別の武器を持っているんです。それが愚直という武器です。 

愚直という武器

愚直という武器を説明するのには、ヤクルトレディの行動を紹介するとわかりやすいかもしれません。その方がすることはこんな感じです。

・聞き取りやすい声でフロア入室の挨拶

・フロアの人間に個別に挨拶

・買ってくれる人の名前を聞く(二度目以降は名前で呼びかけ)

・買ってくれる人の何か(服装など)を褒める

・季節商品、期間限定商品、新商品の紹介

・商品の手渡し前に軽く振るなど飲みやすい配慮

・聞き取りやすい声でフロア退室の挨拶

・退室時に次回訪問日の連絡

列挙したものを読むと営業マニュアル通だと思われたんじゃないでしょうか。わたしもそう思います。実際、購入する際に会話しても奇をてらったテクニックを感じることはありません。

そう、このヤクルトレディは、マニュアルで決められたこと、営業所で決まった方針を愚直にキッチリやり抜いているんです。

全く手を抜かずに。

愚直にやるのは全然簡単ではない

「いやいや、挨拶なんて当たり前だし。宣伝も誰だってするじゃん」そう思うでしょう。

でも、想像してください。フロアの入室時の挨拶なんて、ほとんど誰も見向きしないし、聞いているのかすらわからない。それでもキッチリ毎回するんです。

商品の紹介も「ヤクルト400で腸内環境、絶好調(腸)!!」みたいな営業所の会議で決まったであろうキラーフレーズ(親父ギャグ)を恥ずかし気もなくキッチリ言います。

退室時の挨拶も「失礼しました」「お邪魔しました」みたいな一言ではありません。

「本日もありがとうございました。私事で明後日の水曜日はお休みさせていただきます。次回、お伺いさせていただくのは金曜日となります。どうぞよろしくお願いします」

くらいの長い台詞をフロア全体に聞こえるようなハッキリとした声で言うわけです。そして、それを毎回キッチリ言っていく。

わたしがヤクルトレディだったら親父ギャグの宣伝フレーズは言いませんよ。会議や上から決められたフレーズでも恥ずかしかったり、違うなと思えば「バカ言ってんじゃねえよ」と言ってやりません。

退室の挨拶も「俺の予定なんて誰も聞いてないのに良く言えるな」と思ってしまってやる気が起きないです。

でも、そのヤクルトレディは恥ずかしさから逃げない。

キッチリやり切ることはとても難しいと皆知っている

その結果、どうなるのか。人間って不思議なものです。

聞いていないはずだったヤクルトレディの挨拶をみんな顔は向けなくても、耳は傾けるようになる。自分だったら言わない親父ギャグの営業トークに苦笑いしながら「じゃあ、一本」と買ってしまう。

わざわざお休みをいただくとか営業先に言わなくても良いのにと思いながら次に来る日を聞いてしまう。

みんな会社員だから、無意識のうちに営業担当者の目線でヤクルトレディを見ているんですね。小さなことでも徹底してやり切ることが難しいと経験で知っているんです。そのことに心が揺さぶられて、ついついヤクルトを買ってしまう。

しかもヤクルト一本の値段なんてたかが知れています。100円前後よ。

「親父ギャグの営業トークの効果」で買うのではなく「親父ギャグをやり切っているヤクルトレディの姿」を見て買うという感じなんです。

 

「人それぞれにあった色々な営業の方法と戦略がある」と改めて考えさせてくれたのが、このヤクルトレディさんなのでした。それでは、また。

 *ちなみにこのヤクルトレディの煽りを受けているのが、生命保険の営業の方。単価の安いヤクルトレディでもこんなにキッチリ挨拶しているのに、と比較されちゃうんですよね。ちょっと可哀想ですw