選挙カーってうるさいですよね。選挙の度にひたすら名前を連呼。朝から晩まで選挙期間中は続きます。
インターネットなどでは「選挙カーでうるさかった候補には投票しない!」なんて声も聞きますが、どうして名前連呼が止むことがないのでしょうか。
結論から言うと、
・選挙カーでは名前連呼しかできない
・名前連呼では好感度は上がらない
・でも、投票行動には結びつく
という3つの理由で立候補者は選挙カーを走らせ、名前を連呼しまくるわけです。
選挙カーでは名前連呼しかできない
実は選挙運動のための名前連呼は禁止されています。しかし、選挙カーと選挙船(こんなのあるの?)のみ連呼が認めらています。
これについて公職選挙法140条の2の(連呼行為の禁止)にて明記されています。
(連呼行為の禁止)
第百四十条の二 何人も、選挙運動のため、連呼行為をすることができない。ただし、演説会場及び街頭演説(演説を含む。)の場所においてする場合並びに午前八時から午後八時までの間に限り、次条の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上においてする場合は、この限りでない。
2 前項ただし書の規定により選挙運動のための連呼行為をする者は、学校(学校教育法第一条に規定する学校及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園をいう。以下同じ。)及び病院、診療所その他の療養施設の周辺においては、静穏を保持するように努めなければならない。
(引用)e-Gov法令検索
つまり学校、病院、保育園、幼稚園の周辺以外では選挙カーによる名前連呼を法律で認めているというわけです。
名前連呼よりも政策を訴えろよ、と思う方もいると思います。しかし、選挙カーで移動中の選挙運動は認められていません。こちらは公職選挙法の第百四十一条の三に定められています。
(車上の選挙運動の禁止)
第百四十一条の三 何人も、第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない。ただし、停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること及び第百四十条の二第一項ただし書の規定により自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない。
(引用)e-Gov法令検索
つまり選挙カーが停車している時は、車の上に立って演説などの選挙運動は認められていますが、走っている最中はダメという内容です。
つまり、まとめると選挙カーは名前連呼しかできないというわけなんです。
名前連呼は好感度は上げないが、投票行動には結びつく
では、選挙カーの名前連呼に効果はあるのでしょうか?
実はちゃんと論文があります。関西学院大学の三浦麻子教授と稲増一憲准教授らの研究グループが、投票行動と選挙運動について調査をしています。
リンクはこちら⇒
選挙運動が有権者の心理に及ぼす効果 候補者への好感度は高めないが投票には向かわせる | 2017年の報道発表 | 関西学院 広報室
朝日新聞でも紹介されています⇒
選挙カーの名前連呼って、本当に効果あるの? ⇨教授が実際に研究してみた結果… | ハフポスト
実際の論文によると…
投票行動については、候補者への好感度などの影響を統制してもなお、選挙運動への接触数の多さと候補者との空間的な近接性の高さのいずれもが候補者への投票に向かわせていることが示された。
特に、候補者の選挙運動との単なる物理的な近接が、好感度には影響しない一方で投票行動には正の影響を持っていたことは興味深い。
(引用)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssp/32/3/32_0955/_pdf/-char/ja
単純接触数を増やすと好感度は上がらないけど投票行動に繋がるということ。そのために名前連呼をしたり、ビラ配りしたり、握手したりするわけです。
まとめ
・選挙カーでは名前連呼しかできない
・名前連呼では好感度は上がらない
・でも、投票行動には結びつく
どうしても選挙カーが嫌な人はどうすれば良いのか。現時点では、学校や幼稚園などの教育施設や病院の近くに引っ越すくらいしか方法はなさそうです。
逆に「選挙でたいなー」とか薄っすら考えたり、妄想している人は、供託金+選挙カー費用を最低限用意できるかどうかが金銭的な判断の基準になりそうですね。それでは、また。