どうも、教育関係会社員のりょうさかさんです。
「統計でウソをつく法 ‐数式を使わない統計学入門」(ダレル・ハフ)についての書評です。
この書籍は1968年発刊、原著はなんと1954年発刊。
60年以上前の昭和の時代に書かれた本であるにも関わらず、2019年には101刷を突破し、今なお読み継がれている名著です。
(参考)ブルーバックス伝説の名著『統計でウソをつく法』100刷突破!(ブルーバックス編集部) | ブルーバックス | 講談社(1/3)
本書の内容
タイトル通り、数式は全く出てこない統計の本です。
- サンプルは偏る
- 平均とは?
- 誤ったグラフの表示
- 統計から因果関係を見出せるのか
- 統計の嘘を見破る5つの方法
このような内容なんですが、具体例を出しながら解説してくれるので、とても読みやすい本になっています。
一つだけ注意すべき点としては60年以上前に書かれたことを念頭に置くということです。
さすがに具体例が古くなってしまっていて、モノによっては「今だと因果関係がほぼわかっていること」もわからないと表現されている箇所がもあります。
具体例は、あくまで例えば話と認識して読んでくださいね。
日常生活で意識すべきポイント
ここからは本書を読んでわたしが感じた日常生活で統計資料を見た時に意識すべきポイントをご紹介。
サンプル数を見る
テレビのワイドショーでは「なんと72%の人が政策に反対でした」みたいな円グラフを見かけることがあると思います。
でも、よーく見てみると隅っこの方に(アンケート総数32人)みたいな表示があって、ズコーと滑ることも。
アンケート数は3000人くらいはないと信憑性がありません。
統計グラフなどを見たら、まずどれくらいの規模を調査したのかサンプル数を確認するようにしましょう。
どこが調べているか
これ結構、盲点なんですけど「どこが調べているか」を確認しましょう。
例えば、煙草に関する健康調査。
JTやフィリップ・モリスなどタバコ会社の調査は、バイアスがかかっている可能性があります。
それを裏付けるように国立がんセンターの調査と煙草会社の調査では、有害物質の分析結果が違っています。
詳細には、永江さんのブログで紹介されているのでどうぞ⇒
(参考)加熱式、蒸気式など新型タバコって受動喫煙ないだろと思ってるなら「新型タバコの本当のリスク アイコス、グロー、プルーム・テックの科学」を読んでから - More Access! More Fun! %
これって統計も一緒なんですよね。
調査団体の都合良い発表をしている可能性がありますからね。
他の数字を探す意識をする
池袋で痛ましい交通事故がありました。
その事故に際して武田邦彦先生が「老人イジメではないか」とテレビで発言しました。
(参考)全文表示 | 免許返納に「老人イジメじゃないの?」 武田邦彦氏が発言、ネットには異論続出 : J-CASTニュース
武田先生の論拠は、20代の事故率・死亡率が大きいからだというものです。
「交通事故数」に関しては統計的にその通りです。
ただ「死亡事故数」に限った統計資料を見ると、若者よりも75歳以上の高齢者の方が圧倒的に高いことがわかります。
詳しくはこちらのブログに丁寧にまとめられています。オススメ!⇒
(参考)【平成30年版】高齢者の交通事故は若者より多いのか?:年齢別統計データ - 事実を整える
このように話題になっている事柄とは違う数字があるのではないか。
物事を一面的に見るのではなく、他の観点はないかと探すことが重要になります。
本書には、これら以外に「問題をすり替えていないか」「意味があるのか」といった「統計のウソ」の見破り方が紹介されています。
詳しくは、ぜひ本書をご覧ください。
まとめ
最後に「メモの魔力」的抽象化をしたいと思います。
事実…ウソを見破る方法の本なのに、ウソをつく方法というタイトルにしている。
抽象化…良心に反する言葉に人は魅力を感じる。また「見抜く」ということは「出来る」ということの裏返しだと暗に示している。
転用…「教えない指導法」のように興味を引く記事タイトルにし、内容は全く逆のものにする。
というわけで今回の記事タイトルを「ウソつきになれ」にしてみました。
上手に「ウソをつける」のはウソの仕組みを理解した人です。
自分がウソをつくのは得策じゃないと思いますが、そういった能力を持ってウソを見抜けるようになりたいものです。
それでは、また。