ツィッター上でAさんという方が炎上していました。
わたしはその方、個人を叩くことには興味がありません。
しかし、今回の一連の流れで気になった点があるので記録として書いておきます。
炎上した経緯
炎上した経緯は、Aさんが、いわゆる「美人はつらいよ」的なツイートをしたのがきっかけでした。
その後、それが意図的に煽られたものだったり、Aさんをインフルエンサーにしようとの企画があったことも判明した為に余計に延焼したように思います。
そして、結果的にAさんはツィッターアカウントを削除してしまいました。
詳しい経緯はこちらにまとめられています。(炎上から時間も経ったこともあり、リンクは削除し名前表記も変更しました。)
わたしは問題となったツイートを炎上する前に見ることがあって「危なっかしいなあ」とは思ったけれど「共感も集めるだろうなあ」とも思いました。
自分の実力の成果なのか、それとも容姿のせいなのか。
そういう葛藤や自意識に苦しめられるという物語自体は、漫画や小説でも見かけるし、それほど珍しい主張ではありません。
一方で、おそらくAさんも周りの方も炎上するのを期待してツイートしていたと思うのです。
そして、見事狙い通り炎上に成功しました。なのに、アカウントを削除してしまいました。
わたしが疑問に思ったのは、このアカウントを削除した点です。
なぜ、アカウントを削除したのかの疑問に言及する前に、炎上商法について触れておきましょう。
炎上という商法
わたしはPRのプロではないのですが、商品が売れるプロセスとして「VCPプロセス」というのがあるそうです。
Visibility(認知)⇒ Credibility(信頼)⇒ Profitability(利益)
ものが売れる際にはどんなものでも< 認知 ⇒ 信頼 ⇒ 利益 >という流れになるってことです。
化粧品で例えると、女優さんやモデルさんを使ってテレビや雑誌でCM(認知)をして、店頭のテスターを試したり、一度買ってみたら良かった(信頼)を経て、愛用してつかうリピーターになる(利益)という流れって感じでしょうか。
Visibility(認知)の段階における広報戦略としては大きくわけて「炎上商法」「宣伝」「パブリシティ(プレスリリース)」の3点があります。
ただ「宣伝」はお金がかかりますし、「パブリシティ」は記事にしてもらうような働きかけが必要になります。
どちらも個人で簡単にできるような手法ではありません。
そこで、ツィッター上で安易かつ簡単に出来るのが、「炎上商法」になります。
すっごい簡単な表現にすると…炎上によって知名度を上げる。
その後、発信内容の質によって信頼を得る。最終的に利益が出るという流れになるでしょう。
ちなみに長谷川豊さんの上記動画によると芸能人だけは「悪名が無名に優る」なので、炎上商法的なものを繰り返すのはおかしくないそうです。(程度によると思いますが…)
こう考えると、いわゆるインフルエンサー界隈が炎上を繰り返すのもこのVCPプロセスに則ったやり方で狙っていることがわかります。(狙って炎上することの善悪を語るつもりはありません)
さて、Aさんの件について話を戻しましょう。
どうしてツィッターをやめたのか?
Aさんが、ツィッターをやめたのは、VCPプロセスのV(認知)の段階です。
炎上・延焼させて、炎上のほとぼりが冷めたらスタンスを守りながら、ツィートしていくような戦略だったんだと思います。
でも、ツィッターをやめちゃいました。
もちろん人間ですから、顔も知らない誰かから罵詈雑言が届くなんて嫌なものです。
わたしだって嫌な気持ちになります。たぶん誰だってそう。
だから炎上が辛くてやめたって可能性はあると思います。
あと「炎上商法だとバレた」というのも理由としてあるでしょう。
でも、それ以外の側面も考えてみたいんですよね。
原因は、ターゲットがないこと
広報でもなんでもない素人のわたしが考えた理由は、そもそもターゲットが明確じゃなかったからではないか、ということ。
なんか「とりあえず炎上して目立てば、フォロー増えてウマウマなんじゃね?」みたいな戦略だったような気がしてしまいます。
というのも、問題となったツイートをもう一度読んでみてください。
たぶん男女問わず、同じような悩みを持っている「美人」、自分を美人だと思っている「ナルシスト」は共感を持つと思います。
でも、この手の共感って他人には知られたくない部分でもあると思うんです。
だってこのツイートに「めっちゃわかる」って反応するのって「同類」であることの表明になりますよね。
つまり友だちとかに「こいつ、自分のこと美人だと思っているんだー」と思われるリスクが出てきちゃうんですよね。
わたしは「自分のことを美人だと思っている」ということを表明しても受け入れられる社会の方が、そりゃ良いと思いますよ。
でも、やっぱり印象は良くないわけでしょ。
だから当のAさん自身も「自分では自分ことを美人だとは思っていない」とツイートしているわけで。
当の本人すら印象が悪いと思っちゃっているんだから、仮に正論でも第三者の支持(信頼)って得られづらいですよね。
自称「美人と思っていない人」の「美人はつらいよ」という炎上商法って誰に支持されるんでしょうか?
わたしは、この疑問が浮かんでしまいました。
こうなってしまったのは、おそらくフォローしてほしいターゲットが明確ではなかったからなんじゃないでしょうか。
きっと「わたしは自分のことを美人だと思っている」と宣言して、「美人だからこんなにツライことがある」「それを少しでも理解してほしい」「あなたも自分のことを美人だと思いなさい」くらいのスタンスを貫いた方が刺さる層っていると思うわけです。
まあ、妄想に過ぎませんが…。
で、このままだと「C(信頼)」に結び付かない。
そういう先行きが見えてしまったから、ツイッターをやめて戦略的撤退をしたんじゃないかと想像しています。
わたしが考えたようなことは、Aさんもお気づきの内容のはず。たぶんターゲットを絞りなおしたら、2ヵ月後くらいにはツィッターを復帰していると予想します。
まとめ
- モノを売る時も、自分を売る時もVCPプロセス!
- VCPとは、Visibility(認知)⇒ Credibility(信頼)⇒ Profitability(利益)
- 芸能人など「自分をビジネス」にしたい人は「V」の認知が大事。
- ターゲットは明確に!
それでは、また。