学校教育は、教員の方だけではなく地域の方、PTAの方、様々な人々の協力と企業のサービス・商品で成り立っています。
その中の一つがALTです。
今回はALTと2020年から教科化される小学校外国語の授業について。結論から書くと「先生も保護者も児童もALTの方を頼りましょうね!」ということ。
(Photo by samer daboul from Pexels)
そもそもALTの先生って何人くらい働いているの?
最近、小学校英語の研究授業をいくつか見る機会がありました。
英語の授業には大きく2つのパターンがあります。
1つは日本人の先生が一人で英語を使って授業をするパターン。もう1つは日本人の先生とALTとよばれる英語を母語とする先生と共同で授業をするパターンです。
ALTとは「Assistant Language Teacher」の略称で、外国語指導助手のことです。
冒頭にも「ALTに頼りましょう」と書きましたがその前に、どの程度の人数のALTの方が活躍されているのか、以下の表を見てみましょう。
(引用)小学校における外国語教育の指導体制について(文科省)
この表は平成28年の資料ですが、小学校12,424人、中学校7,722人、高校2,842人となっています。
ただこの数字は小学校、中学校、高校をALTの先生兼務している場合を含むため、実際の数は見えにくくなっていますよね。
ALTの先生ってどのくらいの割合で働いているの?
そこで、ちょっとでもイメージしやすいように各校種の校数も見てみましょう。
平成30年度の資料になりますが文科省の調査によると小学校19,892校、中学校10,270校 、高校4,897校となります。
つまり小・中・高の合計35,059校に対して、18,484人のALTの方が働かれているわけです。
焦点となっている小学校に限ると、19,892校に対して12,424人のALTの方が働かれているわけです。
ALTの方は、毎日1つの学校に常駐するケース(レア)と決まった曜日だけ学校に来て、複数の学校を兼務するケースなど様々です。
また各学校に1人のALTがいれば授業を行っていけるか? というとそうではありません。多くの場合、1校に対して2名程度のALTの方が入っているのが現状だと思います。
そう考えると約2万校に対して1万2000人のALTって少ないんですよね。上記の文科省の資料にあるように授業の60%程度です。
常駐しているような地域差も考えるとほとんどの小学校ではALTの方と一緒の授業があるのは2回に1回ということですね。
生の英語に触れるチャンス!
ALTの方の生の英語に触れるチャンスは2回に1回しかありません。地域によっては月1回くらいのところもあるはず。
こんなチャンスを先生も保護者も児童も逃しては勿体ない!!
英語教育、特に小学校の英語教育で大事なものの1つが必然性です。
現在、日常生活を過ごす上で英語を使う必然性は残念ながらほとんどありません。生活の周囲を見回しても英語でなければ出来ないことはありませんよね。日本語でオールオッケー!
周囲ではなく、将来を見て必要性を考えたり、海外に行ってようやく英語が必要かなと感じるのがほとんどではないでしょうか。
(中・高になると受験という出口のせいで良くも悪くも英語を学ぶ必要性が生じますが…)
小学校の授業において必然性があると子どもたちの意識が全く変わります。
これは文科省の教科調査官の直山木綿子先生が講演会で言っていた言葉です。わたしも授業を見学していて同様のことを感じました。
もし2回に1回、一か月に1回しかALTの方が来ないのなら、そのALTにクラスで何か伝えようという目的で授業をした方が必然性が生じます。
また保護者、児童の立場からすると生の英語を話し、聞く絶好の相手。ぜひ話しかけるように促してみてはいかがでしょうか?
慣れない間は廊下ですれ違った時に「ハロー」だけでも良いと思います。慣れてきたら学校の授業で習ったフレーズを使ってALTの方の個人的なこと(趣味や好きなスポーツや漫画)を質問させましょう。きっとALTも喜んで返事してくれますよ。
表現は悪いですが、保護者・児童の方は、学校という場を徹底的に利用するつもりでALTの方とコミュニケーションをとることをオススメします。では、また。