りょうさかさんと

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「僕たちはどう伝えるか」は何をプレゼンしているのか【書評】


今回は「僕たちはどう伝えるか」(著・中田敦彦)の書評です。

「僕たちはどう伝えるか」の内容は、副題「人生を成功させるプレゼンの力」にもあるようにプレゼン解説書というもの。

「しくじり先生」のあっちゃんのプレゼンを見たことがある人なら、あっちゃんのプレゼンの上手さはご存知のはず。そのノウハウが垣間見れる内容になっています。

その大きな特徴は「『プレゼンを解説する』というプレゼンになっている」という2重構造になっている点です。

プレゼンには目的がありますよね。

では、あっちゃんが「僕たちはどう伝えるか」をプレゼンする目的はなんでしょうか?

売上? それもあると思います。もう一つは、わたしがこの記事を書いていること「そのもの」と言えるでしょう。

では、書評していきましょう。

読書にかかる時間

この本を読むのに要する時間について。

「はじめに」から始まり、ちょうど160ページというページ数です。読書が苦手な方は多いと思われるかもしれませんが、大丈夫です。

「はじめに」に「大丈夫。30分で、読破できる。」と力強く宣言しています。実際に測ってみたところ本当に30分程度で読み終わることができました。

反面、読書好きの方には物足りないように感じるかもしれません。正直、わたしも少し抵抗がありました。でも、読んでみると内容には満足できるのでご安心を。

本書の構成

次に構成について簡単に触れたいと思います。

「はじめに」において「どうしてプレゼンが必要か」ということが述べられます。

その理由は、「有史以来、人は伝達連携しあって生きてきたからで、現在では形を変えてプレゼンになっている」と続きます。

説得力ありますよね。論文でも報告書でも「読み手のことを考えて書きなさい」と言われたことがあると思います。これって相手へのプレゼンだからなんですね。

さて、「はじめに」以降は、

・つかみの重要性

・難しい言葉は使わない

・内容構成

・誘導尋問のテクニック

・メンタル面

・テクニック面

・練習の重要性

といった内容が続きます。

内容構成の部分では「かかる時間・目的地・道筋を先に言う」ということが書かれています。(「僕たちはどう立伝えるか」p.67)

これってブログの書き方でも同じですよね。っていうかブログの記事ってプレゼンだよね、と改めて気付かされました。

より具体的な内容は本書を買って読んでいただくのが良いのですが、特に印象に残った部分を次にご紹介。

「説得力を倍増させる「歴史」の使い方」という章についてです。

どう裏付けるのか

プレゼンにおいて重要なのは説得力です。つまり裏付けが必要だということです。

「僕たちはどう伝えるか」では、その有力な方法として「歴史」が使えると提案しています。

本書で登場する具体例は「会社の幹部が居座り政権交代がないことを批判する」という設定です。

あっちゃんは、江戸時代の第11代将軍、徳川家斉が50年も将軍をやり続け、腐敗した政治だったエピソードを用います。

次に使うエピソードはアメリカの初代大統領ワシントンです。ワシントンは「大統領の任期は最長2期8年まで」と定めました。

この2つのエピソードを用いることでただの主張に歴史的な裏付けを持って話すことができます。

(参考)「僕たちはどう伝えるか」(p.128-135)

わたしはこの部分がとても印象に残っています。このブログでも会社の企画提案などでもわたしはエビデンスを大事にしています。いわゆる官公庁など信頼のおける発表や論文などを元にした数字(データ)を根拠にする方法です。

この方法が間違っているとは思いませんし、まだまだ上手く使いたいと考えています。しかし、この武器だけで良いのかな? と悩んでいました。

そこで私が考えたのは実体験・実績というものです。(この実体験・実績について「僕たちはどう伝えるか」でも扱われていますよ)

実体験・実績を根拠にするデメリットは最低でも一度はトライしなければならない点です。トライすれば良いだけの話なんですが、簡単なものばかりではありませんよね。

そこで使えるのが「歴史」です。本書を読んで高校時代ぶりに歴史を勉強したくなってきました。

あっちゃんは何をプレゼンしたいのか

ここまで本書の内容について簡単に紹介してきました。

では、あっちゃんが「僕たちはどう伝えるか」という書籍を使ったプレゼンの目的はなんでしょうか? 

わたしの答えは『この「僕たちはどう伝えるか」をプレゼンしてみなよ』というものです。

「プレゼンには何回も練習することが不可欠だ。この読んだばかりの本をプレゼンして実践してみな」って、本書を通して何度もあっちゃんが語り掛けてくるんですよね。

というわけで素直にトライしてみました。

答えはもちろん、あっちゃんしか知りえないでしょうし、一つとも限りません。中田敦彦自身をプレゼンしているとも言えるかもしれません。

さいごに

実は、この記事の構成も「僕たちはどう伝えるか」であっちゃんが説明していたプレゼンの構成を意識して作ってみました。

導入&結論、所要時間、内容、具体例、結論という形です。

プレゼンだけではなく、ブログ、論文、報告書を書くのにも応用できる内容が詰まっています。ぜひ読んでみてください。