陵坂と考察と

教育関係会社員が教育を中心に考えたこと、思ったことを書きます。

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大学入学共通テストの問題作成について資料が出たので読んでみた

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大学入試センターが平成30年6月18日に「「大学入学共通テスト」における問題作成の方向性等と本年11月に実施する試行調査(プレテスト)の趣旨について」を公表しました。

PDFファイルで32枚と結構な量で読むのは結構大変です。

そこでわたしがざっと目を通して、ポイントとなる部分を紹介したいと思います。

下記にて引用させていただいた資料はこちらからどうぞ。

http://www.dnc.ac.jp/news/20180618-01.html

ポイント1:「主体的対話的深い学び」って当然してるよね?

まず今学校現場で話題となっている「主体的対話的深い学び」への言及があります。そして、その直後に以下のような文章が続きます。

(3)「どのように学ぶか」を踏まえた問題の場面設定

○ 問題の中では、教科書等で扱われていない初見の資料等が扱われることもありますが、問われているのはあくまで、高校等における通常の授業を通じて身に付けた知識の理解や思考力等です。初見の資料等は、新たな場面でもそれらの力が発揮できるかどうかを問うための題材として用いるものであり、そうした資料等の内容自体が知識として問われるわけではないことに留意してください。

(p.3より引用)

つまり「教科書で扱っていない内容が出題されるけれど、その内容自体は問わないよ。そこから何を考えることが出来るか試すからね」ってことですね。

これはおそらく理科系・社会系の教科についての言及でしょう。この手の教科で教科書に掲載されていない問題が出題されると物議を醸すことがあるからです。

どうしてこういうことが起きるかというと原則として教科書は4年に1回しか改訂されないためです。教科書が新しくなった時には最新の内容も、生徒さんの学年の巡り合わせによっては学ぶ時には4年前の情報になってしまうためです。

でも入試だと最近の発見や科学的事象を扱ったりする場合があります。

だから、出題はするけれど内容自体の知識は問わないと宣言しているわけです。

またこの文章は高校側へのメッセージでもあります。「主体的対話的深い学び」「アクティブラーニング」などの授業改革が言われていますが、本当に高校の授業が変わっていくのかわかりません。

そこで「大学入学共通テスト」でもそういった授業をしてないと生徒が困るぞ、と教員をけん制しているわけです。

ポイント2:浪人生用の問題はないよ

浪人生用の問題は作成しないということです。理由は、現行の指導要領と変わらないからということですが、こればっかりは該当となってしまう学生さんとしては不安ですよね。

進学校や意識の高い高校なら先生方は対象の学年より前からこういうことを意識して指導しています。(少なくとも、わたしがお会いした方はそうでした)

というのも先生の立場になれば、新テスト対象の学年から「ハイ、授業変えた!」って出来るかどうかという話なんです。

先ほども触れたように「主体的対話的深い学び」の授業にしないといけない。これは大きな転換です。そういった授業を明日から簡単に出来るのなら先生も困らないし、文科省も取り組みません。

だから進学校や意識の高い高校・先生方は前もって「主体的対話的深い学び」に取り組んでいます。つまり新テストの該当学年以外の生徒もそういった授業を少しずつですが受けているはずです。

問題は、校長や教員の意識の低い高校に通っている生徒さんですね。浪人した場合は高校の授業以外でカバーせざるを得ないかもしれません。

(1)共通テストにおける実施教科・科目(2020年度から実施)

○ 2020年度から共通テストに移行しますが、現行の高等学校学習指導要領に基づく学習範囲の中から問題が作成されるという点については、2019年度までと変更はないことから、過年度卒業者用の別の問題は作成しない方向で検討しています。

(p.3より引用)

ポイント3:記述式問題が国語・数学で各3問導入

記述式問題が国語・数学Ⅰにおいて各3問導入されます。

国語について

記述式の文字数はそれぞれ20~30字程度、40~50字程度、80~120字程度のようです。内容把握、解釈、要約する力が求められます。

3.記述式問題の導入

○ 国語と数学Ⅰにおいて、それぞれ小問3問の記述式問題が導入されます。解答用紙には新たに記述式問題の解答欄が設けられます。問題の内容等についての方向性は、「7」に示すとおりです。

(p.5より引用)

【国語】

○ 国語では、20~30字程度、40~50字程度、80~120字程度を記述する問題がそれぞれ1問ずつ出題される予定です。記述式問題の導入に伴い解答時間が延長され、「国語」が100分(現行の大学入試センター試験では80分)になります。

○ 国語の記述式問題については、マーク式問題の配点とは別に、記述式問題の段階別評価が示されます。段階の数については、小問ごとに4段階表示、総合評価については80~120字程度を記述する小問についてのみ1.5倍の重み付けを行った上で5段階表示とすることが検討されています

(p.6より引用)

(1)国語

○ 記述式の問題は、実用的な文章を主たる題材とするもの、論理的な文章を主たる題材とするもの又は両方を組み合わせたものとし、小問3問で構成される大問1問を出題します。テキストの内容や構造を把握し、解釈することや、その上で要旨を端的にまとめ、わかりやすく記述することを求めることとし、小問3問の解答字数については、20~30字程度、40~50字程度、80~120字程度をそれぞれ1問ずつ出題します。

(p.7より引用)

数学について

あくまで数学Ⅰの中で記述式問題が出題されます。これまで公表された問題を見る限り、数学では実生活と関連した問題や融合問題も出題されています。

公式を丸暗記して、パターンを覚えて解答するのではなく、公式の意味を理解し、自分で公式を導き出せるようにしておくと心強いかもしれませんね。

【数学】

○ 数学Ⅰでは、数式を記述する問題、または問題解決のための方略等を端的な短い文で記述する問題が3問、マーク式問題と混在する形で出題される予定です。記述式問題の導入に伴い解答時間が延長され、「数学Ⅰ」、「数学Ⅰ・数学A」が70分(現行の大学入試センター試験では60分)になります。

○ 数学Ⅰの記述式問題については、段階別評価は行われず、マーク式問題と同様に配点が行われます。

(p.6より引用)

(2)数学(数学Ⅰ・数学A、数学Ⅱ・数学B)

○ 記述式の問題は、数学Ⅰにおいて設定することとし、マーク式問題と混在させた形で小問3問を出題します。数式を記述する問題、または問題解決のための方略等を端的な短い文で記述する問題を出題します。

(p.7より引用)

ポイント4:発音・アクセント・語句整序は出題されない。リーディング・リスニングの配点を均等にする予定

英語についてはより本当に英語力があるかを問う方向に問題が変わります。その結果、発音・アクセント・語句整序の問題は出題されなくなります。

確かに民間試験などの活用で、スピーキングをするのなら発音・アクセントを暗記出来ているかどうかペーパーテストで測るのはナンセンスですよね。

またリーディングとリスニングの配点を均等にする予定とされています。もちろん予定ですから、今後どうなるのかはわかりません。

ただ英語の試験改革は見ていると、英語については本当に英語力を問おうとしているのだと伝わってきます。それは例えば、アメリカ英語・ネイティブスピーカー以外の話者によるリスニングを求める点にも表れていると思います。

当たり前ですが、英語で会話するのはネイティブスピーカーだけじゃないですよね。むしろそうでないケースの方が多いはずです。そういうことが試験に反映されているわけです。

こういった趣旨を把握すると英語入試対策も見えてきます。おそらく今までの大学入試用の英語力では振り回されてしまうと思います。それよりも本当に使える英語を意識して習得した方が結果的に大学入試にも生かせるでしょう。

(5)外国語

(英語)

○ 筆記(リーディング)については、テキストを読み事実や意見等を整理する力、テキストの構成を理解する力、テキストの内容を理解して要約する力等を問うことをねらいとし、問題の構成や内容について検証を行います。なお、英語の資格・検定試験の活用を通じて「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」の総合的な評価がなされる方針であることを踏まえ、試行調査においては、筆記(リーディング)の問題では「読むこと」の力を把握することを目的とし、発音、アクセント、語句整序などの問題は出題せず実施し検証することとします。

○ リスニングについては、複数の情報を比較して判断する力や、議論を聞いて要点を把握する力等を問うことをねらいとし、問題の構成や内容について検証を行います。音声については、アメリカ英語以外の読み上げ(イギリス英語や英語を母語としない話者による読み上げ)も行います。

また、資格・検定試験における英語のリスニング試験における一般的な在り方や平成29年度の試行調査の結果を踏まえ、1回読みと2回読みが混在する構成で実施し、試行調査を通じて検証することとします。

○ 英語教育改革の方向性の中で各技能の能力をバランスよく把握することが求められていることや、多くの英語の資格・検定試験で各技能の配点が均等となっている状況を踏まえ、試行調査においては、「筆記(リーディング)」「リスニング」の配点を均等として実施する予定です。最終的な配点は、試行調査の実施状況や関係者のご意見等を踏まえながら決定されます。いずれにしても、各大学の入学者選抜において、4技能を総合的に評価するよう努めるという実施方針を踏まえつつ、具体的にどの技能にどの程度の比重を置くかは各大学の判断によるという点に変わりはありません。

(p.9-10より引用)

まとめ

・全般的に思考力が問われる問題が出る前提で準備をする。

・英語に関しては入試用というよりも、本当に話せる英語力を意識して取り組む。

おおざっぱに要点をまとめるとこの2点になります。

高校の授業は入学してしまうと生徒・保護者が選ぶことは難しいでしょう。

そうであるならどういった力が大事なのか理解して日々の授業、自習に取り組みましょう。特に思考力は、社会に出てからも大切ですからね。焦らずコツコツです。じゃあ、また。