あなたは資産価値って気にしますか。多くの方は高額なものを買う時にこの言葉に出会うのではないでしょうか。家や腕時計を買う時に「資産価値も考えて買った方が良いよ」など身近な方に声をかけられるケースも多いと思います。
でも、そんなに気にする必要ってあるんでしょうか。
そういうことを考えてみたいと思います。
資産価値とは
そもそも資産価値とはどう意味でしょうか。
財産として評価した価額。おおむね市場での取引価格に等しい。これに対して、資産の利用によって得る便益に着目して評価した価額を「利用価値」という場合がある。
投資目的に購入を考えたり、もしも売却した時に少しでも高く売ることができたらいいなあ、と買う時に思いを巡らすこともあると思います。
私は腕時計が好きで20本以上所有しています。その中の1つ、誰でも知っている「とあるブランド」の腕時計があります。この腕時計、某ネットショップでは中古価格が購入価格(新品)の2.3倍で設定されていました。
状態にもよりますが、この腕時計を中古ショップに持ち込めばおそらく購入価格より少し安い価格ですぐに現金化できるでしょう。またヤフオクなどを用いれば購入価格の2倍程度の価格でも取引できそうです。
いやあ、大成功ですね。っていうお話ではありません。
大成功なのはしっかり売り抜けた時点でようやく言えることですよね。だって今は購入価格より高く取引されていますが、これがずっと続くとは言えません。もしかすると明日には転売価格が購入価格よりも遥かに安くなっているかもしれないからです。
腕時計の資産価値
ちなみに私が前述の腕時計を手放すかというと手放すことはないと思います。
良い買い物をしたなと悦に入ることが出来ますが、購入した腕時計の中古価格、取引価格が上下しようが自分が気に入って手に入れた腕時計の私にとっての価値は上下しません。私にとっての価値は、購入価格、中古価格が基準ではないからです。
「自分にとっての価値」と「資産価値」は全く別のお話です。
ただ人によってはこのあたりがごちゃごちゃになって整理されていない人、同一視している人と様々です。高ければ良いものだという価値観は私にはありませんが、それを採用すること自体は悪いことではありません。
ただ腕時計に関していえば、コロコロと1・2年ごとに頻繁に買い替えない限り資産価値を気にする必要はありません。庶民にとって腕時計を購入する機会の一つが結納返しです。そういう時に迷って購入相談を持ち掛けられることもありますが「私は気に入ったのを買えば良いじゃん」しか言いません。
「資産価値がー」と言われることもありますが「結納返しの腕時計を売るケースは想定しない方が幸せ」という主旨の説明をします。そうなると資産価値自体気にすることがナンセンスになってきますよね。
売らないものの資産価値を気にしても仕方ないでしょ。
また多くのサラリーマンが色々な意味で購入しやすいロレックスのエクスプローラⅠ、オメガのスピードマスターなどの腕時計はうまく売却しても50~10万も戻ってくれば良いほうです。(たぶん現実はもっと厳しい)
そして、「何かあった時」には50万円じゃ焼石に水の状況のような気がします。パテックとか雲上腕時計の話なら資産価値っていう意見も重みを増しますが…。
家の資産価値をどう考えるか
じゃあ、腕時計ではなく家ならどうでしょうか。夢の一軒家、そう憧れの人もいると思います。
ただ家は購入した瞬間に資産価値は減り続ける一方です。建物の価値よりも土地の価値の方が大事だともいわれますよね。しかも、家って売ること前提で買う方って少ないですよね。だって多くの場合35年ローンでしょ。35年は売るつもりがないからローン組むんだよね?
もちろん不足の事態で家を手放す可能性は否定できません。その時に少しでも高く売ることが出来ればと期待する気持ちはわからなくもありません。
ただ「資産価値になるから」という理由の購入は、前述のように価値が下がり続けるので見通しの良い戦略ではありません。そう言うと「賃貸と比べれば」という意見も聞こえてきそうです。何度も言いますが購入しても「家自体の資産価値」は10年も経てばほとんどありません。
目に見えて残るか、残らないかの違いだけ。あるのは「土地の資産価値」だけになるんですが、その土地の価値も人口減少のことを考えると上がることを見込むポジションは楽観的だと思います。
それでも家と土地自体は手元に残ります。じゃあ、賃貸派は何が残るかと言うと「家の購入に使わなかった資産」が残ります。このどちらを有効だと考えるかは比較する場所、時代、人生観に寄る部分です。
また資産価値を気にするのなら、それよりも前に35年ローンという借金を背負うことを気にした方が有意義だと感じます。人生の選択肢がかなり制限されますからね。
この考えは資産の量、資産の持ち方、考え方によっても違うのは重々承知です。言いたいのは「売る気がないなら資産価値と気にしなさんな」ということです。それでは、また。