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教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

早期英語教育で意識すべき3つのポイント【書評】「英語を子どもに教えるな」


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この4月から前倒しで英語授業を本格的に実施している小学校も多いと思います。

今回、読んだ本は「英語を子どもに教えるな」(市川力・中公新書ラクレ)です。

なかなか衝撃的なタイトルですが「子どもに英語を教えてはいけない!」という主旨の本ではありません。「幼児英語教育の難解さ」と「じゃあ、教えるならどうすれば良いの?」という疑問に著者なりに提案してくれる内容になっています。

2004年発刊の本なので書籍内で紹介される論文、社会情勢、教育指導要領などにおいて10年もズレがあります。そのことを確認の上、今回の書評、および本書をお読みくださいませ。 

英語を子どもに教えるな (中公新書ラクレ)

英語を子どもに教えるな (中公新書ラクレ)

 

 (陵坂が読んだのはKindle版です)

本の構成

ざっと大まかな本書の構成をご紹介します。

第一章は、在米日本人子女の教育事情について。

第二章は、子どもが海外生活すれば英語が身に付くかというとそうじゃないって話。

第三章は、バイリンガル幻想について。

第四章は、日本の早期英語教育事情について。

第五章は、国際感覚を育むということについて。

第六章は、親が留意すべき10のポイント

巻末に、ブックガイドが紹介されているのも親切です。第四章については発刊から14年が経っていることを踏まえて読みましょう。ポイントはやはり第六章ですよね。

陵坂もDWEを用いた幼児英語教育を子どもにしているので、とても参考になりました。子どもの英語教育を考えている方はこの六章だけでもお金を払って読む価値がありますよ。

さて、これからの文章は私が読んで考えた早期英語教育で意識すべき3つのポイントについて書いていきます。

ポイント1 英語が話せるということ

この本で改めて考えさせられたのは「英語が話せる」ということの意味です。

自分や子どもが「英語が話せる」ようになりたいと思うのはごく自然な考えだと思います。

でも、どうなれば「英語が話せる」と言える状態なんでしょうか。

・綺麗な発音で単語がいくつか言えるレベル

・道案内できるレベル

・海外旅行で困らないレベル

・論文を読み書きしたりビジネスで使えるレベル

少し考えただけでも色々なレベルが浮かんでくると思います。

このレベルについて本書ではこのような指摘を論文を参考に紹介しています。

オーストラリアの言語学者ギボンズは、(中略)「遊び場言語(playground language)」と「教室言語(classroom language)」の2種類の言語があることを示した。

「遊び場言語」とは子どもが友だち同士で会話をしたり、一緒に遊んだりする時に使う「日常会話のための言語」である。(中略)したがって、省略されたり、不正確な表現があっても、理解可能なのだ。

 それに対して「教室言語」は、先生が教科内容を説明する際に用いる「教科理解のための言語」である。(中略)このことばは、抽象的な思考のために使われるので、言語以外の手がかりを利用することはできず、正しい語彙を用い、文法的にも正確に表現しない限り、相手には通じない(No.815より引用)

どんなことでも取り組む時には、ゴールとなる目標が大事ですよね。

「遊び場言語」「教室言語」のどちらを目標にするのか。何をもってして「英語が話せる」というのか。日常会話レベル? ビジネスレベル? 修士論文レベル?

まずは保護者としてしっかり自分の中で答えを持つ必要があると感じました。 

私は、子どもにDWEで早期英語教育をさせていることもあって、子どもが単語を言えたりするととっても嬉しいし子どもを褒めます。

でも、その程度って中学校から勉強してもすぐに身に付くレベルでもあるわけです。

階段を1段ずつ上がるように少しずつ進歩していく子どもを褒めると同時に「これが目的じゃない」と改めて認識するようにしています。 

ポイント2 「時間」は限られている

早期英語教育で「時間」というと色々な意味を連想することができますよね。

早期英語教育の際によく言われる「時間」は「英語耳」のことです。生まれたばかりの頃は全ての音を聞き取ることが出来るのに、ある発達段階から聞き取れなくなることを言うアレです。

ただ私が意識したいのはもっと別の「時間」です。

それは「子どもと過ごせる時間」のことです。

お金などと同様に子どもと過ごせる時間は限られています。特に小学校入学までに過ごせる時間は本当に僅かですよね。

そんな僅かな時間の中で出来ることって限られています。「しつけ」「日本語」「コミュニケーション」や色々な場所に行って様々な経験をすることなどなど。

日々のことなら公園遊びだって、スポーツだって、絵本の読み聞かせだってしてあげたいと思うでしょう。また保護者の現実としては仕事・家事があるし、仕事のために保育所に頼らざるを得ない人もいると思います。

このようにあると思っても「時間」って限られているし、その中で全てをすることは到底できない。

いかに優先順位をつけていくか。そして「子どもが楽しい」を大事にしたい。その中でどう英語教育を位置付けるか、英語教育に取り組んでいくかが大切かなと思いました。

ポイント3 日本語力の大事さ

「読み書きそろばん」と言うようにやはり日本語は大事だと改めて感じました。

上記で引用したギボンズのいう「遊び場言語」「教室言語」を母語である日本語にあてはめて考えると明らかですよね。

日常会話レベルでしか日本語を使えないのに英語をそれ以上使いこなせるようになることってありえない。(少なくともは日本国内・日本人の両親の教育では)

一方で日本語の力が伸びれば、それは第二言語にもいきてくるんじゃないかなと私は思います。

本書だと以下の仮説を紹介しています。

カナダの言語学者カミンズは、バイリンガル話者の研究を通じて、母語と第二言語との間には相互依存する共有の部分があるのではないかという仮説を立てた。母語と第二言語とは、音声構造・文法構造・表記法といった表層面は異なっている。しかし、論理的に分析し、類推・比較し、まとめる力といった抽象的な思考に必要な能力、文章構造や文章の流れをつかむ能力といった認知能力に関わる深層面では共有する部分があるという。(No.962より引用)

日本語も大事、英語も大事。でも一番大事なのは日本語力。

私がここで言いたい日本語力は、言語化する力と思考する力のことです。後者はわかりやすいと思うんですが、前者はちょっとわかりにくいよね。

「言語化する力」といっても、「机」のことを「足が四本あってその上に木の板がある家具」と表現できる力のこと言いたいわけではありません。

端的に言えば「自分の感情、思考、理屈」を言葉を用いて表現できる力のことです。

やっぱりわかりにくいよね。こんな言い方ならどうかな。

「問題に対して原因がわかれば解決したのと同じ」ってよく言いますよね。これって日常生活でも同じだと私は考えているんです。

この「原因」ってモノであればどこかが故障していて、その「原因」を見つけ出せば良いんですが、日常生活ではそう簡単にはいきません。

日常生活においてそんな簡単に「原因」(=故障している部分)なんてわからないですよね。

もっといえば「どうしてイライラしているのか」「どうして進路で迷っているのか」すらわからないことの方が多いんじゃないでしょうか。

そういう時に自分の感情やどうして迷っているかを言葉で自分自身に説明することができれば、「原因」に近づくことができるんじゃないかなって私は考えています。

イライラする理由が例えば「嫉妬」だと自覚することが出来れば昨日より感情のコントロールが楽になるし、進路で迷っている理由が「親からのプレッシャー」だとわかれば両親と話し合ってみることで案外解決するかもしれません。

私はそういう意味で「言語化する力」が大事だと考えます。

その為には母語である日本語が大事だし、その力きっと英語を話す上でも大切になると考えます。 

本書に掲載されている10のポイント

本書の構成で紹介したように第六章では保護者が留意すべき10のポイントが紹介されています。本書のウリの1つだと思うので全て紹介するのではなく、私が特に印象に残った3つのポイントをご紹介します。 

・よい英語教材の見分け方は「音声を消して映像のみ見ること」。目で見ただけで「意味がわかる文脈」に音声があることで音声の意味を理解することできる。(No.2371より要約) 

・絵本の「読み聞かせ」の際は子どもに質問をまじえながらしよう。また読み聞かせをする親と読み聞かせ後に「どんなお話しだったの?」と質問する親を別にすることで要約する力を訓練できる。(No.2561より要約) 

・英語力は一生かけて身に付けるものと覚悟する。(NO.2905より引用)

特に最後の「一生かけて」という部分は忘れがちですよね。毎日使いこなす日本語ですら言葉が出てこなかったり、知らない単語や言い回しがあったりします。また大人になってからも読書や音読の重要性を問われることがありますよね。

第二言語なら尚更ですよね。 

まとめ

私の考えをまとめると…

・どの程度の英語力に身につけさせたいか考えよう。

・限られた時間の中での優先順位を付けよう。

・自分の気持ちや考えを言葉で説明できる力を目指そう。 

貴方は子どもにどんな力を身につけさせて、何を選びますか?

一度考えてみるのも悪くないと思いますよ。

じゃあ、また。

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