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【解説】小学校英語のモジュール授業は有効なのか整理しよう


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小学校英語の3・4年の前倒しと5・6年の時間増について以前の記事で紹介しました。

繰り返しになりますが、2020年(平成32年度)から3・4年生では外国語活動、5・6年生では小学校英語の教科書が配られ「教科」になります。

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2017年9月21日に文部科学省から「We Can!」という新教材が発表されました。

林芳正文部科学大臣記者会見録(平成29年9月22日):文部科学省

わかりやすいのはこちらの新聞記事です。news.livedoor.com

公開された外国語教材は、新学習指導要領に対応する検定教科書が学習現場へ無償給与されるまでの2年間に用いられる予定の教材。平成29年度の小学4年生(平成30年度5年生)と小学5年生(同6年生)が初めて利用する。

今、学校現場での小学校英語について困っている点がいくつかあるのですが、そのうちの一つが指導時間です。

今でも授業時数がいっぱいいっぱいなのにどこに増やす余地があるっていうのよ、という感じなんです。そこに対応する一つの手法として「短時間学習」、いわゆる「モジュール授業」が挙げられています。

モジュール授業とは

モジュール授業は学校によっても違いますが、1回15分程度の授業のことを指します。(下記資料では9分~23分の例が挙げられています。)

45分まるまる授業時間を捻出することは難しくても、15分なら朝や昼の時間などに設けることが出来るよね、という考え方です。 

モジュール授業のメリット

仮にモジュールを15分と設定しましょう。小学校は1コマの授業が45分なので3回で一コマ分の授業をしたことになります。

現在の指導要領では5・6年生は35コマ週1時間の授業なので、土日を除いて5日のうち1日だけ45分の授業を受けているペースですよね。正直、足りているのかどうか。

しかし、2020年からは教科になり、5・6年生は70コマの週2時間です。そこでモジュール授業を活用すると「15分×3日+45分×1日」とすることで週5日のうち4日間、英語に触れる時間を作ることが可能になります。

言語の習得において毎日少しずつでも触れることは有効と言われているのはご存知の通り。そういう意味でもメリットがあるのはご理解いただけると思います。実際、文科省の資料でも…

小学校における外国語教育の充実に向けた取組(カリキュラム、教材、指導体制の強化)文科省

<成果・効果>

○1単位時間の指導における帯活動(スモールトーク)の導入やモジュール活動の実施により、英語を聞くことに対する関心・意欲が高まった。

○モジュール(Fun Time)で「文字を読んだり書いたり」することに取り組み、自分の話す英語をより理解して話すことができるようになったことで、既習の表現を活用したり歌詞をヒントにしたりして会話の幅が広がった。

○短時間学習を行うことで、英語に慣れ親しむ機会が増えた。その効果として「話す」「聞く」力が付いてきた。特に「聞く」力が伸び、ALTの英語の指示にも戸惑うことが少なくなった。

と書かれており、有効の手段の一つのように見えます。

モジュール授業のデメリット

但し、メリットだけではないわけでして、以下のように課題も挙げられています。

<課題>

○短時間学習の時間の確保をしていくことが、難しい時期もある。時間帯も含めて、どのようにしていくのか再度検討する必要がある。

○短時間学習について、より具体的かつ系統立った学習効果をねらい、内容を改善する必要がある。

またこちらには述べられていないデメリットとして授業回数が3倍以上になるわけですから授業・教材準備も3倍以上必要になるわけです。教員の多忙化が問題となっている昨今の状況ですよ。そして、当然、ALTの先生との打ち合わせも必要になるのですが…。

「小学校の外国語活動及び英語活動等に関する現状調査」総合編(国・公・私立小学校) 対象 (平成25年12月実施) によると「問8 現在、外国語活動において、貴校で問題や課題であると感じていることはありますか」という設問の回答3位に「ALTとの連携及び打ち合わせ時間」がきています。

つまりALTと連携や打ち合わせ時間をまともに取れている人が満足にいないという現状があるわけです。その理由はこの調査では述べられていません。おそらく「多忙で時間がない」「ALTと英語でコミュニケーションできない」等が理由ではないでしょうか。

そこにモジュール授業を採用するとさらにその課題が大きくなるのではと想像できるわけです。

あと私が個人的に感じているデメリットというか疑問ですが、モジュール授業の15分間をフルに授業出来ているのか? というものです。

自分が子どもだった頃を思い出しても、小中高とチャイムと同時にすぐに授業内容に入れていたでしょうか。小学校であれば尚更、落ち着くまでに時間がかかりそうに思えます。それが45分授業なら建て直しも効くでしょうが、15分だとあっという間に時間が過ぎ去ってしまいます。

モジュールで有効な絵本の読み聞かせ

あとはどういう授業内容にするかが課題ですよね。15分で出来ることは限られています。2020年の小5・6年からは「書く」が加わるので、アルファベットや単語の書き取りをするのが有効なのかもしれません。また英語絵本の読み聞かせも有効のようです。

(参考)小・中学校における効果的な英語インプットのあり方に関する研究(1年次)-“KYOTO English Shower Project Plan”の開発と提示-矢野 智子(京都市総合教育センター研究課 主任研究員)

コミュニケーションをするには足りない

しかし、一方でモジュール授業に否定的な意見として挙げられるのが「15分という限られた時間では英語の醍醐味であるコミュニケーション活動をすることがほとんど出来ない」という点です。

確かにフレーズを覚えて、自分なりにそれを伝えたいことに言い直してコミュニケーション活動をするのには15分では全然足りないと思います。つまり15分×3回では45分×1回分の質とは全く違うものになってしまうんですね。

その為、通常の45分×2コマの授業構成なら週に2回はコミュニケーション活動をじっくり出来ていたのが週1回の半分になる恐れがあります。1週間の中で少しでも触れる日数を増やすのか、コミュニケーションの授業に重きを置くのか学校側は選択を迫られることになります。

さて、実際どれだけの学校でモジュール授業が取り組まれているのかというと古いデータしかありませんでした。<「教育内容」関連資料>によると小学校英語におけるモジュール型授業を行っている学校数は1000校強(H18年度)となっています。

10年以上経って、それが増えているのか、減っているのか、それはわかりません。

モジュール授業のメリット・デメリットの整理

メリット

1週間の中で英語を触れる回数を増やせる。

「英語絵本の読み聞かせ」や「書く」作業を短時間に集中して取り組むことが出来る。

デメリット

15分程度の時間を有効活用できるのか不安。

コミュニケーション活動を深める作業の時間が減る心配がある。 

ご両親が出来ることは

習い事や市販のドリルで補うことも良いと思いますが、ぜひ学校教育を活用してください。

モジュール授業をしているにしろ、そうでないにしろコミュニケーション活動を伴う英語活動は、一人では絶対出来きませんよね。

つまりALTの先生が来る授業はそれだけ大事なんですね。ネイティブスピーカーの人に何かを伝えて、返事が来たら大人だって嬉しいですよね。小学生なら、もっと嬉しいはずです。

ご両親としてはお子さんに、いっぱいALTの先生と会話を楽しんでくるように送り出すことをおススメします。 

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文部科学省の小学校英語新教材「We Can!」について記事にしました。

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