りょうさかさんと

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【解説】AO入試・推薦入試の変化が引き起こすもの


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前回の記事では大学入試が「答えのない問題を解かせる」時代になると述べました。いわゆる論文、レポート、研究が求められる受験に変わりつつあるからです。

推薦・AO入試がどうかわるのか

例えば、国立大学協会において推薦・AO入試の比率を上げようとしています。

国立大学の将来ビジョンに関するアクションプラン 工程表 - 国立大(2015.9.14)

www.koukouseishinbun.jp

なんと20% ⇒ 30%へ!! 

「ええ!!!、AO入試ってどちらかと言うと勉強出来ない子(失礼)を救済する為の一芸入試なんじゃないの」と思われた方もいると思います。そして、その比率を上げようとする文科省に嘆く声も聞こえてきそうです。

実際、文部科学省の(3)大学入学選抜改革に関する資料 - 文部科学省によると学力について以下のような言及があります。

ベネッセの調査によると、一般入試に比べ、推薦・AO受験者の基礎学力が不足していると感じているのが高校、大学とも半数を超えている。

しかし、これまでのような流れとは変わるはずです。今後AO入試・推薦入試での合格を目指す生徒は相当優秀でない難しくなるでしょう。

東大の推薦入試

以前の記事で少し触れた東大の入試について推薦入試トップページ | 東京大学を参照して文学部のH30年度推薦入試の志願理由書の設問を見てみましょう。

(1)あなたが,自分は「文学部の求める学生像」に合致していると考える理由を,高等学校等在学中に行った研究活動や,社会貢献活動等に即して具体的に述べてください。(800字程度)

(2)あなたの提出論文の要旨を簡潔にまとめ,それをふまえて,あなたが文学部に進学したら専門的に学びたいと思っている分野とその理由について,できるだけ具体的に述べてください。

(1200字程度)

(3)あなたが文学部卒業後にしたいと思っていることを述べてください。(800字程度)

推薦入試の面接の前で、これだけの内容を書く必要があります。結構大変です。 そして、その推薦では実際にした研究の内容を話すケースもあるそうです。今、大人の方、高校生の時に研究ってしてましたか?大学以前にレポートや論文って書いたことあります? 

これからの大学受験生は今の大人が大学で学んだ「レポート・論文の書き方」、「レポート・論文を書く能力」、「研究の仕方」を高校時代に身に付ける必要があり、入学試験では「研究の素養」があるかを測られるような内容になります。

もちろん先の東大推薦入試が示すようにこれは理系だけではなく、文系も必要です。 

他の大学はどうなのか

いや、東大なんて受けないし。

そういう方が多いかもしれませんが、他の大学がどうなのか見てみましょう。 

京都大学 特色入試のページでは過去の問題も公開されているのでぜひ見てみて下さい。

H29年度の経済学部では、「ザ・セカンド・マシン・エイジ」と「ロボットの脅威」という本に抜粋文章を読んだ上で「本の内容を400字以内で説明」、「長所短所を検討し、いずれが適切かあなたの考えを600字以内で説明」「あなたの考えを具体的な根拠をあげて600字以内で論じなさい」など4問で合計2000字を書かせます。文学部も似たような内容です。

お茶大発新型AO入試(新フンボルト入試)について | お茶の水女子大学によると…

一次選考を兼ねるプレゼミナールと二次試験を各々2日かけて行うという二段構えの手間暇をかけたユニークな入試です。まずプレゼミナールでAO受験者に大学の授業をじかに体験してもらい(受講を必須とします)、そこでのミニレポートや他の提出書類を評価して一次選考を行います。二次選考では、文系は本学附属図書館を舞台に自在に文献や資料を駆使しつつ自分の論をじっくり練り上げ、またグループ討論や面接を通じて論理力や課題探求力、独創性などを評価します(図書館入試)。理系は各学科の専門性に即した実験や実験演示、データの分析等の課題を課したり、高校での学びを活かした課題研究発表などを行ってもらい、探求する力をみます(実験室入試)。その成果やプロセスを評価することで、いわゆるペーパーテストで測れないみなさんのもつ潜在的な力(ポテンシャル)を丁寧に見極めたいと考えています。単なる知識量の多寡ではなく、その知識をいかに「応用」できるかを問う入試です。

ミニレポート、グループ討論、自主研究のポスター発表などもするそうです。

ここまで来ると以前話題になった「どんだけ新入社員に即戦力求めているんだ!」という企業の求める人材のような内容ですし、京大とお茶の水じゃねえかと思うかもしれませんが、大学も必死なのがわかると思います。

求められる力の変化

今や大学全入時代。それだけ大学入試が簡単になったのは少子化による大学経営の要素が大きく、難易度を下げ、女子高生の4大合格率を上げ(その為、短大入学者数は減った)、必死に人集めをしてきましたが、もう限界でこれ以上集めることが出来ないわけです。

近い将来少子化などを原因とした大学の経営破たんが始まります。ますます試験は簡単になるかもしれません。一方、そうなると上位の大学は優秀な高校生集めの取り合いになります。

これまでの入試では記憶力がベースでした。それは社会に出てからも有用だという認識があったからです。しかし、スマホを始めとした技術の進歩によって、社会に出てからの「記憶力の価値」が相対的に下がる時代になりました。(重要な要素の一つではあり続けると思います)

入試でも今後は「記憶力の価値」が相対的に下がり、「調べる力」と「調べたものを見極める力」、「その情報を活用する力」が求められるようになるでしょう。

いや、うちの子どもは、これまで出てきたような優秀な大学は目指さないから関係ないでしょ、と思うかもしれません。前述のように大学は人集めが今後最大の課題なので、大学のレベルによっては従来型のものを崩さないところもあると思います。

しかし、二次試験が変わらなくても、センター試験のような一次試験が変化するとしたらどうでしょうか。 

大学入学者選抜改革独立行政法人大学入試センター「大学入学共通テスト」 を読んでいただければわかるように平成32年度(2020年度)から「記述式」・「思考力が求められる問題」がメインの「大学入学共通テスト」が開始され、平成36年度(2024年度)から更に改革された内容になることが発表されています。 

平成30年度(2018年度)に高校入学する学生はこういった記述する力、思考力が求められる試験になります。(英語は4技能も……)

これらの力は長い積み重ねがないと身に付きません。考える力、考えをまとめる力、それを表現する力を身に付ける為にも前回の記事で紹介したような機会を少しずつで良いので子どもに与えることが大事になると思います。