ツイッターをしているとピンと外れだったり、完全に誤読・誤解によるものだったり、ただ単に攻撃したいだけのリプライを見かけます。
酷い場合には内容を読まずにブログのタイトルだけで判断したりする人もいますよね。
そういう方は、きっと映画や小説に関してもタイトルだけで本編は見ずに文句を言うんでしょうか。
でもでも、本人達はたぶん真面目に書いているケースも多いはず。
永江一石さんがブログの記事、人はなぜ、クソリプするのか w | More Access! More Fun!においてクソリプをする人をクソリッパーと命名しているので本ブログでもお借りしてクソリッパーと呼ばせていただきます。
上の記事ではクソリッパーの要素の一つとして「読解力が低いのでは」とご指摘がありました。そこで資料を探してみるともっと酷かったです。
見つかったのは読解力以前に「短い文章すら読めていない人が一定いる」という資料です。
リーディングスキルテストとは
国立情報学研究所が行った「リーディングスキルテストの実例と結果」という資料です。
この研究を行った新井紀子氏センター長は、AIを東大に入れるプロジェクトディレクタだった方。
AIと生徒たちの誤答を研究していく中で、そもそも人間も「文章を読めていないのではないか」という仮説を立て研究が行われました。
問題の間違い方、つまり「文章をどう誤読するのか」という研究の経過によって導き出されています。
どんな内容なのか
具体的な問題を見てもらう方がわかりやすいと思います。
問題
仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は北アフリカ、西アジア、中央アジア、東南アジアにおもに広がっている。
オセアニアに広がっているのは()である。
A ヒンドゥー教
Bキリスト教
Cイスラム教
D仏教
どうです? わかりましたか?
答えは、Bキリスト教なんですが、中学生の正答率は53%と約半数しか正解していない。
仏教と間違った公立中学生が35%、公立高校生が19%もいます。
しかもこの文章は「出典:東京書籍㈱中学校社会教科書『新しい社会地理』36p」とあるように教科書内のものを使っています。
つまり、中学生の半数が教科書の文章を理解できていない。じゃあ、次は少し難しい問題です。
問題
アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。
セルロースは()と形が違う。A デンプン
Bアミラーゼ
C グルコース
D酵素
どうだったでしょうか?
答えは、Aデンプン です。
正答率は中学生9%、高校生33%となっています。
もっとも多く選ばれたのは中学生ではCグルコース53%、高校生はBアミラーゼ57%でした。
こちらも「出典:東京書籍㈱高校生物基礎教科書『新編・生物基礎』19p」と書かれています。
確かに教科書の文章は楽しい文章ではありませんが、無茶苦茶わかりにくいという文章ではありません。
これらは調査対象も中学生560名、高校生640名と1000名を超える人数に対して行っています。
これは少し前の資料です。
何かで追加情報を見た時の内容では現時点で1万人以上を調査したが結果はほとんど変わらなかったとのこと。
導き出された結論
同じ新井センター長の資料である「AIが大学入試を突破する時代に求められる人材育成」(国立情報学研究所社会共有知研究センター 新井紀子2016/06/)の結論が強力すぎます。
高校生の8割がAIに敗れた理由は、人間も教科書程度の説明文の意味を理解できていないから。
クソリッパーが生まれる要素の一つとして、文章を正確に理解出来ていないから、という分析は信憑性が高いという結論になります。
ツイッター上では限られた文字数制限の為、省略したり、ある前提を当然として書かずに誤解されるというケースがあります。
また人間ですからミスは当たり前で時に誤読・誤解もあるでしょう。
問題なのは、こんなに教科書の文章を読めていない人がいるということ。
これは言いかえれば自学自習してもちゃんと身に付いていないということです。
AIに仕事を奪われない為にもまず日本語を「読む力」「書く力」を基本から身に付ける必要性を改めて感じました。
【追記2】
リーディングスキルテストをどうして研究するようになった経緯についてAIの読解の方法を紹介しながら解説する記事を書きました。
【追記1】
リーディングスキルテストについて2万4000人が受験したようです。追加情報があったので紹介です。