どうも、りょうさかんです。
わたしたちは「変化の大きい時代を生きている」「今の子どもたちは予測できない社会を生きる」と言われています。
未来がどうなるか知りたい! 方向性だけでも知りたい!
あなたは、そう思いませんか?
自分の、子どもの将来のためにもわたしはメチャクチャ知りたいですw
今回はそんな未来を予測する書籍「ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く」(岡田 斗司夫/PHP研究所)のご紹介です。
本書の中の「教育」に関する部分に焦点を当てて、見ていきたいと思います。
「ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く」とは
作者の岡田 斗司夫さんは、新世紀エヴァンゲリオンなどを作ったガイナックスの元社長であり、プロデューサー、評論家、文筆家。
東京大学教養学部非常勤講師、大阪芸術大学芸術学部キャラクター造形学科客員教授などを歴任されています。
今回紹介する「ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く」は2018年11月に発刊された書籍です。
なんと2018年時点で「日本人ユーチューバーの市場も、これから2、3年でアイドルや芸人に荒らされることになるでしょう。」(Kindle版No.725)と見事に予想を的中させています。
さて、そんな本書は2つの考えを軸に未来を読み解こうとします。
その2つの軸について少し紹介してからの方がわかりやすいと思うので、こちらのお話しをしますね。
本書の未来予測を支える2つの軸
「ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く」では2つの考えを軸に未来予測を行います。
- 社会学
- テクノロジー
「社会学」の軸では、人々の価値観の変化に着目します。
現状の価値観の変化を紐解き、それがどのような流れを生むのか考察するのが「社会学」の軸です。
具体的な価値観の変化として以下の3点が挙げられています。
①「第一印象至上主義」
②「考えるより探す」
③「中間はいらない」
(引用)「ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く」(岡田 斗司夫/PHP研究所)Kindle版No.225
この社会学的アプローチの一端は「遅いインターネット」(宇野常寛/幻冬舎)と通じる部分もありましたよ。
「テクノロジー」の軸は、「技術のブレイクスルー」に着目します。
現時点でどのようなテクノロジーが生まれつつあるのかをもとに未来を考察するのが「テクノロジー」の軸です。
本書ではこのように説明されます。
たいていの技術は、まず研究者が「原理的にはこういうこともできる」と論文などで発表するところから始まります。研究が始まって10年くらいすると、「何とか実用化できるかも」という取っかかりが見つかることがある。それから10年すると「あとはコストの問題だ」ということになってきて、さらに10年くらいかけて社会に普及してくる、という流れをたどることがほとんどなんです。
(引用)「ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く」(岡田 斗司夫/PHP研究所)Kindle版No.349
言い換えれば、論文などが発表されていれば30年後くらいに実現する可能性があるし、論文すら発表されていない技術は30年後にも実現している可能性は低いということです。
テクノロジーに関してわたしが思い出すのは、名作SF小説「ニューロマンサー」の著者でもあるウィリアム・ギブスンの有名な言葉です
The future is already here, it's just not evenly distributed.
「未来はすでにここにある。ただ均等に広がっていないだけだ」
未来予測とは荒唐無稽な妄想ではなく、今はまだ広く知られていないテクノロジーの新芽に気付くこと。
そして、その技術が社会でどのように活用されるのか、どのように受け入れられるのかを考えるために「社会学」的な軸を用いるというワケなんです。
10年後、外国語を勉強する必要がなくなる?
本書では「10年後の未来」を予測します。
前段のテクノロジーの文脈で言えば、「何とか実用化できるかも」「コストの問題」に差し掛かったものを扱っていることになります。
では、本書において「教育」について言及している部分を見てみましょう。
「教育」についてはAIの発達などに関連した部分で言及されます。
その内容は、外国語学習について「スマートスピーカーの普及によって、言語データが蓄積されれれば機械翻訳や音声認識の精度もさらに高まっていく」と述べられます。
10年後には一部の人を除いて外国語を勉強する必要なんてなくなるんじゃないでしょうか。
10年後に外国語を勉強する人がいるとしたら、その理由は「外国語的な思考法を知るため」でしょう。「女心/男心がわかる」というのと同じように、「アメリカ人心」、「イタリア人心」をより深く理解するために、外国語を学ぶのです。
(引用)「ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く」(岡田 斗司夫/PHP研究所)Kindle版No.655
本書では、この文章のあとに「だからユーチューバーは機械翻訳によって世界中の人間で争うレッドオーシャンになる」という趣旨の言葉が続きます。
これに似た内容を「小学校最初の3年間で本当にさせたい「勉強」」(中根克明/すばる舎)でも指摘されています。
機械翻訳の発達が加速する中で、英語教育はどうなっていくのでしょうか。
英語教育は今後、コミュニケーションの道具としての教育から、文化の違いを学ぶ教育へと広がっていくのではないかと思います。
(引用)「小学校最初の3年間で本当にさせたい「勉強」」Kindle版No.946(中根克明/すばる舎)
機械翻訳の性能が進み続け、既に一部企業ではビジネス上のやり取りでも取り入れられています。
やはり英語教育は不要なのでしょうか?
英語を学ぶ目的に左右される
わたしは、これらの言説には慎重です。
なぜなら英語を学ぶ目的に左右されるからです。
英語を学ぶ目的は「入試」や「英語の論文を読む」「ビジネス」という方から「観光」「恋愛」と様々な目的が学習者の数だけあると思います。
わたしは、英語を学ぶ目的には「相手とどれだけ親密な関係になりたいか」という尺度があると思うんです。
例えば「観光」を目的とした外国語学習って現地で迷わないとか、安全に旅行したいなどが主な理由ですよね。
そこには他者と深く理解し合いたいっていうほどの深さはないと思うんです。
「観光」くらいの深さの目的だったら機械翻訳で十分ですよね。
一方で「恋愛」を目的とした外国語学習って相手のことをより理解したい、自分のことを理解してもらいと思ってするはず。
「恋愛」くらいの深さを求める時に機械翻訳で相手との関係が成立するのかな、という疑問があります。
これは「機械翻訳の性能」を否定しているのではなく、「機械翻訳に頼る人間関係が深いといえるのか?」という価値観の問題なんです。
そして、これら2つの距離感が混在するのが「ビジネス」だと思うんです。
すでに取引があってメールのやり取りくらいであれば機械翻訳で十分だと思いますし、ギリギリの駆け引きと攻防をするのには機械翻訳では足りないと思うんです。
もちろん機械翻訳が既存の形式を超えることやわたしたちの価値観が変わる可能性だってあります。
そんなことを「ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く」を読んで、私は考えました。
本書では「AIの今後」「アイドル文化の変化」「Amazonの新事業予想」「恋愛の変容」「政治」と多岐にわたる分野を予想しています。
興味を持たれた方はぜひ、読んでみてください。
わたしは想像力を刺激されて、とても面白かったですよ。
それでは、また。