子育てにおいて悩ましい種の一つが「叱る」です。よく「怒る」と「叱る」は違うと言います。
怒るのではなく叱るべきだ。
そういう言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。でも、毎日同じ内容で「叱り続ける」のは正しいのか不安だと思います。
わたしも子育てにおいて、常に悩ましく思っています。だってカワイイ自分の子どもの怒る姿、悲しむ姿、泣く姿なんてみたくないじゃないですか。
そこで子育ての「怒り」にまつわる本を読んでみました。
5つの原則
著者の石田勝紀さんは、これまでに3,500人以上の生徒を直接指導し、セミナーや講演会などを通じて多くの親御さんに関わってこられた方です。
本書は主に小学校~中学生のお子さんがいる親御さんを対象に具体的なエピソードをもとに一緒に考えるような構成になっています。
紹介されるどのエピソードはどれも「確かにこういう問題あるよね」という「あるある」になっているので、とてもイメージしやすくなっています。
小学生以下のお子さんをお持ちの親御さんには参考にならないか? というとそうではありません。実際、わたしの子どもは3歳ですが、大変参考になりました。この点については後段でご紹介したいと思います。
まず、その石田さんによる5つの原則はこちらです。
【第1原則】 自分とまったく同じ価値観の人はいない
【第2原則】 強制されたことはやらない。やったとしても、形だけになる
【第3原則】 人間には、最低3つの長所がある
【第4原則】 親は成長が止まっているが、子どもは成長している
【第5原則】 まず、「諭す」。「叱る」「怒る」は非常時のみ
(引用 本書p.16より)
どの原則もとても大切なんですが、わたしが一番考えさせられたのは第2原則の「強制されたことはやらない。やったとしても、形だけになる」です。
「~しなさい」は逆効果
よくある「勉強しなさい」と言われると「今しようと思っていたのに」と拗ねるパターン。コレ、わたしも子どもの時にやったことがありますwww
「~しなさい」って親としてはついつい言ってしまいがちですよね。
でも、大人だってコレを言われたら嫌ですよね。
本書では、『お父さんがお母さんに「明日の夕飯はカレーにしなさい」って言ったら、お母さんは絶対腹が立って滅茶苦茶辛いカレー作りたくなっちゃうでしょ』というエピソードをもとにわかりやすく解説してくれています。
でも「~しなさい」と言わないでおくにはどうすれば良いのでしょうか。
本書では、2点述べられています。
1点目は、小さい時から「自分のことは自分で決める」をさせていく。
2点目は、子どもが前向きに取り組むという状況を作ってから、本人納得のうえで進めていく。
(上記意訳について1点目はp.89より、2点目はp.79より)
これ以外についても「勉強しなさい」を言わないためには「まず出来る問題からさせていく」「環境を整える」などが紹介されています。
小学生以下の子どもをもつ身としては、1点目の「自分のことは自分で決める」を意識していこうと改めて考えさせられました。
自分のことを自分で決める難しさ
と言っても、いきなり明日から「自分で決めなさい」と言えば解決するのか、というとそんなことありませんよね。
テレビ、ゲーム、インターネットに夢中な子どもに「自分で決めさせ」たら、ますますのめり込んでいくんじゃないかと不安になると思います。
本書では「自分で決める」の前に、親の心構えとして【第1原則】「自分とまったく同じ価値観の人はいない」を置いています。
この言葉だけを読むと「そりゃそうだ」と消化して、スルーしてしまいそうですが、とっても大切です。
今、小学校入学前の子どもが置かれている状況は、わたし達の頃とは全く違うからです。
内閣府の「平成30年版高齢社会白書」に掲載されている日本の人口推移を見ると小学校入学前の子どもたちが大学を卒業する20年後の2040年の人口は1億1000万人、さらに10年後の2050年には1億100万人になることがわかります。
(引用)1 高齢化の現状と将来像|平成30年版高齢社会白書(全体版) - 内閣府
これからの子ども達が生きる日本は、ひたすら人口が減り続けるわけです。
一方でテクノロジーの進歩は目覚ましいことは私たち自身が感じていることですよね。
これだけ変化が目まぐるしいわけですから、親たちの常識や成功体験が通用しない社会になると思っておいた方が良いですよね。
そんな子ども達に親の価値観を押し付けても本当に子どもの将来の為になるのか。ただの自己満足に過ぎないんじゃないのか。そんなことを考えました。
(もちろん価値観と言っても幼少期の倫理・道徳面は教えないといけませんが)
わたしたち大人が子どもしてやれることは「自分のことは自分で決めて、後悔しないように人生を歩む」ように育ててあげることなのかもしれませんね。それでは、また。