「世の中には2種類の人間がいる。朝食にパンを食べる人間とそうでない人間だ。」
こんな感じの言い回しを聞いたことがある方も多いと思います。わたしはいわゆる営業職です。営業職の場合はどうでしょうか。わたしならこういう風に表現します。
「世の中には2種類の営業がいる。誰から給料を貰っているかと聞かれて会社と答える営業と顧客と答える営業だ。」
今回は少し営業という職について書きたいと思います。
5月病で「しんどいなー」と思っている同じ営業職のあなた。そんなあなたの参考に少しでもなれば幸いです。またこのブログは保護者、教員の方に多くご覧いただいています。自分がこれまでに営業からセールスを受けた経験を思い出しながら読んでいただければ幸いです。
結論から言うと、営業向きじゃない人は顧客との信頼・信用を大事にして、焦らず「長期の商売」と考えた方が良いと思うよという内容です。
会社と答える営業の方が成績は良い
たぶん多くの営業は「誰のために働いているか」と聞かれたら(家族や自分、お金などのパーソナルな部分を除くと)「顧客」と答えるでしょう。
でも、冒頭のように給料、つまり「お金」を誰からもらっているかと問われると意見が分かれると思います。この質問に対して「会社から貰っている」と答える営業は、わたしの知る範囲では営業成績が良い傾向があります。また出世も早い傾向があるように感じます。
会社を軍隊のように例える方もいます。その考えが馴染みやすいのが「会社」と答える営業です。会社は言うまでもなく「組織」です。そして、会社の方針は常にエビデンスや論理に基づいた運営が出来るとは限りません。同時にスピード感も非常に大切です。
そんな時に現場感覚とはやや乖離のあるサービスを宣伝してこいという局面が訪れたらどうでしょうか。こういう時に会社からお金を貰っていると自覚しているサラリーマンは強いです。他の営業がその商品・サービスの宣伝に躊躇う前にすでに宣伝を開始しています。社内で一番に成約してくるのもこのタイプだと思います。
別に彼らが「悩まない」「躊躇わない」というわけではなく、ある程度考えた時点で「会社から貰っている給料分の仕事をしないとな」と割り切って動き出すため、そうでない営業よりも悩む時間が少なく済みます。(少なくともわたしからはそう見えます)
また営業成績が良い要因の一つとして商品が顧客に対してマッチしているかどうかについてある程度無頓着になれるというものもあります。
例えば学校関係で言えば、進学校向けと中堅校向け、それ以外では全く違うサービスを提案します。そういう時に自社が一番パイの大きい中堅校向けしか用意がなくても、なんの気兼ねもなく進学校・その他にオススメできる営業は結果的に成績があがります。
それでも顧客と答える理由
一方で「会社から貰っている給料分の仕事をしないとな」と割り切れない営業もいます。そのタイプの営業は「会社から出ている給料の元は顧客だもんな」と考えてしまうからです。わたしもこのタイプ。
わたしは営業である以上、顧客とは「長い商い」を目指すべきだと考えています。営業が人間同士の面談である以上、DMやインターネット広告とは違う付加価値が必要です。
極端なことを言えば、もしセールスポイントを伝えるだけなら伝書鳩でもいいわけです。そこで誇大広告でもして詐欺的に顧客を掴んでは次の顧客を狙って行けばいい。
でも、そうじゃないですよね。わざわざ人間が行うんです。そして、同じ相手に継続して購入をしてもらうことが理想ですよね。
そう考えた時に思いついたのは「人間関係」という言葉です。
じゃあ、人間関係とはなんでしょうか。それは信用や信頼といった言葉で言い換えることができるものだと思います。
そういうわけでわたしは格好をつけていると思われるかもしれませんが給料をくれているのは「顧客」と本気で思っているタイプです。「顧客が購入をしてくれたから」という感謝の気持ちと裏切ることが出来ないという気持ちがあるため、ニーズにマッチしない商材を薦めることは出来ません。また一度、裏切ってしまうとそこで「商い」が途切れてしまうと考えるからです。
これは会社から見れば甘い営業だと捉えられるでしょう。またニーズにマッチしないことを社内会議で報告するから会社からの評判はたぶん良くないです。(誰だってイエスマンが好きだし戦果は勝利だけを聞きたいですよね)
それでもスタンスを変えないわけ
顧客満足なんて気にせず会社の方針に従って成功すれば自分の手柄、失敗すれば会社の方針が悪い。そう言う「会社」と答えるスタンスを取れば精神的には楽かもしれません。
しかし、わたしは今のところ「顧客」と答えるスタンスを取っています。これには2つの理由があります。
一つの理由は、苦痛だからです。「騙し」とはいかないまでも誇大広告的な発言をするのは苦痛です。所詮、誇大広告ですから顧客からクレームが入るかもしれません。もうそういうリスクを負うのすら嫌。お腹痛くなっちゃう。それなら真っ当に頑張って、報われない方がまだストレスが少ないです。
もう一つの理由は、結果が出るからです。
信用・信頼をベースにした営業は、短期的に成果が出るかは運次第です。ただ長期的には数字が上がります。信用があればチャンスが来たときに掴める確率も上がります。一度成約すれば更新が続いて長期になるケースも生じるからです。
そして、そうやって築いてきた顧客との関係を今更崩せないのです。
営業に向いていないと思っているあなたへ
正直、ここまで読んでもらってご理解いただけるようにわたしは営業向きのメンタリティではありません。営業に向いていると思ったこともありません。立て板に水のように話すタイプじゃないし、そもそも話すこともそれほど好きではありません。(人の話を聞くのは好きだけど)
アイスブレイクっていうけど雑談ってどうすれば良いの? クロージングってこれで良かったの、っていまだに悩んでいます。
そんなわたしでも社内で表彰されたり、社内で営業について成功体験を話させられたりすることがあります。
そういう時にわたしが話すエピソードは普通です。
相手の立場を考えて話す、面談中に一度で良いから相手に微笑んでもらうように会話を意識する、面談後には時間を取ってくれたお礼の手紙かメールを送る。そんな程度です。
社内の人間はそれで成約することを不思議がりますし、わたしもこんなことを話して意味があるのかなと思います。
そもそもそのスタンスを共有していない人が聞いても理解できないでしょ。
上の例で言えば、面談のお礼状について「じゃあ、全員に出せば良いのか?」「毎回出しているのか?」と言われることがあります。
エピソードとして語れと言われたから語っただけで、全員にお礼の手紙を送りません。お礼の手紙を面倒くさい奴と思う人もいれば、非常に喜ぶ人もいるからです。
顧客それぞれについて相手ならどう思うか考えて決めています。だから大切なのは「顧客からお金を貰っている」という意識なんですが、このスタンスを共有できない人はエピソードを聞いても何も得るものはないでしょう。
これを読んだあなたの職種によっては全く役に立たない情報だったかもしれません。
営業のスタンスが違っていて参考にならないかもしれません。
でも、もし営業スタンスを共有できる方、営業スタンスを迷っている方には「顧客からお金を貰っている」という考え方は少しは参考にしていただけるかも。ちょっと意識することから始めてみませんか。わたしもまだまだ道半ば。少しでも気持ちよくやっていきましょうよ。
じゃあ、また。
(*)永江一石さんのブログにも似たようなことが書かれていたと記憶していて記事を探したけど探し切れなかった。(さすがに全部見直すのはキツイので)。間違いなく影響を受けているはずなのでリンクを貼っておきます。