どうも、りょうさかさんです。
9月入学について萩生田大臣の記者会見で「事実上、実施せず」ということがわかりました。
「9月入学案」について、萩生田光一文部科学相は5日、閣議後記者会見で「制度として直ちに導入することは想定していない」と見送りを表明した。
(引用)「9月入学」狂騒曲 首相「指示」で始まったが…文科省幹部「最初から無理だと」 - 毎日新聞
9月入学実施の是非は、一旦おいておいて…
「9月入学もなく、卒業時期も変わらない」という意味は、「想定した指導内容」を学校と家でしてくださいという意味です。
それが今回示された「学びの保障」総合対策パッケージです。
新型コロナウイルスによる休校で生じた学習の遅れを取り戻すため、文部科学省は5日、小学6年と中学3年の教科書の内容を精査し、学校の授業で取り扱うべき部分と、家庭学習などで対応できる部分に分け、全国の教育委員会に通知した。(中略)
文科省は各教科書会社と連携し、グループワークなどを伴う対面授業でなければ難しい学習内容を抽出。教育課程のうち2割程度を家庭学習でも可能な内容に分類した。
(引用)教科書の一部は家庭学習で 文科省、学校再開へ指導内容仕分け(産経新聞) - Yahoo!ニュース
- 「失われた3ヵ月」をどう取り戻すのか?
- 家庭でどの程度するのか?
この2点について「学びの保障」総合対策パッケージの内容を整理しておきます。
「失われた3ヵ月」をどう取り戻すのか?
臨時休校期間だった2020年3月~5月という「失われた3ヵ月」をどう取り戻すかについては、学年によって違います。
小6・中3のスケジュールイメージ
文部科学省が一年間のスケジュールイメージ(中3)を提示しています。
(引用)「学びの保障」総合対策パッケージ-文部科学省2020年6月5日
つまり中3の場合は…
- 7・8月 夏季休業を短縮
- 9月 補充授業・土曜授業の実施
- 1月 冬季休業の短縮
夏休み・冬休みを削って、補充授業も実施していくスケジュールになります。
現中学3年生は、中2の3月から休校だったので、その1ヵ月分の学習内容と中3の指導内容を中3の12月(受験前)までに終わらせる必要があるからです。
文科省が提示しているのは中3の例ですが、小6もほぼ同様の流れになると考えて良いでしょう。
「失われた3ヵ月」をどうやって取り戻すのか?
では、小6・中3以外の児童・生徒の場合はどうなんでしょうか?
文科省は、2~3年間かけて少しずつ教育課程を取り戻せばよいとしています。
(引用)「学びの保障」総合対策パッケージ(詳細版)-文部科学省2020年6月5日
というわけで、現小6・中3生以外の児童・生徒は、来年度も合わせて取り戻せば良いのであまり慌てる必要はありません。
一つ注意すべきとすれば、それは中学2年生です。
次年度に繰り越しといっても、試験頻出範囲の兼ね合いがあります。
中学3年生の指導内容は、中学3年12月まで終える学校がほとんどです。
現中学2年生は、中3になってから、積み残した中2の内容と中3の内容をギュッと中3の12月までに終わらせる必要が出てきます。
これは、生徒と先生にかなりの負担です。
おそらく実際には現中2は、中3に指導内容を回さず、この1年で中2の内容をできるだけ終わらそうとするはずです。
なので、中3と同じくメチャクチャ大変になるかもしれないことを覚悟しておいてください。
学校の授業を家庭でも行う
さて、なんとなく「中3のスケジュールは大変」「中2も大変かも」というイメージを持ってもらえたと思います。
その上で、前述したように「教育課程のうち2割程度を家庭でする」についても押さえておきましょう。
文科省の資料では、「学校の授業における学習活動の重点化」という表現を使っています。
わかりにくいですよね…
シンプルに言えば「学校じゃなくても出来ることは家でしてもらおう」という意味なんですね。
文部科学省がどんなイメージかというと…
学習活動の重点化のイメージ【例】
・国語科において、学校における課題設定を踏まえ、授業以外の場で意見文等を作成させる
・数学科において、学校における練習問題の取組を限定し、宿題の添削を充実させる
・理科において、学校における実験結果の分析・考察のまとめを授業以外の場で作成させる
(引用)「学びの保障」総合対策パッケージ(詳細版)-文部科学省2020年6月5日
こういった「これなら家で出来るよね」という内容を各教科書会社と連携して、先生方に公開しています。
他の教科でもどうなのか❓ というと産経新聞さんがまとめてくれていました。
(引用)産経新聞-令和2年6月6日(土)朝刊
詳しく知りたい方は、学校の先生へ:文部科学省をクリックして「年間指導計画参考資料」をご参照ください。
萩生田文部大臣は家庭に負担はかけないと言うけれど
さて、萩生田文部大臣は令和2年6月5日の記者会見でこのように答えています。
決して勉強しなくていいと言うんじゃないのですけれど、これは教室の授業の正式な時間内であえて取り扱わなくてもどこかで自分でフォローしてくれればいいんじゃないかということを、ある程度のボリュームで示させていただきました。それはですね、大前提としてその、家庭のお父さんやお母さんに丸付してくれ、判断してくれということじゃなくて、さっき申し上げたように、周辺人材を多く派遣をします。例えば、正規の授業が終わった後に学習指導員の皆さんに放課後見てもらって、家でやったものを見てもらって、その確認で習熟度のしっかりとした成果をしてもらうようなことを、イメージとしては考えております。
(引用)萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年6月5日):文部科学省
萩生田文部大臣の発言のポイントは以下の2点です。
- お父さん、お母さんに丸付けしてくれ、判断してくれという意味ではない
- 放課後に学習指導員を派遣して、習熟度の確認をする
萩生田文部大臣はウソは言っていないし、このパッケージの趣旨も家庭に負担をかけることを意図したものではないのでしょう。
でも現実的には、小6・中3の子どもがいる家庭の負担増!だと思います。
以下は、「学びの保障」パッケージを解説ではなく、わたしの「懸念」なので興味のない方は飛ばしてくださいね
小6・中3の子どもがいる家庭の負担増
「練習問題を解く時間」など家で出来そうなものを家でする。
ごく当たり前の案のように感じますが、負担と格差を小6・中3の家庭に押し付けているんですよね。
問題がシンプルな中3から説明しますね。
中3の負担
中3になると塾に通い始める生徒も増えますし、試験勉強がスタートしますよね。
もちろん塾だって、休校期間中はお休みでしたから再開後の巻き返しに必死。
そこで、中学生の子どもの立場になってみてください。
学校が終わったら、塾に行って、塾の宿題をして、学校でしなかった2割の内容をする。
次の日は、学校が終わったら、放課後指導に行って、塾に行って、家で塾の宿題と学校でしなかった2割をする。
この繰り返しになるわけです。
絶対時間足りないですよ。
「お父さん、お母さんが丸付けするわけではない」とはいえ、マジメに取り組んだらこんな無茶なスケジュールを受験生に押し付けることになるわけです。
おそらく塾に通う生徒は、「放課後指導とそれに関わる宿題」はスルーすることを選ぶと思います。
ただ練習問題などの演習はスルーできても、授業に関わるような内容はスルーできないはずです。
例えば、国語の「自分の考えを書いたり、文章を読む時間」は家でしなければ、学校の授業に支障をきたしますよね。
これが負担ですね。
しかも「塾に行く生徒はスルー」「塾に行かない生徒だけ実施」となるとそこに格差が生まれる恐れがあります。
小6の負担
小6の大きな負担は、新しく教科化となった「英語(外国語)」の授業だと考えます。
なぜなら令和3年度には中学校も新指導要領が実施されるからです。
中学校の英語の授業は、小学校の英語教科化の流れを受けて、難化すると言われています。
例えば、習得単語数もメチャクチャ増えるんです。(詳細はこちら⇒)
そんな英語ですが、家ですべきことは「教科書のQRコードを読み込んで動画や音声を視聴する」です。
それだけで足りる?
と疑問に思うのは、わたしだけでしょうか。
もちろん「視聴」だけではなく、「読む」「書く」の部分を家庭ですることなるでしょう。(全ての会社の指導案を見たわけではありませんが「書く」を家庭でする項目に書いているケースがありました)
これにより、おそらく英語の習熟度は、より二極化すると考えます。
- 英会話教室などに通っていて、小学校が簡略化されても影響のでないグループ
- 小学校で英語の素地が十分に育たず、難化した中学校英語で英語嫌いになるグループ
嫌いになってしまえば、後に学び直す気すら失せてしまいます。
「失われた3ヵ月」を取り戻せ!「学びの保障」パッケージを解説のまとめ
- 行事、長期休暇を省略し、スケジュール確保
- 小6・中3以外は、次年度以降に繰り越しOK
- 学習課程の2割を家に回してもOK
各会社がつくった指導案通りに全教科一斉に2割を家に回したら、宿題だけで子どもの一日が終わってしまいそうです。
わたしの予想ですが、学校側は2つのパターンに分かれると思います。
一つは、格差や学習効果の懸念をして「2割を家に」を実施せず、行事省略なので日数を稼いで、学習課程を終わらせるパターン。
もう一つは、「2割を家に」を実施するために、全ての教科の流れを計算して子どもに負担が集中しないように配慮するパターン。
どちらのケースにせよ、ご家庭のお子さんはとっても大変になると思います。
今後の学校の方針に注視してくださね。
それでは、また。