りょうさかさんと

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

りょうさかさんと

金持ちの子どもは貧乏人より成績が良いのは、なぜか?


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どうも、りょうさかさんです。

こんなツイートがバズっていました。

この手の内容は定期的にバズりますが教育関係者の中では、けっこう当たり前の話です。

正確にはSES(家庭所得,父親学歴,母親学歴の三変数による合成指標)が高い子どもほど学力が高いということがわかっています。

こういった内容は、ほとんど「教育格差」(松岡亮二/筑摩書房)でカバーされているのですが、ちょっと補足しておきましょう。

学力に強い影響があるのは家庭環境と遺伝

結論から書くと「学力」に関連するのは「家庭環境」「遺伝」だと言われています。

では、「家庭環境」「遺伝」の2つについて見ていきましょう。

親の収入による環境の違い

「家庭環境」とは「親の収入」に基づく「環境」の違いと言えるでしょう。

「親の収入」が高ければ、蔵書数や玩具の数が増え、結果的に「物」と「経験」に差が出ます。

また「収入」が高いほど居住地区、つまり「地域」の選択肢が増えますよね。

あなたも引っ越し前に「学区内の小学校の評判はどうかな?」と頭を悩ましたことがあるかもしれません。

地価の高いところに住めば、当然、子どもの友達の親の収入・学歴も高くなります。

そうすると親自身も同級生の保護者から影響を受けるし、子どもも友達から影響を受けることになります。

結果的に小学校入学時点の学力が、小4時点の学力に影響し、小4時点の学力が中1時点の学力に影響することがわかっています。

詳しくはこちらをどうぞ⇒

親の学歴については「母親の学歴の方が影響する」という相関関係がわかっています。

これについてわたしは、父親がほとんど育児をしていないからだと考えていますが、説明すると長くなるので詳しく知りたい方はこちらをどうぞ⇒ 

親の遺伝による得意・不得意 

子どもの学力は「遺伝」によるものも大きいことがわかっています。

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(引用)数学は87%、IQは66%、収入は59%が遺伝の影響! 驚きの最新研究結果とは (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

特に数学とスポーツに関しては、遺伝の影響が大きいことがわかっています。
両親の能力が高ければ高い子どもが生まれやすいことはわかっていますが、それだけではないのが遺伝の難しいところです。

「遺伝のせい」というよりは「人は生まれつき得意・不得意をもっている」という方がニュアンスとしては正確かもしれません。

学力にはどんなものが影響しているのか? 

子どもの学力に対して、親の収入や学歴以外にも影響するものがあります。

タバコによるハンデ

例えば、タバコです。

以前も記事にしましたが、タバコは子どもに以下のような影響を与えます。 

  • 妊娠中の喫煙は、言語能力・数学的能力、身長の低下
  • 受動喫煙によって、数学、読解力の低下。

ちなみにタバコの喫煙率は、収入が低いほど高いこともわかっています。

教員・教材は影響しない

教員・教材が素晴らしければ子どもの学力に影響するのか? と言えばそうではないこともわかっています。

家庭の資源が学力に大きな影響を与える一方で、学校の資源はほとんど統計的に有意な影響を与えなかったことも明らかになっています。

(引用)「学力の経済学」(中室牧子/ディスカヴァー・トゥエンティワン) 

「学校の資源」とは、教員の数や質、課外活動や宿題などのことです。

その「学校の資源」がほとんど学力に影響を与えなかったとあります。

詳しくはこちらをどうぞ⇒ 

教員の質が学力に影響しない点について安藤寿康先生がこんな趣旨のことを言っていました。

「日本の教員の質は高いので、例えば100点満点で85点の先生と95点の先生がいたとしても、子ども自身の学力にそこまで大きな影響がでない」

「非認知スキル」を伸ばそう

「金持ちの子ども方が成績が良い」というのは、あくまで傾向の話です。

貧乏だけど一念発起して東大に合格したみたいな例も当然あります。

ご本人の努力や周りのサポートは、とても素晴らしいですよね。

ただ、こういう少数例を取り出して、親や遺伝ではなく「努力していないからだ、日本は誰でも平等だ」と言うのは結構キツイと思っています。

理由は2つあります。

一つ目の理由は、その成功例が少数例だからです。

「教育格差」には以下のように書かれています。

 SES偏差値40以下(100人いたとき下位の16人)が学力偏差値60人以上(100人のうち学力が上から順に16人)である割合は約6%だ。(中略)

SESが下位16%というのはだいたい「子どもの貧困」層と合致すると思われる。このうち学力偏差値60以上の生徒は100人のうち6人である。一方、SES偏差値が60以上の層からは100人のうち約28人が学力偏差値60以上だ。1学年120万人としてSESが下位16%で学力偏差値60以上の生徒は1.2万人-ある程度の規模の人数なので、同じ低SESで学力偏差値60未満の18万人を無視すれば、日本は「誰にでも機会が開かれている国である」と思いこむことができる。

(引用)教育格差(松岡亮二/筑摩書房)p.242-243より

教育や社会という側面から見た時に、この明らかな差を個人の努力の有無に落とし込んでしまうのは、社会の問題点を(結果的に)隠すことになります。

2つ目の理由は、前述のように「勉強」だって遺伝の影響はあるからです。

例えば「100m走で11秒切れないのは、努力が足りないからだ」と言われたらどうでしょうか?

(100m走の高校生記録は10秒32(平均は12秒09))

(参考)男子100mランキング - 2020 全国高等学校リモート陸上競技選手権大会

ある程度は、努力で早く走ることができるようになりますが人それぞれ限界があるのは「勉強」だって同様です。

「ある程度の学力」は、努力で手に入れることができるでしょうが、その「ある程度」は人によって違います。

こういった現状を踏まえて、わたしたち親世代は子どもを育てていかなければなりません。

そこでヒントになるのは最近話題になっている「非認知スキル」です。

「非認知スキル」とは「やり抜く力」「忍耐力」「創造性」などのペーパーテストでは測ることのできない能力のことです。

「両親の収入、学歴」を問わず非認知スキルを高めれば、学力があがる可能性があると考えられています。

詳しくは以下の記事に書いてあるので、興味のある方はぜひ参考にしてください。 

それでは、また。