新しい指導要領から高校では「総合的な探究の時間」が始まり、基本的に全高校生が探究活動・課題研究をすることになります。
では、生徒さんが探究活動をするために必要なスキルとは何でしょうか?
結論から先に言うと、
・既に「スキル」は学習しているよ。
・「スキル」が最初から高い人なんていないから安心して。
・「スキル」を意識して磨いていこう。
では、詳しくみていきましょう。
探究活動のスキルと知識の違い
まず課題研究・探究活動をするのには「スキル」と「個別の研究への知識」が必要になります。
「個別の研究への知識」をどのように身に付けると良いのかはまた別に書きたいと思いますので、今回は割愛します。
「スキル」とは、シンプルにいえば「課題研究・探究活動の仕方」です。
スキルの中身は、問いをたて、仮説をつくり、実験・検証を行い、考察し、結論をまとめる ということになります。
この辺りの細かい手法については、課題研究・探究活動の時間で教材や先生から教わるので割愛しますね。自学したい方にオススメの本だとこういうのがあります。
このスキル。実は、小学校時点で多くの生徒さんは経験し学んでいます。
ウソだと思うでしょ?
文部科学省から出されている「小学校理科学習指導要領解説」にはこのように書かれています。
従来,小学校理科では,問題解決の過程を通じた学習活動を重視してきた。
問題解決の過程として,自然の事物・現象に対する気付き,問題の設定,予想や仮説の設定,検証計画の立案,観察・実験の実施,結果の処理,考察,結論の導出といった過程が考えられる。
(引用)小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 平成29年7月 p.10より
ほら、ちゃんと小学校時点から「予想・仮説」「検証計画の立案」「検証」「考察」「まとめ」ということをやってきているでしょ。
探究活動に必要なスキルが最初から高い人なんていない
でも、生徒さんも先生もやってきた感覚が薄いんじゃないでしょうか?
それは、スキルとは磨いていくものだからです。
もっと言うと意識的に使わない限り、スキルは磨かれていきません。
わかりやすく考えるために例えば、自転車の運転を考えてみて下さい。
自転車に乗れるようになった時のことを思い出してみてね。
多くの人が簡単に乗りこなしている自転車の運転には、「バランスを取りながらペダルを踏む」というスキルを活用しています。
じゃあ、5歳児に「バランスを取ってペダルを踏めば自転車に乗れるよ」と教えたら、すぐにスイスイと自転車に乗れるようになるでしょうか?
無理ですよね。
あなたもわたしも、1メートルしか乗れなかったり、こけたりしながら少しずつ乗り方を覚えていったはずです。
これは、自転車も課題研究・探究活動も、そしてこの世のあらゆる分野で同様です。
スキルを知識として知っていても出来るようになりません。
探究活動をしながらスキルを磨いていく
ここまで読んで探究活動の素地となるスキルは、小学校から経験していることをわかってもらえたと思います。
そして、そのスキルは、知っていてもできるようにならないことも理解してもらえたと思います。そのスキルを意識して磨いていきましょう。
でも、探究活動を既にスタートしている人、もうすぐ始まるよ、という人はどうすれば良いのでしょうか?
結論は簡単です。
とにかくやろう!
やりながらスキルを磨いていきましょう。
サッカーで例えれば、リフティングが1000回出来るようになってから試合に出る人はいません。なんとなくわかったら練習試合に出てみるはず。
探究活動・課題研究もそれと同じです。
1つ注意することがあるとしたら、探究活動・課題研究のスキルを確認し、意識しながら取り組むことです。
漠然と自転車を運転してもある以上は上手くならないように、探究活動・課題研究も漠然と取り組んでいてはスキルは磨かれません。
まとめ
- 課題研究・探究活動のスキルは小学校から学んでいる。
- スキルを意識して磨いていこう。
- 最初から上手にできなくても大丈夫。
最初から高度な探究活動・課題研究が出来なくても構いません。まず意識して取り組むことが大切です。
探究活動・課題研究関係のほかの記事でも書いていますが、探究活動は、結果よりも取り組んだ過程が大事です。
それは、やってみることが一番生徒さんの力を伸ばすからです。頑張ってくださいね。それでは、また。