りょうさかさんと

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MEXCBT(文部科学省CBTシステム)とは


どうも、教育関係会社員のりょうさかさんです。

今回はMEXCBT(メクビット)についてご紹介したいと思います。

聞きなれない言葉ですが、既に全国8,500校で登録されているシステムなんです。

MEXCBT(メクビット)とは

「MEXCBT」とは「国や地方自治体等の公的機関等が作成した問題を活用し、オンライン上で学習やアセスメントができる公的CBT(Computer Based Testing)プラットフォーム」のことです。

詳しくは文部科学省のWEBサイトに掲載されています。

ポイントは以下の4点です。

  1. 国や地方自治体等の公的機関等が作成した問題(約25,000問)を活用可能
  2. 児童生徒が1人1台端末からオンラインで問題演習ができる
  3. 選択式や短答式問題は自動採点
  4. 教員による問題作成可

(参考)文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)について

令和3年度(2021年)時点で約8,500校、約300万人が登録という状況です。

ちなみに全国の小学校は約20,000校、児童数は約636万人、中学校は約10,000校、約321万人です。

小中合計30,000校、957万人ということを考えると「3割以下くらい」の規模で登録されている状況だと言えます。

では、具体的な使用の流れをイメージしていきましょう。

MEXCBTの具体的な使い方

MEXCBTは、学校が申し込むことで使用(無償)できます。

その際の規模は、学校全体から特定のクラスまで幅広く申し込むことができます。

MEXCBT登録後、先生・子どもにアカウントが発行されます。

先生は学習eポータルにログインし、MEXCBTから問題を選んで子どもに配信をすることができます(先生自作のオリジナル問題も配信可能)。

子どもは1人1台端末を用いて学習eポータルにログインし、MEXCBTにアクセスします。

ブラウザからアクセスするので何かインストールする必要はありませんし、学校からでも家からでもアクセスすることができます。

子どもが問題を解くと自動採点され、解説が表示されます。

先生は学習ポータルから子どもたちの結果を見ることができます。

(引用)文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)について

以上は、ざっくりとした内容なので詳しく知りたい方は文部科学省のこちらのサイトをご覧ください文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)について:文部科学省

MEXCBTのメリット

では、MEXCBTのメリットとは何でしょうか?

まずは紙にはないCBTならではのメリットが考えられます。

例えば以下の5点。

  1. プリントの配布・回収・確認・管理が不要
  2. プリント印刷などの費用削減
  3. 自動採点による負担軽減
  4. 過去の集団との学力の比較が容易(例:昨年より学校の学力が伸びた)
  5. 個人の能力の伸びの把握が容易(例:Aさんの学力が伸びた)

これらは主に学校・先生側のメリットですが、先生たちがCBT結果を分析し、授業や指導改善に繋がれば結果的に子どもたちにもメリットがあります。

MEXCBTならではのメリットとしては、問題収録数とその拡張性でしょう。

前述のように「国や地方自治体等の公的機関等が作成した問題(約25,000問)」が収録されています。

今後は学習eポータルを通じて、各種デジタル教材・デジタル教科書などと連携することが想定されています。

この部分について、MEXCBTの資料では以下のように書かれています。

利活用者、事業者を超えて相互に利活用が可能な汎用的な仕組み(国際標準規格等の汎用的な仕組みの導入)→ 問題・データや知見等の相互利活用(教育DX)

(引用)文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)について

1人1台端末から「学習eポータル」と「学習ツール」「MEXCBT」を繋げてWEB上で完結するシステムなんですね。

MEXCBTの2つの課題

良いことだらけのような気もするMEXCBTですが課題もいくつか考えられます。

その中でも大きなウェイトを占めるのは以下の2点です。

  1. 問題数
  2. 著作権

MEXCBTの問題数はまだまだ足りない

現在公開されている25,000問という問題数は本当に十分なんでしょうか?

収録されている教科を小学校主要4教科(国算社理)、中学校主要5教科(国数社理英)だとしましょう。

小学校の国算は1~6学年分、社会理科3~6年学年、中学校は5教科3学年あるので、単純計算すると35学年分の問題が必要になります。

問題数を35で割ると1教科1学年あたりの問題数が計算できます。

25,000を35で割ると714.2です。

つまり1教科1学年あたり714問。

714問と聞くと多いような気もしますが、1教科1学年の中には様々な分野がありますよね。

例えば、こちらのサイト「WEB問題(チャレンジシート)小学校5年生 算数科」によると算数5年生の内容は15項目(整数と小数、体積、小数×小数など)あります。

714を15で割ると47.6、つまり1項目につき、50問以下の問題数しかないんです。

これで多様な子どもたちの状況に対応できるのかというと疑問がありますよね。

もちろん各学年の問題数については、あくまで推測です。

ただ25,000問という一見多そうに見える問題数も、1学年1教科という視点で見ると十分ではないことがご理解いただけると思います。

問題の著作権管理はどうなるのか

このように問題数という課題があるわけですが、その解決も担っているのが「学習eポータル」と連携が期待されている「学習ツール」(デジタル教材・教科書)です。

仮に複数の「デジタル教材・教科書」と連携して、課題配信・宿題配信が出来るようになると問題数の問題は簡単に解決できそうです。

民間のデジタル教材・教科書であれば、問題の難易度、範囲も広がりますからね。

ただここで気になってくるのは、デジタル教材・教科書などの著作権などをどう管理するのか、という点です。

おそらく文部科学省が使用料・許諾料みないなものを支払うと思うのですが、どうするのか? 一律同じ金額なのか、一定の許諾料と使用数に応じた歩合制のような支払いなのか。

また先生が教材・教科書など問題を少しアレンジして配信したい場合の著作権の扱いはどうなるのかも気になりますね。

この辺りを綺麗にルール作りできると先生も民間業者も子どもたちも安心してMEXCBTを使うことができますね。

MEXCBTのまとめ

では、最後にまとめておきましょう。

  1. 「MEXCBT」とは、公的CBT(Computer Based Testing)プラットフォーム」。
  2. 国や地方自治体等の公的機関等が作成した問題(約25,000問)を活用可能
  3. 児童生徒が1人1台端末からオンラインで問題演習ができる
  4. 選択式や短答式問題は自動採点
  5. 課題は、「問題数」と「著作権」

教育のデジタル化の波は避けられません。

波を避けるのではなく、上手く乗りこなす方向に舵を切りたいですね。

それでは、また。