どうも、りょうさかさんです。
今回は「SDGs」について書かれた「2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望」(落合陽一/SBクリエイティブ)をご紹介します。
SDGsについて書かれた本書は、学生からビジネスマンまでヒントを見付けることのできる書籍になっています。
わたしが本書から受けた印象は、SDGsという「身近ではないしわかりにくいもの」に「ドアノブ」をつけてくれたというものです。
この本からドアを開けて、SDGsを考え始めてみて下さい。
「2030年の世界地図帳」の内容
まずは「2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望」の内容についてザックリご紹介しますね。
本書「2030年の世界地図帳」では、2030年という未来を考える上で「SDGs」「統計情報」「地政学的なフレーム」を組み合わた視点から語られます。
目次を見てもらうと…
- 第1章 2030年の未来と4つのデジタル・イデオロギー
- 第2章 「貧困」「格差」は解決できるのか?
- 第3章 地球と人間の関係が変わる時代の「環境」問題
- 第4章 SDGsとヨーロッパの時代
各章末には、著者落合陽一さんと識者との対談が挿入されています。
本書のページ数は350ページと多く感じるかもしれませんが、そんなことはありません。
次に紹介する「世界地図」に加えてグラフ、イラストが多いので読みやすくなっています。
読書時間を計っていないので適当ですが、わたしは3~4時間で読み終えましたよ。
「2030年の世界地図帳」の1番の特徴
本書「2030年の世界地図帳」の1番の特徴は、「おさえておきたい!世界地図」のコーナーです。
世界地図上に統計情報を盛り込んだページが多く取り入れられています。
(引用)「2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望」(落合陽一/SBクリエイティブ)P.36-37(Amazon商品紹介ページより)
これが、本当に知的好奇心をくすぐるんですよね!
他にもどんな世界地図があるのか気になると思うので、地図のタイトルを列挙しますね。
- 世界のユニコーン企業
- ハイテク都市マップ
- 人口ピラミッド
- 若い人が多い国・高齢者が多い国
- 人口増減率(32か国分)2016-2030&2030-2050
- GDP成長率(32か国分)2016-2030&2030-2050
- 平均寿命の長い国・短い国
- 2000年から2060年の死亡原因の変化
- 都市と日本の人口
- 世界の4つのデジタル・イデオロギー
- その国で1日1.9ドル未満で暮らしている人の割合
- その国で1日1.25ドル未満で暮らしている人の割合
- 多次元の貧困に陥っている人の割合
- 所得の格差(ジニ係数)
- 高齢者の貧困率が高い国(相対的貧困35か国分)
- 極度の貧困の中にいる子どもの割合
- 子どもの貧困率が高い国
- ひとり親世帯の貧困率
- 男女の格差が大きい国・小さい国
- 成人の識字率が高い国・低い国
- 学校に行けない子どもたち(初等学校の就学率)
- どこで食品ロスは発生するか
- 栄養不足の人口の割合(ハンガーマップ)
- アフリカのインターネットの普及率
- 世界の携帯電話の普及率
- 年間CO2排出量(1850-1950-1970-1990-2016)
- エコロジカル・フットプリント
- バーチャルウォーター
- 改善された飲料水にアクセスしにくい国
- 温暖化による各地域のリスク
- SDGsの達成状況(20位以内の国)
- 年間の平均賃金(OECD・35か国)
- 世界のビッグマックの価格
- 年間の平均労働時間(OECD・36か国)
- 高齢者の暮らしやすい国
これ以外にも文中の補足として地図やグラフデータがめちゃくちゃ収録されています。
「成人の識字率が高い国・低い国」「世界の携帯電話の普及率」「世界のビッグマックの価格」は、わたしは本当にびっくりして、すぐに妻に話しましたw
社会人はビジネスを考える上で、世界全体を俯瞰した情報が手に入るので有用ですし、中学生・高校生にとってはテレビ・新聞で報道される世界の情報がいかに一面的か理解することができます。
探究活動をするのなら本書の「世界地図」を眺めて、不思議に思った分野や興味を持った分野からスタートしてみるのもアリかもしれません。
デジタル・イデオロギー という視点
本書で面白いのが「デジタル・イデオロギー」という位置づけ方です。
「デジタル・イデオロギー」と聞くとなんだか難しそうな感じがしますよね。
実は、この「デジタル・イデオロギー」という言葉のお陰で、なんとなくニュースなどで知っている情報や日常生活の経験を整理してくれる役割を担っています。
「デジタル・イデオロギー」とは以下のような意味です。
なお、ここでいうデジタル・イデオロギーとは、地政学的な差異(地域による方法の違い)から生まれる、デジタルへの向き合い方の違いのことを意味しています。
(引用)「2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望」(落合陽一/SBクリエイティブ)P.95より
この「デジタル・イデオロギー」は4つに区分されます。
以下、本書のp.96-101で紹介される内容をギュッと短くご紹介。
- アメリカン・デジタル:GAFAMに代表されるように貪欲に新市場を求め、研究開発に予算を惜しまない。
- チャイニーズ・デジタル:国家の管理を後ろ盾にGAFAMとは別の技術力を確立。
- ヨーロピアン・デジタル:ヨーロッパの伝統と文化を背景にしたブランド力によってスペックには現れない価値を創造。
- サードウェーブ・デジタル:発展途上国(特にインド、アフリカ)において20世紀までの経済発展とは違う筋道を辿る開発。
この「デジタル・イデオロギー」という言葉と4つの区分によって日本を含んだ世界を見る視点が整理されるんです。
SDGs社会に日本はどうあるべきか
わたしが本書「2030年の世界地図帳」を読んで一番良かった部分は、アメリカ、中国、ヨーロッパ、中東やアフリカの主要産業の関係性を整理した点です。
例えば、アメリカと中国が技術力を背景とした経済力でビジネス・政治の分野においてバチバチにやりあっている中、ヨーロッパはどうやって存在感を出しているのか?
そう質問されると、確かになんとなくわかるけれど言語化しにくいですよね。
本書ではイラストを用いて、下記のような説明をしています。
ヨーロッパ主導のルールによる支配 法と倫理の層
アメリカと中国がITサービスで激突 情報の層
中国が「世界の工場」として機能する 工業の層
中東やアフリカが鍵を握る 資源の層
(文のみ引用)「2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望」(落合陽一/SBクリエイティブ)P.291より
ヨーロッパは伝統や文化を背景とした「法と倫理」によって世界の主導権を握ろうとしていると指摘します。
実は、SDGsの達成率の上位はヨーロッパが独占しています。
これはSDGsが始まってから各国が努力してきた差が出たというわけではなく、そもそもヨーロッパが社会保障、環境保護に取り組んできたアドバンテージがあるわけです。
つまり自分たちに都合の良いルールが「SDGs」だという側面もあるわけです。
本書の言葉を借りれば「SDGsはヨーロッパ式ゲーム」だと言えます。
オリンピックでも日本人が金メダルを獲ると翌年からルールが見直しになったりしますよね。
それと同じことをヨーロッパは「SDGs」でしているわけです。
誤解してほしくないのですが、わたしはヨーロッパを非難するつもりはありません。
アメリカ、中国、ロシア、ヨーロッパ、中東、アフリカ、それぞれの国や地域は、自分たちに有利な場面で戦おうとしているにすぎません。
問題は、わたしたち・日本はどうやって有利に戦うべきなのかという点です。
本書では「日本は、米・中・欧の中間地点に活路がある(p.304)」という一つの提案をしています。
その内容は、ぜひ本書を読んでみてください。
「2030年の世界地図帳」のまとめ
冒頭、『わたしが本書から受けた印象は、SDGsという「身近ではないしわかりにくいもの」に「ドアノブ」をつけてくれた』と書きました。
ドアノブがなければドアって、ただの壁ですよね。
わたしにとって「SDGs」って漠然としていて、どう開けたら良いのかわからない大きな壁みたいな感じだったんです。
本書からルールや情報を手に入れたことで、ようやくドアのように開けて中が覗けるようになったと感じています。
じゃあ、本書がドアノブになりえた要因はなんなのか?
要因は、2つあります。
「落合陽一さんの思考の切り口」と「世界地図というアイディア」です。
本書の醍醐味である「思考の切り口」についてあえて語りません。
「世界地図」というアイディアにのみ言及すると…
世界が「SDGs」という「ゲームのルール」で戦う時に、そのルールとお互いの立場や特徴を理解することはとても重要です。
本書では「統計情報の世界地図」という「図解」によってルールとお互いの立場がわかりやすくなっています。
今後は、「SDGs」に加えて「新型コロナ」もゲームのルールに大きな影響を及ぼすでしょう。
「アフターコロナ」について考える際にも同様のアプローチが出来るのではないでしょうか。
高校の探究活動で「SDGs」をしなきゃ!
そんな学生さんはぜひ、本書の世界地図からパラパラと眺めてみることをオススメします。
それでは、また。
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