りょうさかさんと

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

りょうさかさんと

成績の良い子の生活習慣が参考になるのか?


どうも、教育関係会社員のりょうさかさんです。

今回は、早稲田大学柴田重信研究室・ベネッセ教育総合研究所の共同調査で発表された「子どもの生活リズムと健康・学習習慣に関する調査2021」についてです。

2022年6月18日の産経新聞朝刊ではこの調査を基に「寝る前に画面 見ない方が高成績」とスマホのスクリーンタイムが成績によって違うことが紹介されていました(Web版の記事は見当たりませんでした)。

では、実際のレポートからどんな内容なのか確認していきましょう。

ベネッセ・早稲田大のレポートとは

「子どもの生活リズムと健康・学習習慣に関する調査2021」の調査の概要は、このように書かれています。

  • 調査方法 インターネットによるアンケート調査
  • サンプル数 全国の小学校4年~高校3年生 各学年1030名

(参考)子どもの生活リズムと健康・学習習慣に関する調査2021ダイジェスト版

結果は、日本経済新聞の記事が簡潔にまとめてくれています。

  1. 学年が上がるにつれて、平日・休日の睡眠時間が減少し、生活リズムの夜型化や平日と休日の生活時間のズレ(「社会的時差ボケ(*)」の発生)が大きくなる傾向がみられました。
  2. 学年が上がるにつれて、寝る前のスマートフォン・携帯電話、パソコン、タブレット、テレビ、ゲームの画面を見る時間(スクリーンタイム)が増えており、疲れ・翌日の眠気にも影響する傾向がみられました。
  3. 学年が上がるにつれて、朝食の欠食頻度が増加する傾向がみられました。
  4. 成績を層別に分けたとき、成績が上位の子どもほど、成績が下位の子どもに比べて、睡眠、食事、学習が規則正しく、寝る前のスクリーンタイムが無いと回答する傾向がみられました。

(引用)ベネッセHD、「子どもの生活リズムと健康・学習習慣に関する調査」の結果を発表: 日本経済新聞

研究の詳細はこちらのサイトから見ることができます。

早稲田大学 理工学術院 柴田重信研究室 ベネッセ教育総合研究所 「子どもの生活リズムと健康・学習習慣に関する調査2021」 │ベネッセ教育総合研究所

就寝時刻と起床時刻

実際の資料だとこのようなデータを見ることができます。

例えば、平日の就寝時刻はこのような感じです。

多くの人が受験勉強を始める中3を境に就寝時間が23時~0時にシフトしていくように感じます。

一方で平日の起床時刻は、学校の登校時間があるのでそれほど大きく変わりません。

こんな感じで学年ごとの傾向を見ることができます。

デジタル機器の活用習慣

デジタル機器についてはこのような数字になっています。

小学生の頃はテレビをよく見ていますが、中学校・高校生になるにつれてスマホの時間の方が増えていきます。

ゲームの時間は少し減少し、PCを使う時間は微増という感じですね。

学力上位層の特徴

本研究では生活習慣と学習習慣をクロス分析し、成績層毎の違いについても言及しています。

規則正しい生活と学力だとこのようなグラフ。

小中高ともに学力上位層ほど規則正しい生活をしています。

次は睡眠時間と学力について。

中高ともに学力上位層ほど睡眠時間が少ない生活をしています。

この他にも学力上位層ほど「宿題以外の勉強をしている」「テレビ・ゲーム・スマホの時間が少ない」ことが示されています。

詳しく知りたい方はぜひ、本研究をご自分で確認してみてください。

成績の良い子の生活習慣が参考になるのか?

ここからは私見ですが、成績の良い子の生活習慣が参考になるのか疑問です。

そもそもこれは「学力上位層ほどこういう生活をしているよ」というのがわかっただけに過ぎません。

因果関係ではないんですね。

学力上位層ほど「テレビ・ゲーム・スマホの時間が少ない」のもそもそも「勉強時間が他より多いから時間が取れないだけ」なのかもしれません。

スポーツや読書量、芸術体験(美術館や映画鑑賞)などの量にも違いがあるかもしれません。

「学力上位層ほど睡眠時間が少ない」のも「規則正しい生活」(休日の寝貯めをしていない)をしているからと読み取れるんですが、それが身体に本当に良いのかも疑問があります。

そもそも学力と関係するのは「親の収入・親の学歴」だという研究もあります。

一方、他の研究と共通して大切だと言えることは「しつけ」です。

昨今話題の非認知能力を上げるためには「しつけ」が大事な要素の1つだと言われています。

「しつけ」などによって非認知能力が上がり、結果、学力も上がると考える研究があるからです。

非認知能力について気になる方は、こちらの記事を読んでみてください。

またわたしが感じるのは「親の関わり方」です。

いくら「しつけ」のためとは言え、怒鳴ったりして親子関係が険悪になっては意味がありません。

「スマホ」だって寝る前に見ないに良いに決まっていますが、ついつい大人だって見てしまいますよね。

それなのに子どもだけに注意してはアンフェアだと思いませんか?

「親子で一緒に寝る前のスマホをやめる」そんな会話ができる親子関係がとても大事だと思うんです。

研究の結果だけに捉われずに「親子関係」と「親の行動」を見直しましょうというお話しでした。

それでは、また。

デジタル端末か紙について興味のある方はこちらをどうぞ。