りょうさかさんと

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

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DX成功のカギは、過去の成功体験からの脱却


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どうも、りょうさかさんです。

今回紹介するのは「マッキンゼー緊急提言 デジタル革命の本質:日本のリーダーへのメッセージ」です。

このマッキンゼーの資料、簡単にいうと「DX(デジタルトランスフォーメーション)が進まないと御社の将来ヤバイですぜ」という内容なんですが、面白いんですよー!

これを読んで「マッキンゼーの資料は理想論!」とか言って、出来ない理由を挙げる管理職、社内評論家が多い会社は普通にお先真っ暗かもしれません。

今回は、この「マッキンゼー緊急提言」を読んで面白かったところ、考えたことをまとめたいと思います。

DXって言葉が独り歩きしていないか?

そもそも「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とはどんな意味でしょうか?

Wikipediaの説明を見てみると…

「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。デジタルシフトも同様の意味である。(中略)

ビジネス用語としては定義・解釈が多義的ではあるものの、おおむね「企業がテクノロジー(IT)を利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」という意味合いで用いられる。(太文字:引用者による)

(引用)デジタルトランスフォーメーション - Wikipedia

つまりDXとは、ITによって顧客を入れ替えたり、新たに創出したりすることだと言えます。

社員にタブレット端末を配ったり、商品やサービスをデジタル化したり、デジタルツールを用いるだけがDXではないんですね。

とはいえ、経営層だってDXの必要性はわかっているはず。

なのに、日本企業ではどうして失敗が多いのかマッキンゼーの資料によるとこんな図が示されます。 

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 (引用)「マッキンゼー緊急提言 デジタル革命の本質:日本のリーダーへのメッセージ」

「デジタル変革が失敗する要因の割合」の順位を見ていくと…

  1. シニアマネジメントのフォーカスと文化
  2. デジタル・テクノロジーの理解不足
  3. 人材の欠如
  4. 組織
  5. ITインフラの欠如

こんな順位になります。

それによってどんな事態が起きがちかというとこんな図で表現されています。

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(引用)「マッキンゼー緊急提言 デジタル革命の本質:日本のリーダーへのメッセージ」

すっごいザックリ言えば

「部長・役員クラスは口でDXというけれど良くわからないから外部から優秀な人材を獲って、その外部人材が出してくれた提案を『ウチの文化に合わないから』と否定して、最終的に外部の会社に丸投げして終了」

というオチが王道のようです。

個人的に大きな問題だと感じているのが、部長・役員クラスのITリテラシーの欠如です。

あなたの周りに「デジタルサービスとか良くわからないし」とか言っている管理職っていませんか?

こういう管理職って、部下が同じことを言ったら怒りそうですよねw

田端信太朗さんの著書「これからの会社員の教科書」には「ポケモンGOを語るよりポケモンGOをやれ」(Kindle版p.159)という文章があります。

これは「ゲームをしろ!」という意味ではなく「流行とテクノロジーを現地でちゃんと経験していますか?」という問いかけだとわたしは受け取っています。

「DX! DX!」と叫んでいても部長・役員クラスがiPad一つ使いこなさず、流行りのスマホゲームのUIの工夫を一つも知らずにデジタル化を叫んでもユーザー目線のサービスは生まれないと思います。

ビジネスチャンスではなくコストとして捉えていないか?

「DXでやるぞ!」と決まっているのにタブレット端末を社員に持たせなかったり、持たせたとしても管理職が「よくわかんなーい」と言っている会社は、おそらく部長・役員クラスがDXをビジネスチャンスではなくコストだと捉えているからだとわたしは思います。

このブログは一般の方以外に、教員の方にも多く読んでいただいています。

今、全国の小中学校ではGIGAスクール構想によってタブレット端末が導入され、いわばDXを進めている最前線の一つと言えるでしょう。

学校現場でも管理職、教員方がGIGAスクール構想をコストだと思わず、チャンスだと思ってくれると良いのですが。

さて、マッキンゼーの資料内で「成功事例と紹介されている企業の例」はこのように書かれています。

DX は、事業が主体的にリードする企業のビジネスプロセス・ビジネスモデル・組織風土改革であるということを認識しないと改革は絶対に進まない。DXで何をやるべきかは CDO や CIO が考えるのではなく、事業が主体となりどのようなオペレーションで、どのような顧客体験を作り、自社は何で差別化していくのかの戦略に応じて必要なデジタル技術・ソリューションを作るべきなのである。(太文字:引用者による)

DXが成功するためには組織風土改革も同時に行わなければならないと書かれています。

組織風土改革とは言い換えれば、過去の成功体験からの脱却です。

社内評論家にならず、過去の成功体験と安易な比較をしない。

そんなことからまず、始めていきたいと思いました。

それでは、また。

本文中で紹介した田端信太朗さんの著書

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