少し前のニュースですが、「共通テストの記述式が先送り」となりました。
プロセスを軽視した結果だと考えています。
萩生田文部科学大臣のコメント
萩生田文部科学大臣のコメントは文科省より公開されています。
再来年(令和3(2021)年)1月実施の大学入学共通テストにおける記述式問題の導入については、受験生の不安を払拭し、安心して受験できる体制を早急に整えることは現時点において困難であり、記述式問題は実施せず、導入見送りを判断をいたしました。
(引用)令和元年 12 月 17 日(火)萩生田文部科学大臣の閣議後記者会見における冒頭発言-文部科学省
文部科学省の高大接続改革の柱は、ザックリ表現すると以下の3点でした。
- 英語の4技能評価
- 国語・数学における記述式問題
- 学びの足跡の評価(e-portfolio)
このうち1、2が「見送り」という結果になってしまいました。
3のポートフォリオとは、学びのプロセスを評価する仕組みのことです。
このポートフォリオについては元々、合否判定のケースが少ないのが現状です。
利用する大学の多くは、ポートフォリオと大学入学後の成績の進捗などを照らし合わせて相関があるのかを読み取ろうという使い方です。
現時点で中止にするほど広がっていないので、「このまま増加せず、合否判定利用の大学が減る」のではないかと予想しています。
もちろん未来のことがどうなるかなんてわかりませんが…。
改革の方向性自体はオカシくなかった
りょうさかさんとしては、改革の方向性自体はオカシくなかったと考えています。
萩生田文部科学大臣のコメントでも触れられています。
初等中等教育を通じて論理的な思考力や表現力を育て伸ばすことは、大変重要であり、それらを評価する観点から、大学入試において記述式問題が果たす役割が大きいことに変わりはありません。
(引用)令和元年 12 月 17 日(火)萩生田文部科学大臣の閣議後記者会見における冒頭発言-文部科学省
論理的な思考力、表現力、記述式が重要だという考え自体に反対する人はほとんどいないでしょう。
入試が見送りになったといっても、これからの子ども達に問われる力であることには変わりありません。
しかし、制度設計のずさんさ。
ベネッセグループとの強い繋がりが火種となってしまいました。
(共通テスト記述式の採点は、ベネッセグループの学力評価研究機構が約61億6000万円で落札しています。(参考)大学入学共通テスト、記述式問題の採点にベネッセグループ | リセマム)
方向性はオカシくなくても、プロセスがオカシければダメだということです。
ポートフォリオを使ってプロセスも評価しようとしていた文部科学省が、プロセスでしくじるとはなんとも皮肉な話です。
わたしも結果を目指しつつも、プロセスに妥当性があるのかどうか、自分を一度見つめる時間を取りたいと思います。
それでは、また。