ネット情報やツイッターには「個人が生きていく為には高い専門性が必要だ」という言説が溢れています。
それ自体にオカシイ点はないんでしょう。
でも良く考えてみれば、高い専門性をもつ人達が常に成功しているとは限らないし、作った商品は常にヒットしているわけではありません。
じゃあ、この言葉の裏に何が隠れているのか?
私は数学でいうところの必要十分条件が隠れていると考えます。
つまり「高い専門性は必要条件だけど、必要十分条件ではない」ということです。
と、冒頭に結論を書きましたw
ここから先はそう考えに至った経緯と十分条件は何なのかについて考えていきたいと思います。
高い専門性に隠れた側面
冒頭から「高い専門性」という言葉を何回も使っています。
そもそも「高い専門性」ってなんでしょうか?
「高い専門性」について以前紹介した「全速力」では麻雀を例にこのように書かれています。
それは麻雀が「難しい」ということです。「専門性が高い」「マニアック」と言い換えてもいいかもしれません。専門性が高いということは、それだけある方向に偏っているということで、つまりは「誰にでも簡単に受け入れてもらえるものではない」ということです。
(引用)「全速力」多井隆晴 p.73より
「専門性が高い=誰にでも簡単に受け入れてもらえるものではない」という言葉に、わたしはズキリ!ときました。
あなたはどうでしたか?
「専門性が高い」となんとなく凄そうに思われそうですが、実は「凄すぎてよくわかんない」⇒「よくわからないことに興味ねえよ」ってなる恐れがあるってことなんですよ。
ひとりよがりの専門性
また「専門性の高さ」の表現の仕方によっては、ひとりよがりになってしまいます。
例えばわたしの大好きな「下町ロケット」シリーズ(池井戸潤)の「下町ロケット ゴースト」には、以下のようなエピソードがあります。
主人公たちの佃製作所は、ロケット品質といわれる「専門性の高さ」を活かした「高性能なトランスミッションバルブ」をつくろうとします。
しかし、彼らはそれでは納得しません。
最終的に顧客のニーズを考え「耐久性の高いトランスミッションバルブ」に設計変更をし、コンペを勝ち取ります。
「高性能なもの」が常に良いわけではないということを端的に示すエピソードだと思います。
そして、これは企業活動でも個人でも同様です。
「専門性が高い」ことは必要ですが、上手く表現しなければ多くの人に理解してもらえないということです。
高い専門性は必要条件にすぎない
前段までは「専門性の高さ」に隠された側面をご紹介しました。
まとめると…
- 専門性の高さは、わかりにくい。
- 相手の求める形で専門性を発揮できているのか考える必要がある。
「専門性の高さ」はあくまで必要条件であり、上の2点に対応することが専門性の高さを活かす十分条件になると考えます。
じゃあ、何が十分条件か?
「全速力」「下町ロケット」を参考にすると十分条件は、顧客目線でのアウトプットだといえるでしょう。
- 顧客目線で、高い専門性をわかりやすく訴える
- 顧客が求めている専門性を発揮する
これを上手に使っている例があります。
それは「まんがで身につく…」系の書籍です。
この「まんがで身につく…」系の書籍は、専門性のある分野を漫画という切り口でわかりやすく解説しています。
もちろんその分野の専門家からすると触れていない部分や誤解を生む表記などが気になるかもしれません。
しかし、この「まんがで身につく…」系の書籍を読む読者はそこまでの内容は求めていませんよね。
読者が求めているのはその分野の大枠や入口としての知識。
まさに高い専門性を顧客目線でアウトプットした商品だといえると思います。
まとめ
- 高い専門性は、ある分野で成功するための必要条件
- 十分条件にするためには顧客目線でのアウトプットが大事
高い専門性を備えた弊社の商品を顧客はなぜわかってくれない?
と悩みに落ち込んだ時は、一度アウトプットが顧客目線かどうか確認してみましょう。
偉そうに書きましたが、コレ自戒の念を込めて書きました。
難しいですよね。
一歩一歩、一言一言、意識していきたいです。
それでは、また。