麻雀プロ・渋谷ABEMASのエース多井隆晴プロのビジネス書「全速力」についての書評です。
麻雀プロのビジネス書って?
そう疑問を持たれても不思議ではありません。
実際わたしもそうでしたからw
本書の内容を一言でいえば「一流経営者のビジネスマインドとは?」です。
「全速力」の著者・多井隆晴プロについて
本書「全速力」は麻雀プロ、多井隆晴プロのビジネス書になっています。
多井隆晴プロは「最速最強」のキャッチフレーズを持ち、プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の渋谷ABEMASのエースとしても活躍中。
元々は証券会社に勤めていた時期もあり、社会人経験もある方です。
ちなみにりょうさかさんも渋谷ABEMASのサポーターです!
Mリーグについてこちらをどうぞ。
「全速力」の内容
冒頭に書いたように本書はビジネス書です。
麻雀牌は一切出てこないので、麻雀に興味のない方も気軽に読むことのできる内容になっています。
じゃあ、ビジネス書としてどんな内容なのか、目次の節タイトルを一部見てもらいましょう。
「チャンス」は待つな。自分でつくれ -p.24
アイデアは「プレゼンできた時点」で勝ち -p.28
商品は「マニアック」+「マジョリティ」でヒットする -p.72
努力の方法が間違っていませんか? -p.98
(引用)「全速力」多井隆晴 目次より
どうして麻雀プロがこんなビジネス全開のテーマについて書くことができるのか?
それは、良くも悪くも麻雀プロと野球などのメージャースポーツのプロ選手との大きな違いに由来します。
「全速力」を読んだ感想
麻雀は「ギャンブル」の一つという印象の方が多いのではないでしょうか。
麻雀マンガだと裏社会の皆さんもセットで登場することが多いのでアウトローなイメージを持っている方もいると思います。
そういう社会的なイメージがあり、麻雀プロは麻雀のお仕事だけで全員が食べていける状況ではありません。
多井プロは「ただ麻雀が強いだけでは足りない」と考え、セルフプロデュースを含めた立ち振る舞いから、「自分の売り込み」「企画提案」など様々な取り組みをして現在のポジションを獲得してきました。
例えば、麻雀のテレビ対局には「解説者」が必要です。
多井プロはただ「解説に使ってください」とお願いするのではなく相手が選びやすい根拠を作っています。
たとえばアナウンス学校に通ったり、ボイストレーナーに指導してもらってボイストレーニングをしたりして、ほかの人と明確な「差」をつけるようにしました。
(引用)「全速力」多井隆晴 p.89より
多井プロのしていることって「営業努力」ですよね。このようなエピソードが本書には複数紹介されています。
これらを読んでいて、麻雀プロって「個人事業主」なんだとと改めて気付かされました。
「個人事業主」である多井プロが自分自身という会社を管理し、営業し、発展させていくビジネスマインドが丁寧に書かれているのが「全速力」なんです。
「全速力」の一番好きな箇所
わたしが一番好きな箇所は、『「実力」より「幸せ」をアピールすべし 』(p.64)です。
この節では、あるコンテンツを宣伝する際に「実力」よりも「幸せ」をアピールすべきであると書かれています。
多井プロは、子どもに麻雀プロの魅力を伝えるという場面を例に説明してくれます。
その内容は
麻雀プロの「凄さ・大変さ」(実力)を説明するのではなく、「幸せ」になる場面を伝える方が魅力的に見える
というもの。
そして、Mリーグの放映ではこの部分を丁寧に扱っていることにも触れます。
わたしはMONDOなどの麻雀番組も見ていましたが、Mリーグが始まってからあまり見なくなってしまいました。
最初は時間的な制約やMリーグの演出(音楽・映像・舞台装置)の力だと思っていました。しかし、今回、多井プロの指摘するMリーグの「幸せアピール」を読んで、ファンとしてとても納得しました。
確かに「アレ」があるからMリーガー全員が輝いて見えると感じます。
アレが気になる方は是非本書をどうぞw
さて、この「幸せアピール」って営業職の宣伝と同じなんですよね。
「実力」とは商品であれば「機能」や「特徴」のことです。
これら「機能」「特徴」をアピールすることは不可欠ですが、それだけでは購入にいたりません。
以前、「ジャパネットたかた」の高田社長のインタビューでこんな趣旨のことを言っていたことを想い出しました。
「カメラを宣伝する時に画素数などの機能は当然宣伝します。
ただ「ジャパネットたかた」では、そこで終わりません。
高性能で綺麗な写真が撮れるからこそ、毎年子どもの誕生日に写真を撮ってA3サイズで残しませんか。そして、子どもが結婚する時にその20数枚をプレゼントしましょう。きっと喜んでくれますよ」
こういう風に「機能」と「幸せをイメージできるストーリー」をセットで紹介しているんです。
ぜひ「ジャパネットたかた」を見た時は、確認してみてください。
「全速力」のまとめ
「全速力」は読みながら考えたり、思い出したりすることが多い本でした。
個人的には書籍を読んで「へえー」で終わる本よりも、色々考えられる書籍の方が好きなんですよね。
Mリーグファンはもちろん、ビジネスマンにもオススメの書籍です。
気になった方は是非読んでみて下さいね。
それでは、また。