今回は「ケンカの流儀」(佐藤優)についての書評です。
ケンカの流儀の内容
著者の佐藤優さんは、元・外務省主任分析官。
在ロシア大使館で勤務し、鈴木宗男議員と北方領土に関する背任、偽計業務妨害容疑で逮捕、起訴され有罪がでている。
ソ連崩壊、北方領土交渉、逮捕という一般人ではなかなか経験できないレベルの修羅場をくぐってきた著者が考える「ケンカの流儀」。
それは「著者自身の経験」や「ヘーゲル」「池田大作」から「吾輩は猫である」「かもめのジョナサン」「八日目の蟬」を元に語られます。
ケンカの流儀
佐藤優さんの著作をどれだけ読んでいるかによって本書の印象は大きく変わるでしょう。
わたしは好きで結構読んでいるので政治関係の体験を元にした内容は、それほど目新しいとは感じませんでした。
逆に佐藤優さんが小説の内容に言及しながら自論を展開していく構成は珍しく、面白く読むことが出来ました。
一方、佐藤優さんの本を全く読んだことのない方にとっては事実ベースで語られる国家間の思惑などはメチャクチャ刺激的だと思いますよ。
佐藤優さんの書籍を全く未読であれば「国家の罠」もオススメです。
特に印象に残った部分
特に印象に残ったのは「吾輩は猫である」の猫から学ぶ修羅場の切り抜けたかたです。
紹介されるエピソードは「吾輩が猫である」の中の主人と夫人、猫の話です。
主人は「にゃあ」が間投詞か副詞かについて関心があり、国語家の頭脳を支配している大問題だと言う。それを夫人は相手にしない。
これを引き合いにして著者はこう断じます。
憲法改正、集団的自衛権、慰安婦問題についても、日本国家と日本人の生き残りに直接関係しないような「ニャーは、間投詞か副詞か」という類の論争が多すぎる。
(引用)ケンカの流儀 佐藤優 p.63より
世の中には「ニャーは、間投詞か副詞か」という類の論争がとても多いです。
例えば、沢尻エリカさんの違法薬物に関する逮捕。
エリカはマトリじゃなく組対5課だったんだ。誰得情報だけど、KenKen、清原和博、ASKAは組対5課で、国母和宏、田口淳之介、小向美奈子、高樹沙耶、ピエール瀧あたりはマトリでした。 https://t.co/1wntxgSTh0
— 桜山苑子 (@biboroku_) November 17, 2019
こういう情報に反応してついついわたしは「沢尻エリカさんの逮捕は組対5課(暴力団関係)だから麻薬の入手経路は暴力団関係か。依存症を克服して刑務所から出てきても、クスリを無料で渡してくるような奴が現れるんだろうなあ」と考えてしまいます。
このような「芸能人のスキャンダル」「法に違反していないレベルの政治的スキャンダル」、そして、それらの陰謀論。
どれを追及したところで、少なくともわたしの人生に大きな影響はなさそうです。
そういう論争からは距離をおいて、現実の問題について考えたり解決に取り組むことの方が有意義だよなあ、と改めて思ったわけです。
それでも、沢尻エリカさん逮捕はファンとして残念なんですが…。
大河みたいよー。
それでは、また。