子どもの「怒り」について、親はどのように対応したら良いのでしょうか。
わたしが今一番悩んでいるのがコレです。
今思い返すと、わたしの子どもへの怒り方は、自分が親からされてきたことを真似ていました。
両親は両親なりにわたしのことを想って、怒ってくれていたのでしょうが、その嫌な部分も自分は最も知っているはずなのに…。
悔やんでも仕方ないので、出来るだけ子どもにとって良い関わり方を心がけたいと思って幾つかの本を読みました。
今回紹介する「保育者のための子どもの「怒り」へのかかわり方」は保育園・幼稚園の先生向けの書籍ですが、一般の親であるわたしにとっても参考になりました。
同じことに悩んでいる親御さんにもきっと参考になると思いますよ。
アンガーマネジメントとは
著者の野村恵里さんは、元保育園保育士で日本アンガーマネジメント協会公認のシニアファシリテーターです。
本書では「アンガーマネジメント」を用いて、自分自身の「怒り」をコントロールし、子どもの「怒り」とどう向き合って、対応するのかということが具体的に書かれています。
アンガーマネジメントのメリット
「アンガーマネジメント」というと「怒り」をどうコントロールするのかというテクニックのように受け取ってしまいますが、そうではありません。
「アンガーマネジメント」とは、「怒らない」のではなく、「上手に怒る」ために自分の怒りと上手に付き合うための心理トレーニングのことです。(本書p.2より要約)
「上手に怒る」ことのメリットとして、4点が挙げられています。
- 何度も同じことで怒らなくてすむ
- 言い訳されずにすむ
- 反発されずにすむ
- 自分も相手も混乱せずにすむ
(引用)本書p.3より
前述のようにアンガーマネジメントはあくまで「心理トレーニング」です。
あくまでトレーニングですから、知識と身に着けたとしても出来るかどうかは別問題です。走り方を教わっても42.195kmを走ることが出来るようにならないのと同じですよね。
「知ったからと言ってすぐ出来なくてもよいんだ」と安心した上で日々、意識することが大切だというわけです。
こんなアンガーマネジメントを保育者も親御さんも子ども自身もトレーニングしていきましょうね、というのが本書の内容です。
アンガーマネジメントのテクニック
本書では具体的なテクニックが幾つも紹介されています。
「子どもと一緒に学ぶテクニック」は10個。「保育に活かすテクニック」は4個。また「保育現場での活用法」として8個の方法が紹介されています。
保育者の方はそのまま参考になるでしょうし、わたしのような親としては「これが家庭内だったら」と考えながら読むことで参考になります。
テクニックの詳細については本書を読んでいただくとして、その中からわたしが心に留めておきたいと考えことをご紹介します。それは年齢別の対応です。
年齢に応じた使い方
・1歳児に対しては、「体に刺激を与える」(トントンとやさしくあやす等)。
・2歳児に対しては、「リフレーミング」(ポジティブに捉える)と「レッテル貼りをしない」(「いつも」「絶対」と子どもを決めつけない)。
・3歳児に対しては、「事実を思い込みを分けて考える」と「語彙を増やす」(なんでも「バカ」と言うのは語彙が少ないから。「…だから悲しいのね」「…だから恥ずかしいのね」と語彙を補ってあげながら、語彙を増やしていく)
・4歳児に対しては、「未来志向」(「どうすれば楽しくなるかな」という接し方)と「Iメッセージ」(「I(私)」を主語にして「私はこうしてくれると嬉しいな」というような言い方で子どもに気持ちを伝える)。
・5歳児に対しては、「気持ちの橋渡し」と「怒りっぽい自分を受け入れる」。
(本書p.110-119までを要約)
アンガーマネジメントで気を付けたい「言葉つかい」
本書を読んでいてわたしがドキッとしたのはこの文章です。
「怒れば何とかなる」という子育てをしていると、子どもも「怒れば何とかなる」と思って成長します。
(本書p.132より引用)
前述のように「怒る」ことが悪いのではなく、「上手に怒る」のがアンガーマネジメントです。
その際にはテクニック以外にも親が気を付ける言葉使いがあります。
「過去の話題」と「人格攻撃」と「原因を責めない」です。
「過去の話題」を簡単に言い換えると「何度言ったらわかるの」「昨日も言ったでしょ」というような言葉使いです。
子どもは過去のことを持ち出されると何に対して怒られているのか混乱してしまうそうです。
「人格攻撃」は、「お前には無理だ」「最低」「最悪」というような言葉使いです。
特に「最低」「最悪」といった言葉は状況に対して言っていても、子どもは自分に対して言われていると捉える可能性があるので注意しないといけないですね。
これら「過去の話題」と「人格攻撃」の言葉は使わないようにしましょう。
「原因を責めない」とは具体的には「なんで?」「どうして?」という言葉を使わないということです。
「なんで?」「どうして?」は「子どもを考えさせよう」「理由を話してもらいたい」と思って使ってしまうケースがあると思います。
「なんで?」「どうして?」という言葉は、理由を知りたいというカモフラージュをした相手をキツく問い詰める言葉です。
このような言葉を使うのではなく「どうしたら~できるかな?」と言い換えていきましょう。(以上、本書p.142-p145を参考)
余談ですが、「お前には無理だ」などはわたし自身よく親から言われましたねー…。このフレーズ自体は、子どもに使ったことはありませんが、自分がされたダメなフレーズやダメな関わり方を無意識に自分がしているんだから恐ろしいです。
アンガーマネジメントのまとめ
では、最後に今回の内容を簡単にまとめておきたいと思います。
- アンガーマネジメントは「心理トレーニング」。
- すぐに出来るものではないから、少しずつ取り組んでいく。
- 子どもの年齢によって関わり方が変わる。
- 例えば、子どもの気持ちを代弁したり、「わたしはこう思うよ」とメッセージを伝える。
- 過去の話題、人格攻撃のフレーズはNGワード。
- 「なんで?」ではなく「どうしたら~できるかな?」。
こちらに紹介したのはあくまで本書からの一部です。全て知りたい方は、ぜひ読んでみてくださいね。
最後まで読んでくれた方は、きっとご自分の怒りに悩んでいる方だと思います。
つい怒ってしまう方ほど、そんな自分を自己嫌悪し、自分を責めているはずです。しかし、そうやって怒りを自分に向けないこともアンガーマネジメントの一つです。
もし少しでも気になることがあったら、ぜひ、始めてみてください。わたしも一歩ずつ始めていますよ。それでは、また。