RYOSAKASANTO

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

大学入学定員厳格化に対応する2つの方法


f:id:ryosaka:20190603054523j:plain

今年の入試はA判定の生徒でも不合格になるなど厳しい受験でした。どうやって大学に進学するかを決める前に改めて思い出してください。

大学入学定員厳格化による影響

これは主に都市圏の私立大学で生じました。簡単にいうとこれまで私立大学は入学者数をオーバーしても経営のために入学させていました。

どの程度か、東洋経済オンラインの記事を引用してみましょう。

2014年度時点で、私立大の入学定員は約4万5000人も超過しており、その8割(約3万6000人)が3大都市圏の私立大に集中していた。

(引用)都市圏の私立大学が合格者数を減らすわけ | 岐路に立つ日本の財政 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

まあ、無茶苦茶定員オーバーしていたわけです。こりゃやりすぎやろ、と。また国としては地方でも若い人材に活躍してもらいたい。でも、3大都市圏に進学したまま地元に帰らず、そのまま就職してしまうケースが多いわけです。

そこで入学定員数をオーバーした大学に補助金が支払われないことになりました。財布を掴まれると大学側は必死になります。

こういう経緯があり、大学入学定員厳格化による一般入試での合格が厳しくなってしまったのです。

なお、平成30年9月の文部科学省の資料において、平成31年度以降の3年間は私学の補助金を減額するかどうかについて見送りとなっています。

(参考)平成31年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について(通知)‐文部科学省(平成30年9月11日)

だからと言って補助金の減額がないから大学側はこれまでのように定員数をオーバーできるかというとそうはなりません。そんなことしたらすぐにまた補助金減額されちゃいますからね。

おそらく来年度以降もこの状況は大きく変わらないはずです。

どう対応すれば良いのか

文科省クソッ! と言いたい保護者や学生のお気持ちは理解できます。

しかし、補助金は税金ですし、地方からドンドン若者がいなくなってしまうことを危惧して対応すること自体も決して間違っているとは言えません。(やり方が合っているかは別ですが…)

文句で変わることもあるので文句も大事なんですが、一旦冷静になって頂いて…受験生はどうやって対応していけば良いのでしょうか。

現実的な方法は、2つです。

それがAO入試と推薦入試です。

AO入試と推薦入試を狙え

AO入試と推薦入試を利用すべきなのは単純です。それは、試験日程が早く、定員数に対しての重みを増しているからです。

では、詳しい理由を紹介しましょう。

通常、大学はAO入試・推薦入試を経て、一般入試をしていますよね。

仮に「A大学」の定員数が10,000名としましょう。そのうちAO・推薦入試の枠が4,000名、一般入試の枠は6,000名です。実際には受験生の併願受験も考慮して、一般入試の合格者を8,000名にしていました。

しかし、前述のように私立大学は入学定員数をオーバーしにくい状況が続いています。一般入試6,000名の枠をそのまま6,000名にしているわけです。

一般入試で8,000名合格していた時の合計合格者数は12,000名でした。この時のAO・推薦入試の比率は全体の3分の133.3%です。

しかし、今年のように一般入試の合格者数を定員とした場合、AO・推薦入試の比率は全体の5分の2。40%です。

その差、6.7ポイントという大きな差になります。

つまり、これまで以上に定員比率においてAO入試と推薦入試の重みが増しているわけです。

ちなみにこの例えに使った数字は、あながち無茶苦茶な数字ではありません。というのも2015年度までは定員8,000人以上の大学は、入学定員充足率が120%以上になると補助金が受け取れませんでした。(例に出したA大学は定員10,000人のところ合計12,000人の合格者を出しているのでちょうどこの事案に該当します)

2015年度と2018年度でこれだけ状況が変わったんですね。

ちなみに平成29年度(2017年度)の大学入学者の入試形態の比率はこちら。

f:id:ryosaka:20190602065821j:plain

(引用)29年度「推薦・AO」入学者、 過去最高の“44.3%”!

私立大だけに限ったAO入試・推薦入試の割合は、51.2%

これは合計の数字なので、大学によって状況が変わります。もしかすると今回例えた数字よりも更にAO入試・推薦入試の重みが増す可能性だってあります。

AO入試・推薦入試の偏見をなくせ

AO入試・推薦入試というとアホな大学生を量産するシステムのように思われている方もいると思います。一般入試で入っていないからアホなんでしょ、みたいな。

これ、昔はその通りでした。文科省の過去の資料の中でも検討材料として掲載されたこともあります。

でも現在は、AO入試と推薦入試の入学者と一般入試の合格者も大学入学後の成績はさほど変わりません。詳しくはこちらの論文を見てください。(これ以外の論文や資料でも同様の内容を見たことがあります)

(参考)国立大学は推薦・AO 入試によって⽛成績優秀な学生⽜を獲得できているのか?─エリートセクターにおけるマス選抜の導入

要約すると「国立大学は少し差はあるけど、私立大学はほとんど差がない」ということです。

AO入試・推薦入試も実際の問題を見たら、かなり難しいので当然といえば当然かもしれません。以前の記事をどうぞ⇒ 

それでも、もし私立大学でAO入試・推薦入試で入学した生徒がアホに見えたとしたら、答えは以下の3つです。

1.過去の情報による思い込みは変えづらいから仕方ない。

2.一部のアホを見て全体をアホだと捉えてしまった。

3.その私立大は、たぶん一般入試で入学した生徒も実はアホ。

お好きな選択肢をどうぞw 

冗談はさておき、AO入試と推薦入試については私立大学だけではなく国立大学も増やす背景があります。

詳細は以前書いたこちらをどうぞ⇒ 

国立大学協会はAO入試・推薦入試の比率を30%までに増やす方針が出されています。

一般入試オンリーの選択肢では国立大学の入試でも厳しくなるかもしれません。

高1・高2の生徒さん、保護者としてはAO入試・推薦入試という選択肢を最初から消さないでください。

高校3年生になった時にAO入試・推薦入試・一般入試のどれを活用して、どこの大学を目指すのか。選択肢が最大限になるように考え、準備しておいてくださいね。それでは、また。