りょうさかさんと

教育業界にいる陵坂さんが教育・子育て・DWEなどについて書くブログ

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【新教科書見比べ】小学校英語教科書を見てきた(教育出版・光村図書・啓林館)


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新しく教科となる小学校英語(外国語)の「教科書を見てきた」シリーズも今回で最終回。教育出版・光村図書・啓林館の教科書について見ていきましょう。

最後に全7社の感想もまとめて掲載しています。それでは、どーぞ!

教育出版『ONE WORLD Smiles』

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教育出版の表紙は、アニメ調のキャラクターが日本には存在しない学校に通学する風景になっています。たぶんここはWiFiとか飛んでないですw

教育出版は、一言でいえばCLIL的な要素が強い教科書です。CLILについてはこちらの記事をどうぞ。 

教育出版の特徴は、紙面に英語が少なく、活動メインの教科書になっているところです。例えばこちら。ポンティングゲームをするだけで左側1ページを使用しています。単語も人物名を含めてもたった8個です。

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 凄いと思ったのが名所・名物を6ページに渡って紹介している点です。

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これでもまだ半分。社会と連携して授業をすることが出来ますよね。WeCanにも同様の日本地図がありますが、見開きで2ページでした。教育出版は3倍ですよ!

他にも国語との連携では「The Letter」が掲載されています。

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内容の知っている「絵本」やストーリーを英語で触れ直すことは学習効果があると言われています。

このように他教科との連携をかなり意識した編集になっています。余談ですが「ドラえもん」「名探偵コナン」も登場し、金がかかってるなーと思いましたww

一方で活動がメインで文字が少ない紙面になっています。そのためキーセンテンスが何かわかりづらく、紙面上で書かれていても少し弱いように感じました。

つまり子どもが教科書を読み返した時に既習事項のポイントがわかりにくいのです。

またゲームの中でインプットしていくスタイルなんですが、それでインプット量が十分なのかよくわかりません。

まとめると…

・活動がメインの教科書

・他教科連携を意識した要素が入っている

・キーセンテンスがわかりにくい

・インプット量が足りるかどうか不安

(引用・参考)英語 - 令和2年 教科書特設サイト - 教育出版

光村図書『Here We Go』

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光村図書の表紙は、アニメ調のキャラクターが町中に飛び出そうという内容になっています。表紙の構図はたまたま教育出版と似た雰囲気ですが、背景が違うことによって意味合いは全く違います。

教育出版が「学校に行って英語を学ぼう」という意味合いがあるのに対して、光村図書は「学んだ英語を町で使おう」というメッセージになっています。対照的ですね。

光村図書は、一言でいえば流れがわかりやすい教科書です。

光村図書の教科書は、三省堂と同様に、Hop⇒Step1⇒Step2⇒Jump!というタイトルが付いていますが構成は違います。三省堂のJUMPは学期に1回でしたが、こちらのJump!は単元末のアクティビティを指しています。

毎単元の導入ではアニメーションを使い、その後、「聞く」⇒「歌う」⇒「遊ぶ」⇒「活動」⇒「書く」という流れです。

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インプットを十分してから活動に入りますし、児童も生徒も保護者もどういう流れで教科書が進んでいくのかわかりやすい紙面になっています。

またアルファベットの学習では大文字から小文字がどう変化していったのか考えさせる場面があるのも特徴です。

わたしが気に入ったのは、6年生の「中学校で頑張りたいこと」についてマインドマップの図を掲載している点です。

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マインドマップは小学校だけでなく社会に出てからも役立つ手法です。それをさらっと英語の授業の中でも参考として掲載しているのはとても意味があると思いました。

一方、気になる点としてはアニメーションが授業の前提となっている点です。都内の学校であれば電子黒板が当たり前のようにあり、クラス人数分のタブレットもほとんどの学校で用意があります。

ただこの環境って全国標準ではないですよね。環境の揃っていない自治体や学校ではどうやって授業展開をしていくのか疑問が残ります。

あと導入から3時間目のStep1の最後で「書く」が出てきます。かなり早く書かせるし、書く量も多めです。「書く」のは「聞く」「読む」が十分でないと難しいと言われています。この点も不安要素ですね。

まとめると…

・学習の流れがわかりやすい。

・アニメーションを活用している授業構成。

・語源、マインドマップなど考えることを大切にしている。

・アニメーションを活用できる環境が学校にあるのか?

・「書く」の前のインプット量は十分か心配。 

(引用・参考)光村の英語 | 令和2年度版 小学校教科書のご紹介

 啓林館『Blue Sky』

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唯一実写が表紙を飾っています。啓林館は中学校英語の教科書を発刊していませんが、高等学校の教科書では三省堂と双璧をなすトップシェアの出版社です。

そんな啓林館は、一言でいえば児童に易しい教科書です。

紙面の構成も全て何をするか明確に書かれています。「Listen and Play」「Jingle」などなど。

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「聞いて遊ぶ」⇒「歌う」⇒「聞いて言う」⇒「歌う」⇒「聞いて活動」と繰り返し、Unitの後半でようやくアクティビティがくるという構成です。

「聞く」というインプット中心の活動をした後にようやくアウトプットのアクティビティが入るので児童は安心して活動できます。

また光村図書では3時間目に「書く」が来たのとは対照的に啓林館は書くが一番最後になっています。

インプットを十分に行うのは幼児英語教育の基本と言われています。紙面通りに授業を行えば、自然とインプット重視で授業を行える構成なので、児童にとって易しい教科書ですし、英語が苦手な先生にとっても授業しやすい教科書じゃないでしょうか。

また巻末には児童が知っていたり、喜びそうなストーリーが掲載されています。

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例えば、「国語」で習う「大きなかぶ」です。教育出版の時にも触れましたが、内容の知っている絵本を英語で触れ直すのは有効です。 

一方、東京書籍や三省堂のような複数Unitの活動を統合したアクティビティは紙面にはありません。

良く言えば英語が苦手な先生に優しいと言えますし、悪く言えば英語が得意な先生には物足りないともいえるでしょう。

また付録が寂しいです。他社では触れませんでしたが各社、巻末にアクティビティ用のワークシートなどの付録がついています。一方、啓林館はWeCanと同じ単語カードのみ。

またアニメーションなども紙面を見る限りなさそうです。アニメを用意した光村図書とは予算の掛け方が対象的ですね。

まとめると…

・構成がわかりやすい。

・「書く」が最後にあり、十分にインプットしてから望める。

・大単元のアクティビティはない。

・付録が寂しい。

(参考・引用)2020年度用 英語 教科書のご案内 | 小学校 | 啓林館

全7社のまとめ

以上、ここまで全7社の教科書を見てきました。

あくまで私見ですがまとめてみましょう…

・「一番難しい教科書」は、開隆堂『Junior Sunshine』(中学校へのオプションが盛り沢山)

・「英語を得意な先生が好きそうな教科書」は、 三省堂『CROWN Jr』、東京書籍『NEW HORIZON Elementary』(複数Unitを統合したアクティビティあり)

・「英語を苦手な先生が授業しやすそうな教科書」は、 啓林館『Blue Sky』、学校図書 『JUNIOR TOTAL ENGLISH』(紙面がわかりやすく、教科書通りで大丈夫)

・「現代的な教科書」は、光村図書『Here We Go』(アニメーションや思考ツールあり)

・「他教科連携を大事している教科書」は、教育出版『ONE WORLD Smiles』(CLIL的な要素が強い。)

これらは、あくまで私が個人的に感じたものです。来年の春から使われる教科書の採択はこの夏に行われます。選ばれた教科書を見れば、どういう意図で教育委員会や先生方が教科書を選んだのか色々想像ができそうですね。

是非、あなたも展示会で教科書見本を見てみてはいかがでしょうか。それでは、また。

前回までの記事はこちら⇒